レキサルティ錠1mg販売中止とOD錠への切り替え対応

レキサルティ錠1mgは2024年3月に販売中止、経過措置は2025年3月31日で満了しました。OD錠への切り替え方法や注意点、新適応まで医療従事者が知るべき情報をまとめました。正しく対応できていますか?

レキサルティ錠1mg販売中止の経緯とOD錠切り替えの要点

レキサルティ錠1mgを「まだ処方し続けても大丈夫」と思っているなら、すでに保険請求が通らなくなっています。


📋 この記事の3つのポイント
販売中止・経過措置の終了

レキサルティ錠1mg・2mgは2024年3月に販売中止。経過措置期間は2025年3月31日に満了し、現在は保険給付の対象外となっています。

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OD錠への切り替えは同用量でOK

レキサルティ普通錠とOD錠の生物学的同等性は試験で確認済み。Cmax・AUCtの90%信頼区間は0.80〜1.25の範囲内に収まり、用量変更なしで切り替えられます。

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2024年9月に新適応を取得

販売中止と同時進行で、アルツハイマー型認知症に伴うアジテーション(焦燥感・易刺激性・興奮)に対する国内初の適応を取得。OD錠のみが対象です。


レキサルティ錠1mg販売中止の経緯と具体的なタイムライン



レキサルティ(一般名:ブレクスピプラゾール)は、大塚製が製造販売する非定型抗精神病薬です。2018年4月に統合失調症治療薬として発売され、同社の主要製品として位置づけられてきました。


販売中止の流れを時系列で整理すると、以下のようになります。


| 時期 | 内容 |
|------|------|
| 2021年11月 | レキサルティOD錠(0.5mg・1mg・2mg)の販売開始 |
| 2023年7月3日 | 大塚製薬が錠剤(1mg・2mg)の販売中止を発表 |
| 2024年3月 | レキサルティ錠1mg・2mgの出荷停止・販売中止 |
| 2024年3月5日 | 厚生労働省告示第56号にて経過措置品目に移行 |
| 2024年9月24日 | アルツハイマー型認知症アジテーションの適応追加承認取得 |
| 2025年3月31日 | 経過措置期間満了(保険給付終了) |


販売中止の背景には、OD錠への製品ラインナップの一本化という大塚製薬の戦略的意図があります。OD錠は口腔内で速やかに崩壊し、水なしでも服用できる利便性を持ちます。普通錠からOD錠へのシフトは製造効率の改善と患者利便性の両立を狙ったものとみられています。


これは単なる在庫整理ではありません。医療従事者側からすると、2025年3月31日を過ぎてもなお普通錠を処方・調剤してしまった場合、保険請求が認められないリスクがあります。実際に岡山労災病院などの医療機関では、2025年3月末の経過措置満了を前に採用リストを更新し、院内在庫の切り替え対応を実施しています。


経過措置期間中に対応が完了していた施設は問題ありませんが、手続きを見落としていた場合はOD錠への変更届や院内採用薬の更新が必要です。現時点で未対応であれば、早急に在庫状況と処方箋内容の確認を優先してください。


参考:大塚製薬からの「経過措置品目移行のお知らせ」(厚生労働省告示第56号に基づく公式案内)


大塚製薬公式:レキサルティ錠1mg・2mg 経過措置品目移行のお知らせ(PDF)


レキサルティ錠1mg販売中止後のOD錠への切り替え方法と注意点

「剤形が変わるから、また用量を検討し直す必要があるのでは」と感じる医療従事者もいるかもしれません。結論から言うと、基本的に用量変更なしで切り替えられます。


レキサルティ普通錠1mgとOD錠1mgの間では、大塚製薬が生物学的同等性試験を実施しています。その結果、CmaxおよびAUCtの幾何平均比の90%信頼区間がいずれも0.80〜1.25の範囲内に収まっており、生物学的同等性が確認されています。つまり体内への吸収量・吸収速度はほぼ変わりません。


同用量でOKということですね。


ただし、OD錠への切り替えに際していくつかの実務上の注意点があります。


🔸 服用方法の指導が必要


OD錠は舌の上に置き、唾液を含ませると速やかに崩壊します。水なしでの服用も可能ですが、寝たままの状態では水なし服用を避けるよう指導が必要です。崩壊した薬剤が喉周辺に残ることがあるためです。


🔸 半錠・粉砕は原則不可


OD錠は通常、半錠や粉砕を想定した設計になっていません。細かな用量調整が必要な患者に対しては、0.5mgのOD錠が新たに用意されているため、そちらの活用を検討してください。


🔸 CYP2D6・CYP3A4阻害薬との相互作用に変更なし


パロキセチンやキニジンなどのCYP2D6阻害薬との併用時は、ブレクスピプラゾールの血中濃度が上昇するリスクがあります。これは剤形変更によらず共通の注意点です。最大用量を超えないよう、引き続き注意が必要です。


参考:PMDA添付文書(OD錠・錠剤の両方に関する薬物動態情報を収録)


レキサルティ インタビューフォーム(第12版・2025年4月改訂)|JAPIC


レキサルティ錠1mg販売中止と同時進行した新適応の取得内容

普通錠が市場から消える一方で、レキサルティは新たな適応を取得しました。これは見落としがちな重要な変化です。


2024年9月24日、大塚製薬はレキサルティOD錠について「アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動」の治療に関する効能追加の承認を取得しました。この適応は日本国内初であり、世界的にみても米国(2023年5月FDA承認)、カナダ、フィリピン、台湾に続く承認です。


この新適応における用法・用量は、統合失調症やうつ病とは異なります。


| 適応 | 開始用量 | 増量間隔 | 維持用量 |
|------|----------|----------|----------|
| 統合失調症 | 1mg/日 | 4日以上 | 2mg/日 |
| うつ病・うつ状態(増強療法) | 1mg/日 | 4日以上 | 1〜2mg/日 |
| ADアジテーション | 0.5mg/日 | 1週間以上 | 1mg/日 |


アジテーション適応では、開始用量が0.5mgと低く設定されており、増量間隔も1週間以上と慎重なスケジュールが求められます。これは認知症を有する高齢者が対象であり、転倒リスクや誤嚥性肺炎のリスクへの配慮が反映されたものです。


大切な条件があります。この適応は「アルツハイマー型認知症」にのみ使用できます。レビー小体型認知症や前頭側頭型認知症などその他の認知症性疾患に伴うアジテーションには適応外となるため、診断を慎重に確認したうえで使用する必要があります。


また、抗精神病薬全般において「高齢認知症患者への投与で死亡リスクが増加するおそれがある」旨が警告されています。レキサルティも例外ではなく、添付文書の警告欄を熟読したうえで処方の必要性を十分に吟味することが求められます。


参考:大塚製薬によるレキサルティの適応追加に関する公式発表


大塚製薬プレスリリース:レキサルティ アルツハイマー型認知症アジテーション適応取得(2024年9月)


レキサルティ錠1mg販売中止後に医療現場が見落としやすいリスクポイント

経過措置が終了した今、現場で実際に起きやすいミスを整理しておくことは現実的な価値があります。


⚠️ 見落とし①:処方箋に「レキサルティ錠1mg」と記載されたまま


患者が長期にわたって同じ処方を受け続けている場合、処方箋の記載が更新されないまま残っているケースがあります。2025年3月31日以降も「レキサルティ錠1mg」と記載した処方を出してしまうと、薬局で調剤ができないだけでなく、患者の薬が途切れる可能性があります。定期処方の見直しを今すぐ確認することが原則です。


⚠️ 見落とし②:院内採用薬リストが更新されていない


病院や診療所の薬事委員会で正式に採用リストを更新していなければ、電子カルテのマスタにも古い品目が残り続けます。電子カルテから処方入力する際に「レキサルティ錠1mg」が候補として表示され続ける環境では、誤って選択するリスクがゼロではありません。薬剤部門への確認が条件です。


⚠️ 見落とし③:患者への説明が不十分


「いつもの薬が形だけ変わった」という説明に終わってしまうと、患者がOD錠を誤った方法で服用するリスクがあります。特に高齢の認知症患者に対しては、「舌の上で溶かせる錠剤になった」「水なしでも飲めるが、寝たまま飲まないこと」といった具体的な指導が重要です。


⚠️ 見落とし④:0.5mgという新規格の存在を把握していない


普通錠には0.5mgの規格はありませんでしたが、OD錠には0.5mgが存在します。副作用に敏感な患者や高齢者に対して、今後は最低0.5mgから開始するという選択肢が実際に使える状況になっています。これを知らないと、より安全な低用量スタートの機会を逃します。これは使えそうです。


レキサルティ錠 最新添付文書(PMDA・2024年9月改訂版)


レキサルティ錠1mg販売中止を受けた処方・調剤の今後の実務対応まとめ

ここまでの内容を踏まえ、医療従事者が現時点で実施すべき対応を整理します。


✅ 処方医がすべき対応


定期処方している患者全員の処方内容を見直し、「レキサルティ錠1mg」や「レキサルティ錠2mg」が残っている場合は、速やかにOD錠(1mg・2mg)へ変更してください。電子カルテの処方オーダーに残存している場合も同様です。


生物学的同等性は確認されているため、用量は1:1で切り替えられます。ただし、服用方法の変更(水なし服用の可否、崩壊のしかたなど)については、再度患者に説明することが求められます。


✅ 薬剤師がすべき対応


院内・薬局内の採用薬リストから普通錠を削除し、OD錠のみを採用リストに残します。院外処方箋で「レキサルティ錠1mg」が処方されてきた場合には、処方医に疑義照会を行いOD錠への変更を依頼してください。


患者への服薬指導では、OD錠の崩壊方法や保管方法(高温・多湿を避ける)を丁寧に説明することが重要です。OD錠は湿気に敏感な製品が多く、分包後は吸湿に注意する必要があります。


✅ 認知症患者に処方する場合の追加確認事項


2024年9月から、レキサルティOD錠はアルツハイマー型認知症のアジテーション(焦燥感・易刺激性・興奮)に対して正式に使用できるようになりました。ただし適応はアルツハイマー型認知症に限定されており、開始用量は0.5mg/日から、増量は1週間以上の間隔をあけて1mg/日に移行するという特定のスケジュールを守る必要があります。


また、高齢認知症患者に抗精神病薬を使用する場合は転倒・骨折リスクや誤嚥性肺炎リスクが高まる点にも注意が必要です。投与開始後は患者の状態を注意深く観察し、副作用の早期発見に努めることが原則です。


OD錠への切り替えそのものは技術的にシンプルです。しかし経過措置の満了という「締め切り」をすでに過ぎている現在、確認が遅れるほど処方・調剤・保険請求の現場で問題が発生するリスクは高まります。まず手元の処方箋と採用薬リストを確認することを最初の一歩にしてください。


大塚製薬医療関係者向けサイト:レキサルティOD錠 製品情報ページ(要医療関係者登録)


CareNet:レキサルティ アルツハイマー型認知症アジテーション適応取得に関するニュース






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