エクセラーゼ配合錠代替の選び方と成分別切り替え完全ガイド

エクセラーゼ配合錠は2024年3月に販売中止。代替薬の選択に悩む医療従事者向けに、成分比較から切り替え時の注意点まで徹底解説。あなたの処方判断は最適ですか?

エクセラーゼ配合錠の代替薬を正しく選ぶための完全ガイド

「同じ消化酵素製剤だから代替はどれでもいい」と判断すると、患者への効果が半分以下になる可能性があります。


この記事の3つのポイント
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代替品はベリチームとマックターゼの2択

2024年3月31日の経過措置終了後、「消化異常症状の改善」適応で残存する現実的な代替薬は事実上この2製品のみ。他の後発品14品目のうちほぼすべてが販売中止済み。

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成分は一致しない——単純置き換えは要注意

エクセラーゼのサナクターゼM・プロクターゼ・オリパーゼ2S・メイセラーゼ・膵臓性消化酵素TAと完全に同一成分を持つ製剤はなく、メーカー自身が「代替品の案内ができない」と明記している。

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剤形と適応で使い分けが決まる

ベリチームは顆粒・錠剤あり、マックターゼは錠剤のみ。嚥下困難患者・経管投与の有無・患者のコンプライアンスによって選択肢が変わる。


エクセラーゼ配合錠の販売中止背景と医療現場への影響



エクセラーゼ配合錠(Meiji Seika ファルマ)は1976年の価収載以来、約48年にわたり「消化異常症状の改善」の効能で処方されてきた消化酵素製剤です。2022年10月にMeiji Seika ファルマから医療関係者向けに販売中止の案内が発出され、2023年12月に特約店への出荷を終了、2024年3月31日をもって経過措置期間が満了しました。


販売中止の理由は「諸般の事情」と記載するのが業界慣習の中、同社は異例にも詳細な背景説明を文書に盛り込みました。その内容は、①新薬登場に伴う消化器疾患治療の進展による臨床的位置づけの変化、②販売数量の継続的減少、③度重なる薬価改定により日本薬局方収載品の最低薬価(10.10円)を下回る1錠5.70円まで薬価が下落し、品質維持のための設備投資や安定供給体制の整備が困難になったこと、の3点です。


SNS上では医療関係者から「苦境に同情的な声」や「詳細な説明を評価する意見」が多く寄せられました。この点は医薬品業界でも注目され、同社の広報グループは「公表可能な事実を全て記したまでのこと」と回答しています。


医療現場への影響として深刻なのは、エクセラーゼだけが単独で製造中止になったわけではなく、消化酵素後発品14品目のうちほぼすべてが2024年4月時点で販売中止になっていた点です。処方の選択肢が一気に狭まった状況の中で、正確な代替薬の知識が薬剤師・医師双方に求められています。


処方切り替えに必要な情報が集約されています。


Meiji Seika ファルマ公式「エクセラーゼ配合錠 販売中止のご案内」(同効薬一覧・経過措置日程を含む)


エクセラーゼ配合錠の成分構造と代替を難しくする理由

エクセラーゼ配合錠の特徴を正確に理解することが、適切な代替薬選択の第一歩です。同剤は1錠中に以下の成分を含む有核錠(腸溶性内核錠+外層の二層構造)で設計されていました。


成分名 含量(1錠中) 主な消化活性 配合部位
サナクターゼM 50mg でんぷん消化力(S) 外層(胃溶性)
メイセラーゼ 50mg 繊維素消化力(F) 外層(胃溶性)
プロクターゼ 100mg たん白消化力(P) 外層(胃溶性)
オリパーゼ2S 20mg 脂肪消化力(L) 外層(胃溶性)
膵臓性消化酵素TA 100mg でんぷん・たん白・脂肪消化力(SPL) 腸溶性内核錠


この5成分の組み合わせが重要です。外層の微生物由来酵素が胃内の弱酸性環境(pH3〜5)で先に消化活性を発揮し、その後腸溶性内核のパンクレアチン(膵臓性消化酵素TA)がアルカリ側(pH8前後)の十二指腸・小腸内で消化を引き継ぐ、二段階のメカニズムが設計されていました。


注目すべきは、Meiji Seika ファルマ自身が販売中止案内の中で「消化酵素複合剤の中で本剤と同じ有効成分を含有する薬剤がないため、弊社から代替品をご案内することができません」と明記していることです。つまり、成分が完全に一致する製剤は存在しないのが実態です。これは医療従事者が処方変更をする際に「同成分・同一効果」として単純に置き換えることができない根拠になります。成分の差異を把握した上で選択することが原則です。


各消化酵素製剤の成分・消化力データの学術的根拠はこちらで確認できます。


エクセラーゼ配合錠の代替薬として残存する選択肢の比較

2024年4月時点で、「消化異常症状の改善」を適応症として処方可能な消化酵素製剤は大幅に絞られました。後発品14品目のうちほぼ全品が販売中止となり、現実的な選択肢はベリチーム配合顆粒(共和薬品工業)とマックターゼ配合錠(沢井製薬)の2製品が中心です。リパクレオン(パンクレリパーゼ製剤)は「膵外分泌機能不全における膵消化酵素の補充」が適応であり、単純な消化異常症状に対する処方には適応外となります。


製品名 適応症 用法用量 薬価(2024年時点) 剤形
ベリチーム配合顆粒 消化異常症状の改善 1回0.4〜1g、1日3回、食後 約21円/g 顆粒(胃溶性+腸溶性)
マックターゼ配合錠 消化異常症状の改善 1回2錠、1日3回、食直後 約5.90円/錠 フィルムコーティング錠
リパクレオン顆粒300mg 膵外分泌機能不全 1回600mg、1日3回、食直後 約56.4円/包 腸溶性顆粒


マックターゼ配合錠の成分は1錠中にビオヂアスターゼ2000(10.0mg)・ニューラーゼ(9.0mg)・セルラーゼAP3(5.0mg)・膵臓性消化酵素8AP(26.0mg)・プロザイム6(5.5mg)を含有します。ベリチーム配合顆粒の成分は1g換算でビオヂアスターゼ1000・リパーゼAP6・セルラーゼAP3(胃溶性顆粒)と濃厚パンクレアチン(腸溶性顆粒)の組み合わせです。いずれもエクセラーゼとは固有原薬が異なりますが、三大栄養素(でんぷん・たん白・脂肪)に加えて繊維素消化力を持つ点は共通しています。


ベリチームとマックターゼのどちらを選ぶかは、患者の状況によって決まります。ここが重要な判断ポイントです。嚥下機能に問題がある高齢患者や、経管栄養との併用が想定されるケースではベリチーム配合顆粒の顆粒形態が有用です。錠剤内服に問題のない患者、患者の薬価負担を抑えたいケースではマックターゼ配合錠が選択しやすいでしょう。


代替薬切り替え時に見落としがちな実践的注意点

エクセラーゼからの切り替えで特に注意すべき点が複数あります。まず、用法の差異です。エクセラーゼは「食直後」に1日3回1錠ずつでしたが、マックターゼ配合錠は「食直後」に1日3回2錠ずつ(1日6錠)となります。ベリチーム配合顆粒は「食後」であり、「食直後」ではありません。この1語の違いは実際の効果発現タイミングに影響することがあるため、患者指導の際に正確に伝えることが求められます。


服用タイミングが薬効に直結します。


次に、アレルギー歴の確認です。エクセラーゼを含む多くの消化酵素製剤はブタ・ウシ由来のパンクレアチンを含有しています。ブタまたはウシのたん白質に過敏症を持つ患者には使用できないため、切り替え時に必ずアレルギー歴を再確認してください。同一クラスの薬剤でも原薬の由来や種類が製剤間で異なるケースがあります。


また、粉砕・懸濁投与の可否も確認が必要です。マックターゼ配合錠はフィルムコーティング錠であり、粉砕した場合は腸溶性設計が損なわれる可能性があります。経管投与や嚥下困難患者への投与形態変更が必要な場合は、事前にメーカーのインタビューフォームや製品Q&Aを参照する、または各製造販売元のMRに確認することが重要です。沢井製薬のマックターゼ配合錠については「懸濁後のチューブ通過性」に関する資料が公開されています。


一般名処方を行う際も注意が必要です。


一般名処方の標準的な記載はマックターゼ配合錠の場合「【般】ビオヂアスターゼ2000等消化酵素配合錠」となります。一般名処方箋でエクセラーゼと同一の記載を行うと調剤薬局で疑義照会が発生するケースがあるため、切り替え後の処方箋記載様式を確認しておくことが業務の効率化につながります。


消化酵素製剤の処方を再考する独自視点——「消化酵素を補う」ことの本質的意義

エクセラーゼを長年処方してきた患者への切り替えは、単なる薬剤変更ではなく、改めてその患者に「なぜ消化酵素製剤を処方しているのか」を問い直す機会でもあります。これは検索上位記事がほとんど触れない視点です。


消化酵素製剤が臨床で求められる場面は大きく3つに分類できます。第一は慢性膵炎・膵切除後などの膵外分泌機能障害による酵素分泌低下(この場合は適応の違いからリパクレオンが優先されます)。第二は加齢に伴う消化機能全般の低下(高齢患者への消化補助)。第三は機能性胃腸障害・消化異常症状に対する対症療法的使用です。


第一の用途にエクセラーゼが処方されていた場合、代替はリパクレオンが本来の適応に合致しますが、薬価が約56円/包と他剤の10倍程度であることから経済的負担の違いを患者に説明した上で選択する必要があります。第二・第三の用途ではベリチームまたはマックターゼへの切り替えが現実的です。


慢性膵炎患者への酵素補充療法については学術的根拠があります。


また、消化酵素製剤の内服継続が「本当に必要か」を検討することも、切り替えを機に価値があります。消化器疾患の薬物治療が進歩した現代では、プロトンポンプ阻害薬や消化管運動改善薬など他クラスの薬剤で根本治療が可能なケースも増えています。Meiji Seika ファルマ自身が販売中止理由の一つとして「新薬登場による消化器疾患の薬物治療の進展に伴う臨床的位置づけの変化」を挙げている背景には、この現実が反映されています。切り替え時は処方整理や処方見直しの契機として活用することも、医療従事者としての重要な選択肢です。


処方目的 推奨代替薬 補足
消化異常症状の対症療法 マックターゼ配合錠またはベリチーム配合顆粒 剤形・患者状態で選択
膵外分泌機能不全への補充療法 リパクレオン(パンクレリパーゼ) 適応を再確認した上で処方
加齢による消化機能低下(軽度) ベリチーム配合顆粒またはマックターゼ配合錠 長期処方の継続可否も検討


エクセラーゼ配合錠の代替選択における薬価と患者負担の試算

薬価と患者負担は、処方選択において無視できない要素です。エクセラーゼ配合錠は1錠5.70円(1日3錠=17.10円/日)でした。代替薬ではどう変わるのか、実際の数字で把握しておくことが処方判断に役立ちます。


マックターゼ配合錠は1錠5.90円で、用法が1回2錠・1日3回のため1日あたり6錠、薬価は35.40円/日となります。エクセラーゼと比較すると1日あたり約18円、30日分処方で約540円、患者負担(3割)では約162円増加します。


ベリチーム配合顆粒は1g(1包)あたり約21円です。標準的な用量(1回0.5g、1日3回)で計算すると1日あたり31.5円/日となります。分包規格や院内在庫の条件によって異なりますが、いずれもエクセラーゼの倍程度の薬価であることを念頭に置く必要があります。


薬価の違いが長期処方で積み重なります。


高齢患者や多剤併用患者では、薬剤費の増加が服薬アドヒアランスや受診行動に影響する場合があります。30日分で3割負担の追加負担が数百円でも、年間換算で数千円単位になることを患者に伝えることが丁寧な説明につながります(例:1日20円増加×365日=年7,300円増加、3割負担で約2,190円/年)。処方継続の可否を患者と一緒に判断する姿勢が、信頼関係の維持に直結します。


消化酵素製剤の適正使用や薬価情報は定期的に更新されています。最新の薬価基準は厚生労働省の公式資料で確認することを推奨します。


薬事日報「エクセラーゼ配合錠 販売中止理由・背景に関する詳細報道」






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