プロペシア錠を処方する患者は服用中にPSA値が約50%低下するため、前立腺がんを見逃すリスクがあります。
医薬品情報データベースやレセプト系システムでプロペシア錠を検索すると、薬価の欄に「0.00円」や「薬価基準未収載」と表示されることがあります。これは入力ミスではありません。
プロペシア錠(一般名:フィナステリド錠)は、厚生労働省が定める薬価基準に収載されていない医薬品です。つまり、保険診療の対象外として位置づけられており、どの医療機関で処方しても保険給付が発生しません。この状況は先発品のプロペシア錠だけでなく、沢井製薬・東和薬品・ヴィアトリス社などが販売する後発品(ジェネリック医薬品)も同様です。
薬価基準未収載となる医薬品には、いくつかの類型があります。避妊薬・ED治療薬・男性型脱毛症治療薬・放射性除去剤などがその代表です。つまり構造的に、AGA治療薬として使用するフィナステリドはこのカテゴリに属しています。
これが基本です。
医療機関への実務上の影響として押さえておくべきことがあります。院内でプロペシア錠やフィナステリド錠を採用する場合、その薬の仕入れコストはすべて自費診療収入から賄われます。保険点数による補填はゼロのため、院内採用価格と患者への処方価格の設定を医療機関ごとに行う必要があります。薬事法上の問題はありませんが、価格の透明性を患者に明示することが重要です。
参考:薬価基準未収載薬の定義と院内での取り扱い注意事項について詳しく解説しています。
一宮市民病院 薬剤部 DI News 2015年版(薬価基準未収載医療用医薬品の取り扱い)
プロペシア錠には「0.2mg錠」と「1mg錠」の2規格が存在します。AGA治療での標準用量は1日1mg(1mg錠を1錠)ですが、0.2mg錠から少量で開始するケースも臨床では見られます。
価格相場は規格と製品の種類によって異なります。主な製品と目安価格を以下の表に整理します。
| 製品区分 | 規格 | 価格帯(28〜30錠) |
|---|---|---|
| 先発品(プロペシア/オルガノン) | 1mg | 約7,200〜8,800円 |
| 国内後発品(フィナステリド錠各社) | 1mg | 約3,400〜4,800円 |
| 海外ジェネリック(フィンペシア等) | 1mg | 約1,500〜2,800円 |
国内後発品のメーカーとしては、沢井製薬・東和薬品・ヴィアトリス(旧ファイザー)・日医工岐阜工場(日医工NIG)などが挙げられます。いずれも有効成分であるフィナステリドの含有量と生物学的同等性は先発品と同等であることが国によって承認されています。これは問題ありません。
ただし0.2mg錠と1mg錠では、1mgあたりのコストパフォーマンスが1mg錠のほうが有利です。0.2mg錠を5倍量服用することと、1mg錠を1錠服用することの薬効は同等ですが、費用は1mg錠のほうが低くなるケースが多くなります。価格設定を患者に説明する際には、規格選択の根拠をあわせて提示すると、患者の納得感が高まります。
参考:先発品・後発品の価格差と選択のポイントを医師監修のもと解説しています。
浜松町第一クリニック公式サイト:フィナステリド(プロペシアのジェネリック薬)とは
薬価基準未収載薬であるプロペシア錠・フィナステリド錠は、保険診療のルールが適用されません。そのため処方価格は、各医療機関が独自の判断で決定できます。これは制度として認められた合法的な取り扱いです。
実務上の価格設定では、主に次の3つのコストが積み重なります。①製薬会社から卸業者を経由した仕入れ価格、②処方・調剤に係る院内の人件費・管理費、③適切な利益マージンです。大都市圏の大型AGAクリニックでは宣伝費も価格に転嫁されるため、同じ後発品でも月額が2〜3倍に膨らむケースがあります。
価格差は意外です。
患者への説明で注意が必要なのは、「自由診療だから高くても仕方ない」という姿勢は医療倫理上望ましくないという点です。診察・処方に係るすべての費用を事前に明示し、書面または院内掲示で患者が確認できる状態にすることが求められます。これは特定商取引法の観点からも重要です。
また、AGA治療にかかる費用は国税庁の見解において「容姿を整える目的の美容的治療費」に該当するとみなされるため、原則として医療費控除の対象外です。患者に「確定申告で控除できますか?」と質問された際には、正確に「原則は対象外です」と伝える必要があります。正しく説明するだけで患者との信頼関係が深まります。
参考:AGA治療費と医療費控除の関係について、税務上の根拠とともに解説しています。
湘南AGAクリニック:AGA治療(フィナステリド錠)は医療費控除の対象外
フィナステリドは5α還元酵素Ⅱ型を阻害することでジヒドロテストステロン(DHT)の産生を抑制し、毛包の縮小化を防ぎます。この同じメカニズムが前立腺にも作用するため、血清PSA(前立腺特異抗原)値を著明に低下させます。
臨床試験のデータでは、フィナステリド1mgを継続服用した場合、1年以内に血清PSA値が平均で約50%低下することが確認されています。これは数値として非常に大きな変化です。たとえば服用前のPSA値が3.0ng/mLだった患者が、服用後に1.5ng/mLと測定されても「正常範囲」と判定されてしまう可能性があります。前立腺がんのスクリーニングでは4.0ng/mL以上を要注意とするケースが多いため、見かけ上の正常値がリスクを隠す形になりかねません。
これは見逃せないポイントです。
日本泌尿器科学会「前立腺がん検診ガイドライン 2018年版」でも、フィナステリドやデュタステリド服用者のPSA値は約50%に低下するため、検診の際には測定値を2倍に補正して評価することが推奨されています。医療従事者として押さえておくべき実践的な知識です。
具体的な対応として、プロペシア錠・フィナステリド錠を処方する際には次の2点を患者に必ず説明してください。①健康診断や人間ドック受診時に「フィナステリドを服用中」であることを担当医師に伝えること、②PSA検査の結果が出た場合は服用の事実を念頭において担当医が2倍補正で解釈すること。この説明は患者の安全に直結します。
参考:前立腺がんスクリーニングにおけるフィナステリドの影響を詳しく解説しています。
日本泌尿器科学会:前立腺がん検診ガイドライン 2018年版(PDF)
インターネット上では、フィンペシア(インド製ジェネリック)などの海外製フィナステリドが1mg×30錠で1,500〜2,800円程度という破格の価格で流通しています。国内クリニックで処方される国内後発品の約半額以下という価格差があります。患者がこの情報を持って来院し、「個人輸入ではダメですか?」と問われる場面も臨床では起きています。
医療従事者として明確に伝えるべき点は以下の通りです。
救済制度が適用されない点は特に大きなデメリットです。
患者がどうしてもコストを抑えたい場合には、国内後発品への切り替えや、オンライン診療を活用した低価格クリニックの利用を案内するのが適切な対応です。個人輸入を暗黙に認めるかたちで処方だけを継続する医師患者関係は、双方にとってリスクになります。医療従事者として価格の問題と安全性の問題をしっかり切り分けて説明することが、適切なリスクマネジメントになります。
参考:個人輸入の法的・安全上のリスクを詳しく解説しています。
イースト駅前クリニック:プロペシアの個人輸入は危険性が高い?副作用や法的リスクを徹底解説

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