ペルサンチン錠25mg販売中止と代替薬への切替対応

ペルサンチン錠25mgの販売・供給停止の経緯と理由、代替となるジピリダモール後発品の選択肢、切替時の適応症別注意点を医療従事者向けに詳しく解説します。あなたの施設では適切な対応が取れていますか?

ペルサンチン錠25mg販売中止の理由と代替薬・切替対応まとめ

ジェネリックへ切り替えれば適応症がそのまま引き継がれるとは限りません。


⚠️ この記事の3ポイント要約
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販売中止・供給停止の経緯

日本ベーリンガーインゲルハイムからMedical Parklandへの販売移管後、製造所移管の大幅な遅延により2022年・2025年と複数回にわたり供給停止が発生。現在は事実上の入手困難状態。

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代替薬の選択肢

ジピリダモール錠「トーワ」「JG」「ツルハラ」など複数の後発品が存在するが、後発品自体も出荷調整・供給停止が相次いでいるため、複数メーカーでの在庫確保が急務。

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適応症別の切替注意点

ネフローゼ症候群(蛋白尿減少)適応はジピリダモール100mg製剤のみ保険適用。25mg後発品への単純切替では算定上の注意が必要。心筋シンチ負荷用の注射製剤とは完全に別製品。


ペルサンチン錠25mgの販売中止・供給停止に至った経緯



ペルサンチン錠(一般名:ジピリダモール)は、かつて日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社が製造販売していた冠血管拡張剤・抗血小板薬です。製品ラインは12.5mg・25mg・100mgの経口錠と、別剤形のペルサンチン-Lカプセル150mgで構成されていました。


まず先行して販売中止となったのはペルサンチン-Lカプセル150mgで、ドイツ本国の製造所閉鎖と国内への技術移管失敗を理由に、2020年6月以降の安定供給が困難となり事実上消滅しました。一方、錠剤は継続製造販売とアナウンスされていましたが、その後も状況は好転しませんでした。


錠剤については日本ベーリンガーインゲルハイムからMedical Parkland株式会社(東京都目黒区自由が丘)への販売移管が行われましたが、この製造所移管が大幅に遅延しました。その結果、2022年4月30日付けで販売移管と同時に供給停止が発生し、さらに2024年4月・2025年2月と複数回にわたって「供給停止に関するお知らせとお詫び」が公表される事態となっています。


現在の状況はシンプルです。製造所移管のスケジュールが立て直せず、市場への安定供給が事実上できていない状態が続いています。


医療安全の観点から重要な点として、販売中止の理由はジピリダモールという成分そのものの安全性問題や重篤な副作用の多発ではありません。あくまで製造・流通上の問題、すなわちサプライチェーンの崩壊が本質です。これを正確に患者や他職種に伝えることが医療従事者には求められます。


DSJP(医療用医薬品供給状況データベース):ペルサンチン錠25mg の供給停止履歴一覧(各社・各包装の告知日・実施日が確認可能)


ペルサンチン錠25mgの主な適応症とジピリダモールの薬理作用

代替薬を選定する前に、ペルサンチン錠25mgが何のために処方されていたかを整理することが原則です。


ジピリダモールの主な薬理作用は「ホスホジエステラーゼ阻害によるcAMP増加」と「アデノシン取り込み阻害」の2経路です。結果として血小板凝集が抑制され、冠動脈が拡張します。また糸球体係蹄壁の陰荷電減少を抑制する作用が、腎臓における蛋白尿の減少につながります。


ペルサンチン錠25mgの保険適用上の効能・効果は大きく2つです。1つ目は「狭心症、心筋梗塞(急性期を除く)、その他の虚血性心疾患」、2つ目は「ワーファリン(ワルファリン)との併用による心臓弁置換術後の血栓・塞栓の抑制」です。重要なのは、ネフローゼ症候群における尿蛋白減少はジピリダモール100mg製剤の適応であり、25mg製剤単独での保険算定には注意が必要な点です。


用量についても確認しておくことが基本です。抗血小板目的(虚血性心疾患・弁置換後)では通常1日100~200mgを分割投与、尿蛋白減少目的では1日300mgを3回分割投与という違いがあります。つまり「25mgを1日3回」と「100mgを1日3回」では適応が異なる可能性があり、単純な錠数換算では済まないケースが生じます。


この情報を知っているだけで、後発品切替時のインシデントを未然に防ぐことができます。


ペルサンチン錠25mg販売中止後の代替品と後発品の選択肢

現在、ペルサンチン錠25mgの代替候補として医療現場で使用されている後発品は主に3品目です。


1つ目は「ジピリダモール錠25mg『トーワ』」(東和薬品)で、多くの病院・薬局で第一選択として採用されています。伊勢原協同病院・多可赤十字病院などの薬事委員会資料でも「ジピリダモール錠25mg『トーワ』」への切替が明記されています。2つ目は「ジピリダモール錠25mg『JG』」(日本ジェネリック/長生堂製薬製造)です。3つ目は「ジピリダモール錠25mg『ツルハラ』」(鶴原製薬)で、後発品(加算対象)として薬価収載されています。


ただし、後発品もまた安泰ではありません。DSJP(医療用医薬品供給状況データベース)によれば、「ジピリダモール錠25mg『JG』」は2024年11月1日・2024年12月25日と相次いで供給停止が告知されています。東和薬品「トーワ」は2025年12月10日付で一部包装の供給停止を告知しています。後発品に変えれば解決という状況ではないということです。


医療施設の担当薬剤師が取るべき実務的なアクションは明確です。まず現在の処方患者数と1か月の消費量を正確に把握し、複数メーカーの後発品を組み合わせて在庫を分散させることが当面の安全策です。単一メーカーへの依存は、そのメーカーが供給停止になった際に処方継続が即座に困難になるリスクを抱えます。


後発品名 販売会社 薬価(25mg/錠) 備考
ジピリダモール錠25mg「トーワ」 東和薬品 約6.0円 広く採用。一部包装は2025年12月に供給停止
ジピリダモール錠25mg「JG」 日本ジェネリック 約6.0円 2024年に複数回の供給停止告知あり
ジピリダモール錠25mg「ツルハラ」 鶴原製薬 約6.0円 後発品(加算対象)として収載


DATA INDEX:ペルサンチン錠25mgの先発品・後発品一覧(各ジェネリックの薬価コード・加算情報を確認可能)


ネフローゼ症候群・心臓弁置換術後における切替時の注意点

医療従事者が最も注意を要するのが、適応症ごとの切替判断です。ここを誤ると、処方監査や保険請求の場面で問題が生じます。


まず心臓弁置換術後の血栓・塞栓予防で使用されているケースでは、ワルファリン(ワーファリン)との併用が前提となっていることが多いです。ジピリダモールを突然中断すると血小板凝集抑制が失われ、血栓リスクが高まる可能性があります。INRの変動を監視しながら同成分の後発品へ速やかに切り替えることが優先事項です。この場合、25mg・100mg規格いずれも対応する後発品があるため、用量を変えずに一般名処方・後発品変更で対応可能です。


次にネフローゼ症候群の蛋白尿減少目的の処方については、注意が必要です。保険算定上、この適応に対応しているのはジピリダモール100mg製剤です。1日300mgを3回分割投与という用法が定められており、25mg錠12錠/日での代替投与は用法上現実的でなく、処方意図と後発品規格の整合性を処方医・薬剤師間で明確に確認する必要があります。


  • 🔵 心臓弁置換術後・虚血性心疾患:25mg後発品への切替は原則問題なし。一般名処方への切替を機に後発品へ変更することが推奨される
  • 🟡 ネフローゼ症候群(蛋白尿減少):100mg製剤での処方を原則とし、切替時は処方医と用量・規格の再確認が必須
  • 🔴 ワルファリン併用中の患者:切替期間中はPT-INRの変動を通常より厳重にモニタリングすること


切替の際は薬剤師主導で処方変更提案書を作成し、処方医・病棟との連携を文書化することが望ましいです。記録が残ることで、後に疑義照会が発生した際の対応も迅速になります。


社会保険診療報酬支払基金:ジピリダモール製剤(腎疾患等)の算定に関する審査取扱い(100mg製剤の適応要件が明記)


心筋シンチグラフィ負荷試験とペルサンチン経口錠の関係性【独自視点】

「ペルサンチン錠が販売中止になると、心筋シンチグラフィの薬剤負荷試験もできなくなるのでは」という疑問を持つ医療従事者は少なくありません。結論は、影響しないです。


核医学検査で用いられる負荷薬剤としてのジピリダモールは、経口錠ではなく静脈内注射製剤として使用されます。これはペルサンチン錠とは完全に別の製品区分です。心筋血流シンチグラフィにおける薬剤負荷(0.56mg/kg・4分間で静注)に用いるジピリダモール注射液は、経口錠の販売中止とは無関係の別ラインで流通しています。


ただし一点確認が必要です。現時点で国内でのジピリダモール注射液の安定供給状況を施設ごとに確認することが肝要です。核医学検査の実施が多い大規模病院では、注射製剤の在庫状況を検査部・放射線科と薬剤部が連携して管理することが求められます。


さらに踏み込んだ視点として、日本循環器学会および日本核医学会の指針では、ジピリダモール負荷に代わる薬剤としてアデノシン・ATPが選択肢に挙げられています。血液透析患者ではアデノシンの方が副作用プロファイルに優れるとのエビデンスも蓄積されており、施設の検査体制によってはアデノシン負荷法への移行が現実的な選択肢になります。


経口錠の中止をきっかけに、検査体制全体を見直す機会と捉えることが医療機関としての賢明な対応です。


日本核医学技術学会:薬剤による心筋負荷(アデノシン、ジピリダモール、ATP)の概説(各負荷薬剤の比較・使い分けが参照可能)


施設・薬局が今すぐ取るべき実務対応と今後の展望

販売中止・供給停止が長期化するなかで、医療従事者が「待ちの姿勢」をとることは最もリスクが高い選択です。以下に実務レベルでの具体的な対応をまとめます。


在庫管理の即時見直しが最初のステップです。ペルサンチン錠25mgの現在庫日数を計算し、後発品への切替完了までのタイムラインを設定することが急務です。一般的な目安として、在庫残日数が30日を切った時点で後発品への完全移行を完了させていることが安全圏です。


一般名処方への切替推進も重要です。処方箋に「ジピリダモール錠25mg」と一般名で記載することで、薬局側で利用可能な後発品を柔軟に選択できます。複数メーカーを使い分けることで、単一メーカー依存による供給リスクを分散できます。


患者への説明と同意取得については、薬の見た目(錠剤の色・大きさ・コーティング)が変わることへの事前の説明が特に高齢者や慢性疾患の長期服用患者には重要です。「成分は同じだが製品が変わる」という説明を文書で提供するか、口頭で丁寧に行うことで、服薬継続率の低下を防ぐことができます。


今後の展望として、Medical Parklandが製造所移管の完了を果たした場合、ペルサンチン錠の供給が再開される可能性がゼロではありません。しかし現状の遅延の規模を考えると、短期的な再開を前提とした処方計画を立てることは賢明ではありません。中長期的には後発品を主体とした処方体制への完全移行を前提に準備を進めることが、医療機関にとって最もリスクの少ない選択です。


  • 在庫残30日を切る前に後発品切替を完了させる
  • 複数メーカー(東和薬品・日本ジェネリック・鶴原製薬)から調達先を分散させる
  • 一般名処方に切り替えることで薬局との連携をスムーズにする
  • ネフローゼ症候群適応の患者には100mg後発品での処方継続を処方医と確認する
  • ワルファリン併用患者は切替後のINRモニタリング頻度を一時的に増やす
  • DI(医薬品情報)の定期チェック:DSJP・各メーカーのお知らせページを月1回以上確認する


医薬品の安定供給問題は、ペルサンチン錠に限らず現在の日本の医療現場が広く直面している構造的な課題です。厚生労働省は後発医薬品の供給不安品目について、後発品調剤体制加算の算定要件計算から一時的に除外する臨時措置を2026年3月分まで継続しています。政策動向も含めて情報収集を続けることが、施設薬剤師・医師双方にとって不可欠なアクションとなります。


DSJP(医療用医薬品供給状況データベース):ジピリダモール各後発品の最新供給状況をリアルタイムで確認できる公開データベース






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