レキサルティ錠2mgはすでに販売中止済みですが、OD錠2mgの薬価は錠剤と1錠あたり全く同額です。

2023年7月3日、大塚製薬はレキサルティ錠1mg・同錠2mgの販売中止を正式に発表しました。長年にわたって統合失調症治療の主力として使用されてきた剤形ですが、OD錠(口腔内崩壊錠)への移行が決定したかたちです。
告知後の流れを整理しておくと、出荷停止は2024年6月(在庫状況により前後)、正式な販売中止が2024年3月、そして経過措置期間満了・薬価削除が2025年3月31日となりました。2025年4月1日以降は保険請求自体ができなくなっています。これが原則です。
販売中止の理由について公式に詳細な説明はなされていませんが、2021年8月にOD錠0.5mg・1mg・2mgが薬事承認を受けており、OD錠への完全移行という方針のもと、剤形整理が行われたと考えられています。服薬アドヒアランスの課題を抱えやすい統合失調症治療において、水なしでも飲めるOD錠は現場ニーズに合っているとされていました。
代替品はレキサルティOD錠0.5mg・1mg・2mgの3規格です。
大塚製薬 医療関係者向け情報サイト(販売中止のご案内)。
大塚製薬 レキサルティ錠 販売中止のご案内(PDF)
まず確認しておきたいのは薬価です。レキサルティ錠剤2mgと、代替品であるOD錠2mgの薬価は同額に設定されています(2025年4月以降は1錠あたり461.90円)。「剤形が変わると薬価も変わるのでは」と感じるかもしれませんが、錠剤→OD錠の変更による患者負担の変動はありません。意外ですね。
次に、処方箋の記載変更が必要です。「レキサルティ錠2mg」と記載された処方箋は経過措置期間満了後は無効です。医師がすでに切り替えを行っていても、電子カルテのマスタやひな形が古いまま残っていると、誤ったまま出力されるリスクがあります。薬剤師側でも処方内容を確認する習慣が重要です。
さらに、OD錠への移行は単なる剤形変更以上の意味を持っています。錠剤には0.5mg規格が存在しませんでしたが、OD錠では0.5mgが新たに追加されました。強いCYP2D6阻害薬・CYP3A4阻害薬の双方を併用している患者、あるいはCYP2D6の代謝能が欠損していることが判明している患者に対して、「1回0.5mgを1日1回」という投与が可能になっています。錠剤時代には1回1mgを2日に1回という投与法しか選択できなかった場面で、選択肢が増えたといえます。これは使えそうです。
| 剤形 | 規格 | 1錠あたり薬価(2025年4月~) |
|---|---|---|
| レキサルティ錠(販売中止) | 1mg / 2mg | 薬価削除済み(旧価格:1mg 241.80円 / 2mg 461.90円) |
| レキサルティOD錠 | 0.5mg | 128.70円 |
| レキサルティOD錠 | 1mg | 241.80円 |
| レキサルティOD錠 | 2mg | 461.90円 |
しろぼんねっと(薬価一覧・レキサルティ系)。
レキサルティ錠2mgの同効薬・薬価一覧(しろぼんねっと)
錠剤が完全に市場から姿を消す2024〜2025年のタイミングに合わせるように、OD錠には大きな適応追加がありました。2024年9月24日付で「アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動」への適応が承認されています。これは国内において初めての承認であり、米国FDA(2023年5月承認)に続く形となりました。
従来のレキサルティの適応は「統合失調症」(2018年4月)と「うつ病・うつ状態(既存治療で効果不十分な場合)」(2023年12月)の2つでした。今回の承認により3つ目の適応が加わったことになります。
この適応追加は、現場への影響が非常に大きいものです。アルツハイマー型認知症に伴うアジテーション(行動・心理症状:BPSD)は認知症患者の約半数に認められ、介護者の負担増大や施設入所の一因にもなっています。これまでBPSDに対する抗精神病薬の使用は適応外での処方が中心でしたが、レキサルティOD錠に正式な保険適用が付いたことで、算定上の根拠が生まれました。
用量については、アジテーションへの用法が統合失調症・うつ病と異なる点に注意が必要です。アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションに対しては「1日1回0.5mgから開始し、1週間以上の間隔をあけて1日1回1mgへ増量」が基本です。忍容性に問題がなく効果不十分な場合に限り2mgへの増量が可能ですが、これも1週間以上の間隔が必要です。統合失調症での「4日以上の間隔」より長い増量インターバルである点も把握しておくべきでしょう。
大塚製薬 ニュースリリース(アルツハイマー型認知症の適応承認)。
大塚製薬|抗精神病薬「レキサルティ」日本における効能追加の承認取得(2024年9月)
ケアネット(適応承認の詳細解説)。
ケアネット|レキサルティ、アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションに承認
OD錠に切り替わったからといって、薬剤としての性質が変わるわけではありません。ブレクスピプラゾールとしての注意点はそのまま引き継がれます。
特に高齢患者に対してレキサルティOD錠を処方する際、見落とされやすいのが嚥下障害のリスクです。OD錠は「水なしで飲める」ため服薬が容易に思えますが、OD錠自体も口腔内で崩壊した後は唾液や少量の水と共に嚥下する必要があります。添付文書にも「本剤の投与により嚥下障害が発現または悪化し、誤嚥性肺炎に至るおそれがある」と明記されており、高齢者への投与では特に状態を注意深く観察する必要があります。
主な副作用として確認されているものには、アカシジア(じっとしていられない感覚)、体重増加、頭痛、下痢・嘔気、傾眠などがあります。アカシジアは外来患者や介護施設入居中の患者では訴えが出にくいケースもあり、定期的な確認が欠かせません。
また、薬物相互作用にも引き続き注意が必要です。レキサルティはCYP2D6およびCYP3A4を介して代謝されるため、これらを強く阻害する薬剤(フルオキセチン、パロキセチン、クラリスロマイシンなど)との併用時は用量調整が求められます。OD錠では0.5mgという低用量規格の活用が、こうした場面での有力な選択肢になります。
PMDAのリスク管理計画(RMP)文書。
PMDA|レキサルティ リスク管理計画(RMP)最新版
「剤形が変わっても処方は変わらない」と考えがちですが、現場では見落とされやすい変化が起きています。
統合失調症の薬物治療では、アドヒアランス(服薬継続性)の維持が治療成否を大きく左右します。錠剤のまま長期間服用してきた患者にとって、OD錠への切り替えは形状・口腔内での感覚・溶け方など体感上の変化をもたらすことがあり、「以前と違う薬になった」という不信感につながることもあります。精神科領域では服薬の継続性が特に重要であるため、この変更について患者への丁寧な説明が欠かせません。
OD錠は唾液で溶けますが、薬剤が舌上に残存する感覚が苦手な患者もいます。服薬時の違和感が継続すると、次第に飲まなくなるリスクがあります。これは一定数の臨床現場で実際に起きている問題です。少量の水で一緒に服用しても差し支えない点を患者に案内し、飲み方の工夫を一緒に確認することが服薬指導では有効です。
もう一点、見過ごされやすいのが在庫管理の観点です。錠剤・OD錠の双方を調剤していた薬局では、経過措置期間満了後の在庫廃棄タイミングや、残存在庫での調剤可否についての判断が必要でした。2025年3月31日の薬価削除をもって保険請求不可となったため、残在庫があっても医療保険の対象外となる点を整理しておく必要があります。これが条件です。
また、医療機関の電子カルテでは処方マスタの更新が遅れるケースがあります。販売中止品目が入力候補として残り続けることで、意図せずレキサルティ錠2mgが処方箋に記載されるミスが起きる可能性があります。薬剤師サイドでは、患者が持参した処方箋の品目名が現行品目かどうかを都度確認する運用を維持することが、調剤過誤予防の観点から重要です。
処方マスタ更新や経過措置品目確認には、公的なデータベースの活用も有効です。以下のサイトで経過措置品目の確認が可能です。

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