ロラゼパム錠1mgサワイの効能と副作用・注意点を解説

ロラゼパム錠1mg「サワイ」の効能・効果、用法用量、禁忌、依存性リスク、名称類似薬との取り違えまで医療従事者向けに徹底解説。あなたの現場での処方・調剤の安全性を高める知識を確認していますか?

ロラゼパム錠1mgサワイの効能・副作用・禁忌と注意点

ピルを飲んでいる患者にロラゼパム1mgを出しても、効果が半分以下になることがあります。


🔑 この記事の3つのポイント
💊
CYPを介さないグルクロン酸抱合代謝

ロラゼパム錠1mg「サワイ」は主にUGT2B7・UGT2B15によるグルクロン酸抱合で代謝され、CYP酵素をほとんど介しません。ただし、経口避妊薬のUGT誘導作用により血中濃度が低下する例外的な相互作用があります。

⚠️
ロフラゼプ酸エチル「サワイ」との名称類似に要注意

「ロフラゼプ酸エチル錠1mg サワイ(メイラックスGE)」と「ロラゼパム錠1mg サワイ(ワイパックスGE)」は名称が非常に類似しており、複数の調剤取り違え事例がPMDAへ報告されています。

📋
1回30日分が処方上限・漫然投与は禁物

ロラゼパム錠1mg「サワイ」は向精神薬(第三種)であり、厚生労働省告示により1回の投薬量は30日分が上限です。連用による薬物依存リスクがあるため、長期処方時は治療上の必要性を必ず再評価する必要があります。


ロラゼパム錠1mg「サワイ」の基本情報と識別コード



ロラゼパム錠1mg「サワイ」は、沢井製薬株式会社が製造販売するベンゾジアゼピン系抗不安薬のジェネリック医薬品です。先発品の「ワイパックス錠1mg」に相当し、1984年6月より販売が開始されています。向精神薬(第三種)かつ処方箋医薬品として分類されており、医師等の処方箋なしに使用することはできません。


剤形は割線入り素錠で、色調は白色です。直径6.0mm・厚さ2.4mm・重量約90mgという小さな錠剤で、識別コードは「SW 397」が刻印されています。これは後述する名称類似薬との混同を防ぐうえでも、実務上必ず把握しておくべき情報です。


1錠中の有効成分は日局ロラゼパム1mgで、添加剤としてステアリン酸Mg・デンプングリコール酸Na・乳糖が含まれます。包装は乾燥剤入りのPTP(100錠・1000錠)およびバラ1000錠の3規格が設定されています。有効期間は3年、貯法は室温保存ですが、開封後は遮光保存が必要です。


項目 内容
販売名 ロラゼパム錠1mg「サワイ」
一般名 ロラゼパム(Lorazepam)
製造販売元 沢井製薬株式会社
薬効分類 マイナートランキライザー(1124)
規制区分 向精神薬(第三種)・処方箋医薬品
識別コード SW 397
剤形・外形 割線入り素錠・白色・直径6.0mm
有効期間 3年(開封後は遮光保存)
処方上限 1回30日分(厚生労働省告示)


薬効分類番号は「1124」で、同じ沢井製薬が製造販売するロフラゼプ酸エチル錠1mg「サワイ」(メイラックスGE)も同じ分類番号「1124」に属します。この点が名称類似リスクをさらに高める背景のひとつです。つまり薬効分類だけでは区別がつきません。


参考:沢井製薬 製品情報ページ(製剤の性状・識別コード等の確認に有用)
ロラゼパム錠1mg「サワイ」製品情報 – 沢井製薬


ロラゼパム錠1mg「サワイ」の効能・効果と用法用量

本剤の効能・効果は大きく2つに分類されます。1つ目は「神経症における不安・緊張・抑うつ」で、2つ目は「心身症(自律神経失調症、心臓神経症)における身体症候並びに不安・緊張・抑うつ」です。うつ病そのものの治療薬ではなく、不安や緊張に伴う抑うつ的状態を緩和するための薬剤という位置づけです。これが基本です。


用法用量については、通常、成人1日ロラゼパムとして1〜3mgを2〜3回に分けて経口投与します。年齢・症状により適宜増減が可能です。服用後は約30分〜1時間で効果が現れ始め、血中濃度は約2時間でピークに達します。半減期は約12時間と比較的安定しており、1日2〜3回の分割投与で血中濃度の急激な変動を抑えながら抗不安効果を維持できます。


ジアゼパム等価換算では、ロラゼパム1.2mgがジアゼパム5mgに相当します(稲垣&稲田の換算表に基づく)。つまり1mg錠を1日3錠(3mg)服用した場合、ジアゼパム換算でおよそ12.5mgに相当します。これは多剤併用の場面や、減量・切り替え時の安全性確認において臨床的に重要な指標です。


頓服として使用される場面も多く、突発的な強い不安・パニック発作の補助的な抑制に対して即効性が期待されます。ただし頓服目的での使用でも、繰り返しの使用は依存形成リスクを高める点を患者にも説明しておく必要があります。


参考:ジアゼパム等価換算の計算方法と換算表(薬剤変更・監査の実務に有用)
ジアゼパム等価換算とは?換算表の基本と臨床での使い方 – くすりの薬学


ロラゼパム錠1mg「サワイ」の禁忌・慎重投与と主な副作用

禁忌は2項目に絞られています。「急性閉塞隅角緑内障の患者」と「重症筋無力症のある患者」です。急性閉塞隅角緑内障では抗コリン作用により眼圧が上昇し症状が悪化するおそれがあり、重症筋無力症では筋弛緩作用が症状をさらに悪化させる危険があります。禁忌は2つだけです。


一方、慎重投与の対象は複数あります。心障害・脳に器質的障害・衰弱患者・中等度または重篤な呼吸不全・腎機能障害・肝機能障害の患者では、作用が増強されたり排泄が遅延したりするおそれがあります。腎機能障害と肝機能障害ではいずれも「排泄が遅延するおそれがある」と添付文書に明記されており、用量調整や投与間隔の延長を検討します。また高齢者では少量から開始するなど特に慎重な投与が必要で、運動失調などの副作用が発現しやすいとされています。


主な副作用として3%以上の頻度で「眠気」が報告されているほか、0.1〜3%未満ではふらつき・めまい・立ちくらみ・頭重・頭痛・不眠・動悸・悪心・下痢・便秘・食欲不振が挙げられています。重大な副作用としては「薬物依存」「刺激興奮・錯乱」「呼吸抑制」の3つが添付文書に明記されています。眠気とふらつきが特に頻度が高く、高齢患者への投与では転倒・転落リスクにも直結します。厳しいところですね。


  • 👁️ 急性閉塞隅角緑内障:抗コリン作用で眼圧上昇→投与禁忌
  • 💪 重症筋無力症:筋弛緩作用で症状悪化→投与禁忌
  • 🫁 中等度以上の呼吸不全:呼吸抑制リスクあり→慎重投与
  • 🧠 脳の器質的障害:作用が強く出るおそれ→慎重投与
  • 🧓 高齢者:運動失調が出やすい→少量から開始


参考:ロラゼパム錠1mg「サワイ」の副作用・禁忌の詳細(日経メディカル薬剤情報)
ロラゼパム錠1mg「サワイ」基本情報 – 日経メディカル


ロラゼパム錠1mg「サワイ」の相互作用と「経口避妊薬」の落とし穴

ロラゼパムはCYP酵素をほとんど介さず、主にUGT2B7およびUGT2B15によるグルクロン酸抱合で代謝されます。これが原因で「ロラゼパムは相互作用が少ない」と思われがちですが、それが落とし穴です。


実際には、グルクロン酸抱合に影響する薬剤との相互作用が複数存在します。特に見落としやすいのが経口避妊薬との組み合わせです。経口避妊薬はUGT誘導作用を持つため、ロラゼパムのグルクロン酸抱合が促進され、血中濃度が低下することがあります。添付文書にも「経口避妊ステロイド:ロラゼパムの血中濃度が低下することがある」と明記されています。婦人科・産婦人科と精神科・心療内科をクロスして受診している女性患者では、特に注意が必要です。


逆に血中濃度が上昇する方向への相互作用も存在します。プロベネシドとバルプロ酸はいずれもUGTによるグルクロン酸抱合を阻害するため、ロラゼパムの消失半減期が延長します。特にバルプロ酸との併用はてんかんや双極性障害の治療でロラゼパムと同時に使用される場面があるため、過鎮静のリスクを意識した用量調整が求められます。


また、中枢神経抑制剤・MAO阻害剤・アルコールとの併用は眠気・注意力低下などが増強されます。クロザピンとの併用では心循環系の副作用が相互に増強されるとされており、循環虚脱から心停止・呼吸停止に至るリスクまで添付文書に明記されています。ダントロレンナトリウムやプレガバリンとの併用でも筋弛緩作用や認知・運動機能障害の増強が懸念されます。


相互作用薬 影響 機序
経口避妊薬 ロラゼパム血中濃度↓ UGT誘導
プロベネシド ロラゼパム半減期延長↑ UGT阻害
バルプロ酸 ロラゼパム半減期延長↑ UGT阻害
リファンピシン ロラゼパム血中濃度↓ 肝薬物代謝酵素誘導
クロザピン 心循環系副作用増強 相加的
中枢神経抑制剤・アルコール 眠気・注意力低下増強 中枢抑制の相加


参考:ロラゼパム錠1mg「サワイ」との飲み合わせ402件(QLife薬剤情報)
ロラゼパム錠1mg「サワイ」との飲み合わせ情報 – QLife


ロラゼパム錠1mg「サワイ」の依存性・離脱症状と処方管理の要点

本剤の重大な副作用のひとつが「薬物依存」です。添付文書には「連用により薬物依存を生じることがあるので、漫然とした継続投与による長期使用を避けること」と明記されています。承認用量内であっても、2〜4週間を超えた連用で身体依存が形成されるリスクが高まるとされています。


急激な減量・中止は禁物です。連用中に投薬を急に止めると、痙攣発作・せん妄・振戦・不眠・不安・幻覚・妄想などの重篤な離脱症状が発現するリスクがあります。これらの症状は、東京ドーム5つ分の広さを一瞬で見失うような強烈な混乱として患者が表現することもあります。徐々に減量することが原則です。


向精神薬(第三種)として、投薬量は1回30日分が上限(厚生労働省告示第97号)と定められています。長期処方の際は、単に「前回と同じ処方をそのまま継続する」のではなく、治療上の必要性を改めて検討することが求められます。これは診療報酬の観点からも重要な確認事項です。


過量投与が疑われる場合は、ベンゾジアゼピン受容体拮抗薬であるフルマゼニルの投与が処置として示されています。ただし、フルマゼニル投与後に本剤を新たに投与した場合、鎮静・抗痙攣作用が変化・遅延するおそれがあるため、使用前に必ずフルマゼニルの添付文書を確認する必要があります。


妊婦または妊娠の可能性がある女性への投与は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ可能です。ベンゾジアゼピン系化合物で新生児に口唇裂・哺乳困難・呼吸抑制・離脱症状などが報告されており、授乳中も投与を避けることが明記されています。乳汁中への移行が確認されているためです。


参考:ベンゾジアゼピン受容体作動薬の依存性に関する注意喚起(PMDA)
ベンゾジアゼピン受容体作動薬の依存性・離脱症状について(PMDA)


ロラゼパム錠1mg「サワイ」とロフラゼプ酸エチル「サワイ」の取り違えリスク

同じ沢井製薬から発売されている「ロフラゼプ酸エチル錠1mg サワイ」(先発品:メイラックス)との名称類似による取り違えは、PMDAや日本医療機能評価機構(JCQHC)に複数の事例が報告されています。2026年1月にも「70歳代の患者にロフラゼプ酸エチル錠1mg サワイが処方されたが、薬剤師が誤ってロラゼパム錠1mg サワイを調製した。鑑査担当薬剤師Bが発見した」という事例が共有されています。


この2剤は薬効分類が同じ「1124」で、規格も同じ「1mg」、製造元も「サワイ」と全て一致しています。異なるのは薬効・半減期・先発品名などです。意外ですね。


比較項目 ロラゼパム錠1mg「サワイ」 ロフラゼプ酸エチル錠1mg「サワイ」
先発品名 ワイパックス メイラックス
作用時間 中間型(半減期:約12時間) 超長時間型(半減期:約122時間)
識別コード SW 397 SW 294
色調 白色 白色
薬効分類 1124 1124


半減期の差が特に大きく、ロラゼパムの約12時間に対して、ロフラゼプ酸エチルは約122時間と実に10倍以上の差があります。もし取り違えが発生した場合、患者は想定外の長時間にわたる鎮静・ふらつきを経験する可能性があります。


現場での対策として、沢井製薬は医療機関への注意喚起を実施しています。薬局では保管場所を物理的に離す・類似薬注意のPOPを貼付するなどの対策が推奨されています。電子薬歴システムやPICS(調剤システム)に名称類似アラートを設定しておくことも有効な手段のひとつです。確認は1回ではなく、調製時と鑑査時の2回が原則です。


参考:名称類似薬の取り違え共有事例(日本医療機能評価機構・薬局ヒヤリハット)
ロラゼパム錠とロフラゼプ酸エチル錠の取り違えヒヤリハット事例 – PMDA






【指定第2類医薬品】イブA錠 90錠