ソリタt2号輸液500の成分・禁忌・使い分けを完全解説

ソリタt2号輸液500mLの成分・効能・禁忌・使い分けを徹底解説。脱水補給液として現場で使われる2号液ですが、「とりあえず投与」が重大リスクにつながる落とし穴を知っていますか?

ソリタt2号輸液500の基本から禁忌・使い分けまで

重篤な肝障害がある患者にソリタT2を投与すると高乳酸血症を誘発します。


🔍 この記事の3つのポイント
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ソリタT2号輸液の成分と薬価

500mL袋1袋あたり277円(2025年4月以降)。ブドウ糖・L-乳酸ナトリウム・塩化ナトリウム・塩化カリウム・リン酸二水素ナトリウムを含む「脱水補給液」です。

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見落としやすい禁忌・慎重投与

高乳酸血症・高カリウム血症・アジソン病・重篤な肝障害などは禁忌または慎重投与です。糖尿病患者への投与時も血糖値上昇リスクがあります。

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1号液・3号液との使い分け

ソリタT2号は低張性脱水時に3号液の代わりに使われる「脱水補給液」。1号液(Kフリー)や3号液(維持液)との病態別の選択が患者アウトカムを左右します。


ソリタt2号輸液500の成分・組成と薬価



ソリタ®-T2号輸液(SOLITA-T No.2 Injection)は、エイワイファーマ株式会社が製造販売し、株式会社陽進堂が販売する輸液用電解質液(脱水補給液)です。効分類番号は3319に分類され、処方箋医薬品として位置づけられています。


500mL袋1袋中の主な成分は以下のとおりです。


| 成分 | 500mL中の含量 |
|---|---|
| ブドウ糖 | 16.0g(カロリー:約52kcal) |
| L-乳酸ナトリウム液(L-乳酸ナトリウムとして) | 2.240g(1.120g) |
| 塩化ナトリウム | 1.35g |
| 塩化カリウム | 0.745g |
| リン酸二水素ナトリウム水和物 | 0.780g |


主な電解質濃度(mEq/L)を比較しやすくまとめると、Na⁺が84、K⁺が20、Cl⁻が66、乳酸が20、リン酸が18 mmol/Lとなっています。製剤のpHは3.5〜6.5の範囲で、室温保存が可能です。


薬価は2025年4月1日以降、500mL袋1袋あたり277円(旧薬価276円)となっています。1袋は500mLペットボトル1本分とほぼ同じ量です。200mL袋(YJコード:3319531A3020)の薬価は239円で、用途に応じてサイズを使い分けることができます。


「ソリタ」という名称の由来は、Solution of TAkatsuの略称で、東京大学医学部小児科の高津教授(当時)が中心となって開発したことに由来します。意外ですね。T1〜T4の番号は投与順序ではなく、東大小児科方式輸液の第1〜4号液に対応しています。1962年から販売されており、60年以上にわたって臨床現場を支えてきた製剤です。


電解質組成の観点では、ソリタT2号は2号液(脱水補給液)として分類される低張電解質輸液です。カリウム(K⁺)を含まない1号液とは異なり、Na⁺とK⁺の両方を補給できるため、脱水が進んで細胞内のカリウムも失われている病態で活躍します。


参考:添付文書(PMDA収載)・エイワイファーマ製品情報


医療用医薬品 ソリタ−T2号輸液(KEGG MEDICUS)- 添付文書情報・成分・禁忌の詳細が確認できます


ソリタt2号輸液500の効能・効果と投与方法

ソリタT2号輸液500の添付文書に記載された効能・効果は「脱水症及び手術前後の水分・電解質の補給・補正」の一文です。シンプルな記載ですが、適応を絞り込む上で重要な追記があります。


本剤を投与する場合には、患者の尿量が1日500mL(約ペットボトル1本分)または1時間当たり20mL以上あることが望ましいとされています。つまり、乏尿状態や無尿状態での投与は、カリウムの排泄が滞り高カリウム血症を引き起こすリスクがあるため、尿量の確認が前提条件です。尿量の確認が条件です。


標準的な用法・用量は次のとおりです。


- 通常成人:1回500〜1,000mLを点滴静注
- 投与速度(成人):1時間当たり300〜500mL
- 投与速度(小児):1時間当たり50〜100mL
- 年齢・症状・体重によって適宜増減


成人への最大投与速度は1時間あたり500mLです。これは、500mL袋を1時間で落とし切ることが成人では許容範囲内であることを意味します。ただし、これはあくまで添付文書上の上限であり、患者の全身状態(心機能・腎機能)を踏まえた個別判断が必要です。


一方、小児(特に1歳未満の乳児)への急速投与(100mL/時間以上)では高カリウム血症があらわれることがあると注意書きされています。これは1号液との大きな違いです。小児には1号液が選ばれることが多い理由の一つでもあります。乳児への急速投与は要注意です。


高齢者への投与については「投与速度を緩徐にし、減量するなど注意すること」と記載されています。高齢者は一般的に腎機能・心機能が低下しているため、水分・電解質の過剰投与になりやすく、肺水腫や浮腫のリスクがあります。これは使えそうな情報ですね。


手術前後の補液として用いる場合も、術中の循環動態や出血量、尿量をモニタリングしながら投与量を細かく調整することが求められます。手術室では3号液よりも細胞外液補充液が主役になることが多く、ソリタT2号は「サブ的な役割」で活用されるケースが実際には多いとされています。


PMDA 医療関係者向け医薬品情報(ソリタT2号輸液)- 最新の添付文書・インタビューフォームはこちらで確認できます


ソリタt2号輸液500の禁忌・慎重投与と見落としやすいリスク

ソリタT2号輸液500を使用する際、禁忌に該当する患者を見落とすと患者の状態を急速に悪化させるリスクがあります。添付文書に明記された禁忌を3つのグループに整理します。


【禁忌① 高乳酸血症の患者】


本剤にはL-乳酸ナトリウムが含まれており、もともと高乳酸血症を抱えている患者に投与すると、乳酸がさらに蓄積して症状が悪化するおそれがあります。乳酸は主に肝臓で代謝されますが、代謝能が低下している状態ではクリアランスが追いつかなくなります。


【禁忌② 高カリウム血症・乏尿・アジソン病・重症熱傷・高窒素血症の患者】


これらはすべて「カリウムがさらに上昇するリスク」という共通点を持ちます。本剤はK⁺を20mEq/L含有しているため、これらの病態では高カリウム血症が悪化または誘発されるおそれがあります。高K血症での投与はダメです。


【禁忌③ 高リン血症・低カルシウム血症・副甲状腺機能低下症の患者】


本剤にはリン酸二水素ナトリウムが含まれています。高リン血症や低カルシウム血症の患者に投与すると、電解質バランスの乱れがさらに深刻化するおそれがあります。


禁忌以外の慎重投与として特に重要なのが以下の病態です。


| 病態 | リスク |
|---|---|
| 糖尿病 | ブドウ糖含有のため血糖値上昇が懸念される |
| 心不全 | 循環血液量増加により心負荷が増大する |
| 腎機能障害 | 水分・電解質の過剰投与に陥りやすい |
| 重篤な肝障害 | 乳酸の代謝障害により高乳酸血症を誘発するおそれ |
| 閉塞性尿路疾患 | 水分・電解質の排泄障害により電解質異常が起きやすい |


特に注意したいのは重篤な肝障害との組み合わせです。禁忌ではなく「慎重投与」の扱いですが、乳酸代謝を担う肝臓が大きく障害されている状態でL-乳酸ナトリウムを投与すると、高乳酸血症を誘発するリスクがあります。肝硬変末期や劇症肝炎の患者を担当する際は、ソリタT2号ではなく酢酸リンゲル液などへの切り替えを検討することが選択肢の一つとなります。


大量・急速投与による副作用として、脳浮腫・肺水腫・末梢浮腫・高カリウム血症が報告されています(頻度不明)。急速に投与することで血管内に大量の水分が流入し、心肺機能に過負荷をかけるリスクがあります。これは知らないと損する知識です。


また、調製時の注意として「薬剤を配合する場合には配合変化に注意すること」とされています。具体的には、カルシウム含有製剤などとの混注で沈殿が生じる場合があるため、他剤との配合前にはインタビューフォームや添付文書の配合変化データを必ず確認するようにしましょう。配合変化の確認が原則です。


ソリタ-T2号輸液(エイワイファーマ)医薬品基本情報 - 禁忌・慎重投与の詳細一覧を確認できます


ソリタt2号輸液500と1号液・3号液の使い分けポイント

「ソリタ」シリーズの中でも実臨床で頻用されるのは主にT1号(1号液)とT3号(3号液)であり、T2号は「あまり在庫に置かない病院も多い」というのが現実です。ではなぜT2号が存在し、どんな場面で選ばれるのでしょうか。


まず、1〜4号液のポジショニングを整理します。


| 号数 | 分類 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 1号液(ソリタT1) | 開始液 | カリウムフリー。病態不明・尿量不明確なとき最初に使う |
| 2号液(ソリタT2) | 脱水補給液 | Na⁺とK⁺の両方を補給。低張性脱水への対応 |
| 3号液(ソリタT3) | 維持液 | 1日の水分・電解質維持に対応。経口摂取不能患者に常用 |
| 4号液(ソリタT4) | 術後回復液 | カリウムフリー。糖が多く電解質濃度が低い |


ソリタT2号が「低張性脱水の時に3号液の代わりに用いられる」と先述の専門資料にも記載されています。低張性脱水とは、ナトリウムと水の両方が失われた結果、血漿のナトリウム濃度が低下している病態です。嘔吐・下痢を繰り返す患者や、熱中症でミネラルを多量に失った場合などが典型的な臨床場面です。


3号液と2号液の電解質組成を比べると、Na⁺はT2号(84mEq/L)の方がT3号(35mEq/L)より多く、より積極的にナトリウムを補給したい病態に適しています。つまり脱水補給を急ぐ局面ではT2号の出番です。


一方で、3号液をゆっくり長時間落として維持するような「維持補液」の場面では、T2号はあまり選ばれません。T2号にはブドウ糖が500mL中16g(約52kcal)含まれていますが、これは3号液の98kcal(500mL)より少ないため、長期の栄養補給目的には不向きです。


また、K⁺の観点でも注意が必要です。T3号液には1L中20mEq、T2号液にも1L中20mEqのK⁺が含まれています。つまりK⁺投与速度の上限(20mEq/時)を超えないためには、500mLを30分以内に落としてはいけないということになります。循環補充を目的に急速投与したい場面では、K⁺フリーの細胞外液補充液(乳酸リンゲル液など)が選ばれる理由がここにあります。K⁺の速度管理が条件です。


実臨床でのT2号の活用シーンを具体的に挙げると、①嘔吐・下痢による低張性脱水の初期補正、②手術前後の電解質補正(尿量確認後)、③3号液への切り替え前のブリッジ的補給、などが代表例です。


ソリタt2号輸液500の独自視点:投与時に見落とされがちな「乳酸」問題

輸液の教科書には必ず乗っている知識でも、多忙な現場では意外と飛ばされやすいのが「L-乳酸ナトリウムの代謝経路と肝臓の関係」です。ここでは、実臨床で意識したいポイントを独自の視点からまとめます。


ソリタT2号のL-乳酸ナトリウムは、体内で肝臓によってピルビン酸を経由してブドウ糖や重炭酸に代謝されます。この経路が正常に機能しているときには問題ありませんが、肝臓の機能が大きく損なわれているとき(重篤な肝硬変・急性肝不全・劇症肝炎など)は乳酸の代謝が滞ります。


乳酸が蓄積すると代謝性アシドーシスが深刻化し、特に循環不全を合併している患者では致命的な転帰につながる可能性があります。添付文書では「重篤な肝障害のある患者には水分、電解質代謝異常、高乳酸血症が悪化する又は誘発されるおそれがある」と慎重投与扱いとなっていますが、臨床的な重要性は禁忌に匹敵するとも言えます。


同様の問題は乳酸リンゲル液(ラクテック®など)にも共通しています。腸管虚血・敗血症性ショック・重篤な肝障害を持つ患者への乳酸含有輸液投与の是非は、専門的な議論が続いているテーマです。これは意外ですね。


一方、酢酸リンゲル液(ヴィーンD®・ソルアセトD®)や重炭酸リンゲル液(ビカーボン®)は乳酸を含まないため、乳酸代謝に懸念がある患者への代替として選択肢に入ります。ただし酢酸も肝臓で代謝される成分ですので、完全な解決策ではありません。重炭酸リンゲル液はより生理的な環境に近いとされ、重篤患者に用いられる場面が増えてきています。


次に「リン酸」成分についても補足します。ソリタT2号にはリン酸二水素ナトリウムが含まれており、1L中18mmolのリンが含まれます。通常の投与量であれば過剰リン投与にはなりませんが、長期使用時や腎機能低下患者では高リン血症に転じるリスクがあります。高リン血症は低カルシウム血症を二次的に引き起こし、痙攣や筋肉けいれんなどにつながるため、定期的な電解質モニタリングが大切です。モニタリングが基本です。


現場で電解質をリアルタイムに把握するには、血液ガス分析器の活用が効率的です。Na・K・Cl・乳酸・血糖値を数分で測定でき、投与後の補液効果の評価にも役立ちます。病棟や救急外来での血液ガス分析の活用は、補液管理の精度を高める実践的なアプローチの一つです。


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ソリタt2号輸液500の保管・取り扱いと現場での注意点

ソリタT2号輸液500mLは「室温保存」と定められており、冷蔵庫管理は不要です。ただし、直射日光を避け、湿気の少い場所に保管することが推奨されています。開封後の残液は使用しないことが添付文書で明記されており、残液再利用は感染リスクの観点から厳禁です。残液の使用は禁止です。


使用前の確認ポイントとして、以下の状態の場合は使用を中止する必要があります。


- 容器表面に水滴や結晶が認められる
- 容器から薬液が漏れている
- 性状その他薬液に異状が認められる(混濁・変色など)
- ゴム栓部のシールがはがれている


プラスチックバッグ製剤のため、鋭利なものや強い衝撃で液漏れが生じることがあります。カートや棚への収納時は他の物品との接触に注意が必要です。


注射針や輸液セットのびん針を接続する際は、ゴム栓の刻印部(凹部)に垂直にゆっくりと刺すことが重要です。斜めに刺すと削り片が混入したり液漏れの原因となります。また、同一箇所への繰り返しの穿刺は避けてください。


輸液セットについては、連結管を用いたタンデム方式による投与は原則として行わないよう定められています。空気がセット内に流入するおそれがあるためです。


配合変化についても触れておきます。ソリタT2号にはリン酸が含まれているため、カルシウムやマグネシウムを含む製剤との混注では沈殿(リン酸カルシウムなど)が生じる可能性があります。他剤混注前には必ずインタビューフォームの配合変化データを確認する習慣をつけることが重要です。これは現場で使える知識です。


保存期間(有効期間)については、インタビューフォームに記載の製造年月日を基準として確認してください。病棟在庫の先入れ先出し(FIFO)管理は、輸液の期限管理においても基本です。先入れ先出しが原則です。


実際の輸液管理で困ったときや、未収載情報が必要な場合は、製造販売元の陽進堂ホールディングス株式会社(お客様相談室:フリーダイヤル0120-647-734)へ問い合わせることもできます。


ソリタ−T2号輸液(株式会社陽進堂)- 製品詳細・成分・取り扱い情報の公式ページ






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