ザイザル錠2.5mg販売中止で知るべき代替薬と処方対応

ザイザル錠2.5mgの販売中止に伴い、医療従事者が知っておくべき後発品への切り替え方法や自家製剤加算の算定ルール、小児への処方対応はどう変わるのか?

ザイザル錠2.5mg販売中止で医療従事者が知るべき対応と代替薬

先発品のザイザルOD錠2.5mgが販売中止になっても、後発品2.5mg錠に切り替えれば自家製剤加算は算定できません。


ザイザル錠2.5mg 販売中止 ポイント3選
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販売中止の経緯

GSKはザイザルOD錠2.5mg/5mgを2021年12月に販売中止と発表。発売からわずか約1年での決定で、後発品(ジェネリック)への移行が進む状況となった。

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代替薬の選択肢

後発品のレボセチリジン塩酸塩錠2.5mgは複数メーカーから供給されており、「YD」「タカタ」「ニプロ」「杏林」など各社の製剤を選択できる。

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自家製剤加算の注意点

ザイザル錠5mgを半割する場合、後発品2.5mg規格が薬価収載されているため自家製剤加算は算定不可。先発希望の小児患者への対応では加算が取れないことに注意が必要。


ザイザル錠2.5mg販売中止の経緯とGSKの発表内容



グラクソ・スミスクライン(GSK)は2021年7月1日、複数の先発医薬品について販売中止を発表しました。その対象のひとつがザイザルOD錠2.5mg/5mgです。販売終了は2021年12月、経過措置の満了は2022年3月と定められました。


ザイザルOD錠2.5mgは、2020年2月に製造販売承認を取得し、同年6月に薬価収載・発売されたばかりの製品でした。つまり、発売からわずか約1年で製造中止が発表されたということになります。これは意外ですね。


OD錠の特性として「水なしでも服用できる」「口腔内で速やかに崩壊する」という点が挙げられ、高齢者や小児、水分摂取に制限がある患者への服用性向上を目的として開発されました。しかしながら、製造中止の理由はGSKから公式には発表されておらず、採算面や製造工程上の問題など、さまざまな憶測が業界内に広まっています。


なお、今回販売中止となったのはOD錠のみです。ザイザル錠5mg(通常の錠剤)は現在も販売継続されている点は、しっかり押さえておく必要があります。


参考情報:GSK製品の販売中止に関する医療従事者向けお知らせ(令和3年7月1日付)
GSKpro:弊社製品の販売中止についてのお知らせ(2021年7月1日)


ザイザル錠2.5mg販売中止後の後発品・代替薬一覧と選び方

ザイザルOD錠2.5mgが姿を消したあとも、有効成分であるレボセチリジン塩酸塩を含む後発品は複数のメーカーから流通しています。つまり、成分面での代替には困らない状況です。


現在薬価収載されている主なレボセチリジン塩酸塩2.5mg製剤(後発品)は以下の通りです。














































販売名 メーカー 剤形 薬価(1錠)
レボセチリジン塩酸塩錠2.5mg「YD」 陽進堂 錠剤 12.1円
レボセチリジン塩酸塩錠2.5mg「タカタ」 高田製薬 錠剤 12.1円
レボセチリジン塩酸塩錠2.5mg「杏林」 キョーリンリメディオ 錠剤 12.1円
レボセチリジン塩酸塩錠2.5mg「ニプロ」 ニプロ 錠剤 12.1円
レボセチリジン塩酸塩錠2.5mg「日医工 日医工 錠剤 12.1円
レボセチリジン塩酸塩OD錠2.5mg「タカタ」 高田製薬 OD錠


後発品はいずれも先発品と同一の有効成分・同一の用量で、薬事法上の生物学的同等性試験もクリアしています。先発品と同等の治療効果が期待できる点は問題ありません。


ただし、製剤の添加物や錠剤の大きさ・形状はメーカーによって異なります。患者から「以前の薬と見た目が変わった」という問い合わせが来やすい場面でもあるため、切り替え時に一言添えると丁寧な対応になります。


先発品を希望する患者には、現時点でザイザル錠5mgのみが先発品として残っていること、2.5mg先発品は現在入手できない状況であることを説明できると良いでしょう。


参考情報:レボセチリジン塩酸塩製剤の規格・メーカー別比較情報


ザイザル錠2.5mg販売中止が小児処方に与える影響と現場対応

ザイザル(レボセチリジン塩酸塩)の添付文書によると、7歳以上15歳未満の小児には「1回2.5mgを1日2回、朝食後および就寝前」に投与するよう定められています。成人の1回5mg・1日1回とは異なる用法です。


2020年以前は、2.5mg規格の製剤が存在しなかったため、ザイザル錠5mgを半割して小児に投与するケースが一般的でした。当時は半割に対して自家製剤加算(内服薬で7日分ごとに20点)が算定できていました。


ところが、2020年6月に2.5mg規格の製剤(後発品)が薬価収載されたことで、状況が一変します。「同一規格の薬価収載品が存在する場合は自家製剤加算を算定できない」というルールが適用されたためです。これが原則です。


ザイザルOD錠2.5mgが販売されていた時期は、先発品のOD錠2.5mgという選択肢がありました。しかし2021年末の販売中止によって、先発品2.5mgは市場から完全に姿を消しました。先発品を希望する小児患者への対応はザイザル錠5mgの半割しかありませんが、後発品2.5mgが薬価収載されている以上、自家製剤加算は算定できません。


地味ながら現場への影響は小さくない変化です。薬局のレセコン設定や調剤オペレーションを改めて見直し、誤った加算算定が発生しないよう確認が必要です。


参考情報:自家製剤加算の算定要件・類似事例の解説
m3.com薬剤師:「レボセチリジン」5mg錠の半錠の算定は?(2024年度改定版)


ザイザル錠2.5mg販売中止とレボセチリジンの薬理的特徴を再確認

販売中止という動きを受けて、レボセチリジン塩酸塩そのものの薬理特性について改めて整理しておくことは、代替薬を選択する際の根拠にもなります。


レボセチリジン塩酸塩は第二世代抗ヒスタミン薬のひとつで、ヒスタミンH1受容体に対する選択的拮抗作用を持ちます。ジルテック(セチリジン)のR-エナンチオマーであり、ラセミ体であるセチリジンの「治療上の活性本体」とされています。つまり代替がしやすい成分です。


注目すべき点として、レボセチリジンはヒスタミンH1受容体に対する親和性がもう一方のエナンチオマーと比べて約30倍高く、受容体からの乖離半減時間が16倍長いとされています。これが1日1回投与でも持続的な効果を発揮できる理由です。


また、セチリジン(ジルテック)10mgと比較した場合、レボセチリジン5mgで薬物動態学的な同等性が示されています。半量で同等の効果が得られるという点は処方選択の際に重要な視点となります。


適応症はアレルギー性鼻炎・蕁麻疹・湿疹・皮膚炎・痒疹・皮膚そう痒症の5疾患です。眠気(傾眠)の副作用は市販後調査で2.6%に認められており、就寝前服用が基本となっています。自動車運転等の作業には十分な注意が必要な点を患者へ必ず伝えましょう。


ザイザル錠2.5mg販売中止をきっかけに見直したい抗ヒスタミン薬の処方戦略

ザイザルOD錠2.5mgの販売中止は、個別製品の問題にとどまらず、先発品に依存した処方設計のリスクを浮き彫りにしています。このような事例は近年複数起きています。


たとえば同じGSKでは、ザンタック(ラニチジン製剤)が発がん性物質NDMA(N-ニトロソジメチルアミン)の検出を受けて2019年から自主回収・製造中止となりました。ラニチジンはNDMAの構造的な発生源そのものであったため、後続品への移行が急務となった事例です。先発品が突然消えるケースは珍しくありません。


こうした背景から、医療従事者として今後意識しておきたいことがあります。先発品・後発品を問わず、「代替品が存在するか」「代替品への切り替え基準は何か」を常に把握しておく姿勢が求められます。


🔍 具体的に意識しておくべきポイントを以下にまとめます。



  • 後発品の供給状況を定期的に確認する:薬価収載情報や各メーカーの出荷調整情報を把握しておくと、患者への影響を最小化できます。

  • 先発品が販売中止になった際の代替方針を事前に設定する:小児・高齢者など特定の患者層への影響が大きいため、薬局・病院薬剤部での標準手順として持っておくことが理想です。

  • 診療報酬算定のルール変更を定期的に確認する:製剤の規格変更・販売中止は自家製剤加算などの算定可否に直結します。2024年改定版も踏まえた算定管理が求められます。


なお、抗ヒスタミン薬の代替薬選定において参考になる資料として、各社インタビューフォームや添付文書のほか、日本アレルギー学会のガイドラインが活用できます。ガイドラインではレボセチリジンと同クラスの薬剤として、フェキソフェナジン(アレグラ)・エバスチン(エバステル)・ベポタスチン(タリオン)などが挙げられており、患者の症状・生活スタイルに応じた薬剤選択の根拠として使えます。


参考情報:薬剤師向けの診療報酬・算定要件に関する解説
ぺんぎん薬剤師:令和3年7月GSKが複数の先発品製造中止を発表(ザイザルOD錠含む詳解)






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