タプコム配合点眼液ジェネリックの切り替えと薬価の注意点

タプコム配合点眼液のジェネリック「タフチモ」への切り替えを検討する際、薬価差や選定療養、添加剤の同一性など知っておくべき情報はありますか?

タプコム配合点眼液ジェネリックの薬価・効果・切り替え注意点

先発品を希望する患者が2024年10月から差額の4分の1を追加負担しています。


タプコム配合点眼液 ジェネリック(タフチモ)の3ポイント
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薬価は先発品の約54%

タプコム配合点眼液(630.5円/mL)に対し、タフチモ配合点眼液は343.5円/mL。長期治療での患者負担を大きく軽減できます。

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添加剤も先発品と同一設計

タフチモ配合点眼液「日点」・「NIT」ともに、添加剤の種類・含量がタプコムと同一。pH・浸透圧比も同等で、生物学的同等性が確認されています。

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選定療養で患者負担が変わる

2024年10月から長期収載品選定療養が導入。タプコムを患者希望で処方する場合、後発品との差額の1/4が保険外の自己負担として上乗せされます。


タプコム配合点眼液ジェネリック「タフチモ」の基本情報と成分



タプコム配合点眼液は、参天製が製造販売する緑内障・高眼圧症治療用の配合点眼剤です。有効成分はタフルプロスト(15μg/mL)とチモロールマレイン酸塩(チモロールとして5mg/mL)の2種類で構成されています。この2成分が異なる作用機序から眼圧を下降させる点が、本剤の最大の特徴です。


2023年6月16日、タプコム配合点眼液のジェネリック医薬品が薬価基準に収載されました。これが統一ブランド名「タフチモ」として認知されている後発品です。現在市場に流通しているのは、東亜薬品(発売:日東メディック)のタフチモ配合点眼液「NIT」と、ロートニッテンのタフチモ配合点眼液「日点」の2品目です。


薬価を比較すると、先発品のタプコム配合点眼液が1mLあたり630.5円であるのに対し、タフチモ配合点眼液はいずれも343.5円/mLとなっています。先発品比で約54%の薬価水準です。2.5mL×5本の標準包装で計算すると、1箱あたりの薬価差は約1,463円になります。


つまり後発品への切り替えは患者負担の軽減につながります。




























製品名 区分 薬価(/mL) 販売元
タプコム配合点眼液 先発品 630.5円 参天製薬
タフチモ配合点眼液「NIT」 後発品 343.5円 東亜薬品/日東メディック
タフチモ配合点眼液「日点」 後発品 343.5円 ロートニッテン


一般名処方の標準的な記載は「【般】タフルプロスト・チモロール配合点眼液」です。処方箋に一般名が記載されている場合、薬局でのタフチモへの変更調剤が可能になります。


参考(くすりのしおり:タフチモ配合点眼液「NIT」)。
くすりの適正使用協議会「くすりのしおり:タフチモ配合点眼液NIT」 — 用法・副作用・注意事項など患者向け情報を確認できます


タプコム配合点眼液ジェネリックの作用機序と眼圧下降のメカニズム

タプコム(タフチモ)の眼圧下降効果を理解するには、2種類の有効成分がそれぞれどのように働くかを把握することが重要です。


タフルプロストはプロスタノイドFP受容体に作用するプロスタグランジン(PG)関連薬です。ぶどう膜強膜流出路を介した房水流出を促進することで眼圧を下降させます。単剤でも強力な眼圧下降作用を有し、1日1回点眼という利便性の高さから緑内障治療の第一選択となっています。


一方、チモロールマレイン酸塩はβ受容体遮断薬です。毛様体上皮でのβ2受容体を遮断することにより房水産生を抑制し、眼圧を下降させます。タフルプロストとは独立した経路から作用するため、2成分を配合することで相加的・相補的な眼圧下降が期待できます。


これが2剤配合の意義です。


プロスタグランジン製剤単剤に対して効果不十分な症例や、単剤2本の点眼を必要としていた患者への切り替えにとって、1本にまとめられた配合剤はアドヒアランス向上の観点からも有効です。複数の点眼薬を使用していた患者の場合、洗い流し効果(1本目の薬を2本目が洗い流してしまう問題)を回避できる点も、配合剤の実践的なメリットといえます。


薬物動態については、タフチモ配合点眼液「NIT」の生物学的同等性試験において、タプコム配合点眼液との比較で最終点眼投与後180分における虹彩毛様体中の有効成分濃度に統計学的有意差なしという結果が得られています。眼圧変化量についても±1.0mmHgの許容範囲内で同等性が確認されました。


参考(日東メディック:インタビューフォーム)。
タフチモ配合点眼液「NIT」インタビューフォーム(日東メディック) — 薬物動態・生物学的同等性試験の詳細データを確認できます


タプコム配合点眼液ジェネリック「タフチモ」と先発品の添加剤・処方設計の違い

ジェネリック医薬品に切り替える際に臨床現場でよく問われるのが、添加剤の差異です。タフチモ配合点眼液「日点」(ロートニッテン)については、製品比較表に明記されているとおり、タプコム配合点眼液の分析結果に基づき添加剤の種類および含量(濃度)が標準製剤と同一となるよう処方設計が行われています。


両剤に共通して含まれる添加剤は以下のとおりです。



  • ポリソルベート80(界面活性剤)

  • リン酸二水素ナトリウム水和物(pH調整剤)

  • エデト酸ナトリウム水和物(キレート剤)

  • 濃グリセリン(浸透圧調整剤)

  • ベンザルコニウム塩化物(防腐剤)

  • pH調節剤


防腐剤はベンザルコニウム塩化物(BAC)です。


BACは点眼薬に広く使用される防腐剤ですが、長期使用による角膜上皮障害や結膜上皮障害のリスクが指摘されています。ドライアイ合併例や角膜疾患を有する患者では、BAC含有製剤の長期連用に注意が必要です。タプコムのジェネリックへの切り替えを考える際は、この点も念頭に置いておくとよいでしょう。


pH・浸透圧比についても、タプコムとタフチモ(日点・NIT)はともにpH 6.7〜7.2、浸透圧比 1.0〜1.1で同一の規格を持ちます。物理化学的性質が近似しているため、使用感の大きな差異は生じにくいと考えられます。添加剤が同一であることを確認すれば大丈夫です。


参考(ロートニッテン:製品別比較表)。
タフチモ配合点眼液「日点」製品別比較表(ロートニッテン、2025年4月作成) — 添加剤・pH・浸透圧比などの標準品との比較データが記載されています


2024年10月の選定療養導入後、タプコム配合点眼液の処方で注意すべきこと

2024年10月1日から、後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)を患者希望で処方・調剤する場合に、選定療養費が発生する制度が導入されました。タプコム配合点眼液も対象品目に該当します。


制度の骨子は「先発品と後発品(最高薬価)の差額の4分の1を、通常の保険自己負担とは別に患者が支払う」というものです。これは医療上の必要性がある場合(例:後発品で副作用が生じた場合や、医師が処方変更不可と判断した場合)には適用されません。


タプコムの場合、具体的に計算してみましょう。



  • 先発品薬価:630.5円/mL

  • 後発品最高薬価:343.5円/mL

  • 差額:287.0円/mL

  • 選定療養に係る特別の料金(差額の1/4):71.75円/mL


標準的な処方量として2.5mL×2本(28日分相当、1本で片眼約28日)を想定すると、1回処方あたり約358円が保険外の自己負担として上乗せされます(消費税含む)。これは保険自己負担(1〜3割)とは別に全額自己負担となる点に注意が必要です。


患者に選定療養の説明を行い、後発品への変更に同意を得た場合は特別の料金は発生しません。また、処方医が「変更不可」欄に署名した場合も選定療養の対象から除外されます。


医療上の必要性を適切に判断し、カルテに記載しておくことが原則です。


参考(厚生労働省:長期収載品の選定療養について)。
厚生労働省「後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について」 — 対象品目リストや計算方法の公式資料が掲載されています


タプコム配合点眼液ジェネリック切り替え時の副作用・禁忌・注意事項の整理

有効成分が同一であることから、タフチモとタプコムの副作用プロファイルは基本的に共通しています。医療従事者として把握しておくべき主要な副作用を整理します。


発現頻度5%以上の眼局所副作用として、睫毛の異常(長く、太く、多くなる)、結膜充血、点状角膜炎等の角膜上皮障害が挙げられます。これはタフルプロストのPG作用による変化です。


眼局所以外では注意が必要です。チモロールマレイン酸塩成分による全身性の副作用が点眼薬であっても出現する可能性があります。具体的には、気管支痙攣・呼吸困難・呼吸不全(β遮断による気管支平滑筋収縮)、心ブロック・うっ血性心不全・心停止(陰性変時・変力作用)などが重大副作用として添付文書に記載されています。これは頻度不明とされていますが、見落とすと重篤化するリスクがあります。


禁忌は以下のとおりです。



  • 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  • 気管支喘息またはその既往歴のある患者、気管支痙攣または重篤な慢性閉塞性肺疾患のある患者

  • コントロール不十分な心不全、洞性徐脈、房室ブロック(II・III度)または心原性ショックのある患者

  • オミデネパグ イソプロピル(エイベリス点眼液)を投与中の患者(中等度以上の羞明・虹彩炎等が高頻度に発現)


エイベリスとの併用禁忌は、特に注意が必要です。


緑内障治療では複数の点眼薬を組み合わせることが多く、エイベリス(オミデネパグ)が処方されている患者へのタフチモ(タプコム)の追加や変更は禁忌に該当します。カルテやお薬手帳で他剤の使用状況を必ず確認することが条件です。


また、無水晶体眼または眼内レンズ挿入眼の患者では嚢胞様黄斑浮腫のリスクがある旨、特定の背景患者への注意が必要です。白内障術後の患者に処方する際にも確認が必要になります。


参考(今日の臨床サポート:タフチモ配合点眼液「NIT」)。
今日の臨床サポート「タフチモ配合点眼液NIT」 — 禁忌・併用禁忌・副作用・薬物動態の詳細情報を確認できます






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