ベリチーム配合顆粒の代替薬を選ぶ医療従事者への注意点

ベリチーム配合顆粒の供給不足が続く今、代替薬として何を選べばよいのか迷っている医療従事者は多いはず。マックターゼ・ケイラーゼSA・リパクレオンの違いや適応の落とし穴、切り替え時の注意点を詳しく解説します。あなたの処方、本当に正しい選択ができていますか?

ベリチーム配合顆粒の代替薬を正しく選ぶための完全ガイド

リパクレオンへ切り替えると、慢性膵炎以外の患者に処方できず査定されることがあります。


⚠️ この記事の3つのポイント
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現在の代替薬は3択のみ

2024年以降に処方可能な消化酵素製剤は「マックターゼ・ケイラーゼSA・リパクレオン」の3種のみ。エクセラーゼ・タフマックEは販売終了済みです。

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適応症の違いに要注意

リパクレオンは「膵外分泌機能不全」限定の適応。ベリチームと同じ感覚で「消化異常症状の改善」目的に使うと保険上問題になるケースがあります。

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ベリチームは新規処方を控える要請が出ている

2024年12月、日本消化器病学会経由で共和薬品より「既存患者優先・新規患者への処方を控えるよう」周知されています。代替薬への移行が急務です。


ベリチーム配合顆粒の供給不足が長期化している背景



ベリチーム配合顆粒(共和品工業)は、2021年11月から長期にわたり限定出荷が続いている消化酵素製剤です。その背景には、エクセラーゼ(Meiji Seika ファルマ)やタフマックE(小野薬品工業)といった、医療現場で広く使われていた同種同効品が相次いで販売中止になったことがあります。これらが市場からなくなったことで、ベリチームに需要が急集中したわけです。


2023年12月をもってエクセラーゼの出荷が終了し、2024年4月には薬価基準から正式に削除されました。その結果、処方先を失った患者がベリチームへ流れ込み、今以上の増産が難しいメーカー側は対応しきれない状況が続いています。


需要が集中しています。つまり、ベリチーム自体も今後安定供給が保証されているわけではありません。


2024年12月には、製造販売元の共和薬品工業が日本消化器病学会を通じて医療従事者へ周知を出し、「既存患者の服用継続を最優先とした出荷調整を継続する」「新規患者への処方並びに調剤をお控えいただきたい」と正式に要請しました。新規患者へのベリチーム処方は事実上ストップするよう求められているのが現状です。


2025年9月には一部包装規格(SP105g)の限定出荷が解除され通常出荷となりましたが、大包装規格(SP1050g・アルミ袋500g)はその後も順次対応が続いている状況です。供給状況は月単位で変動するため、処方前に必ず医薬品供給状況データベース(DSJP)や共和薬品工業の医療関係者向けサイトで最新情報を確認することが不可欠です。


最新の供給状況はこちらで確認できます(DSJP供給状況データベース)。
ベリチーム配合顆粒の供給状況 - DSJP 医療用医薬品供給状況データベース


日本消化器病学会による公式周知はこちら。
ベリチーム配合顆粒の供給について(周知依頼)- 日本消化器病学会


ベリチーム配合顆粒の成分と製剤上の特徴を正確に把握する

代替薬を選ぶ前提として、ベリチーム配合顆粒がどのような薬かを改めて整理しておくことが重要です。ベリチームは、アミラーゼ・プロテアーゼ・リパーゼ・セルラーゼの4種の消化酵素をバランスよく配合した、総合的な消化酵素製剤です。


製剤的に優れた特徴があります。ベリチームは「胃溶性顆粒」と「腸溶性顆粒」の2層構造(デュアル顆粒)を採用しており、胃でも腸でも消化活性を発揮できる設計になっています。微生物由来の酵素(ビオヂアスターゼ・リパーゼAP6など)は食後の胃内pH(pH3〜5程度)で高い消化活性を示すため胃溶性顆粒として配合され、パンクレアチン(ブタ膵臓由来)はアルカリ域で機能するため腸溶性顆粒として配合されています。


適応は「消化異常症状の改善」であり、消化不良、慢性膵炎に伴う消化機能補助などに広く用いられてきました。薬価は26.2円/gです。


服用方法も確認しておきましょう。通常成人で1回0.4〜1gを1日3回食後服用です。顆粒を砕いたり噛んだりすると腸溶性コーティングが壊れて効果が落ちる可能性があるため、そのまま服用するよう患者指導が必要です。


ベリチーム配合顆粒のくすりのしおり(患者向け情報)- 日本くすり教育研究所


ベリチーム代替薬として選べる3種類の比較と適応の違い

現在、医療現場で処方可能な消化酵素製剤は事実上3種類に絞られています。それぞれの特徴を正確に押さえておくことが、適切な代替薬選択のカギになります。


① マックターゼ配合錠(沢井製薬)


マックターゼ配合錠は、ベリチームの代替薬として最も成分が近い選択肢のひとつです。ベリチームと同様に「消化異常症状の改善」を適応とし、炭水化物・タンパク質・脂肪・繊維素の消化をカバーします。剤形は錠剤で、1回2錠・1日3回食直後服用です。


薬価は1錠あたり約5.7〜5.9円と非常に低く、ベリチーム(26.2円/g)と比べて患者の経済的負担を大幅に軽減できます。長期投与が必要な患者には、医療費削減の観点でも積極的に検討できる選択肢です。


これは使えそうです。


② ケイラーゼSA配合顆粒(三恵薬品)


ケイラーゼSA配合顆粒は、後発品の消化酵素製剤です。薬価は約9.8円/gで、ベリチームの約3分の1に相当します。適応は「消化異常症状の改善」と共通しており、顆粒剤のため高齢者など錠剤の服用が難しい患者にも検討できます。成分構成もベリチームと類似しており、切り替えの際の違和感が比較的少ないとされています。


③ リパクレオン(ヴィアトリス


リパクレオンは、パンクレリパーゼ(高力価パンクレアチン)を主成分とする腸溶性マイクロスフェア製剤です。注意が必要です。リパクレオンの適応は「膵外分泌機能不全における膵消化酵素の補充」に限定されており、ベリチームの適応である「消化異常症状の改善」とは根本的に異なります。


慢性膵炎・膵切除・膵嚢胞線維症などを原疾患とする膵外分泌機能不全の患者でなければ、リパクレオンは保険適用外となる可能性があります。「ベリチームが手に入らないから」という理由だけで機械的に切り替えると、算定上の問題が発生するリスクがあります。


| 製品名 | 適応症 | 用法用量 | 薬価 | 剤形 |
|---|---|---|---|---|
| ベリチーム配合顆粒 | 消化異常症状の改善 | 1回0.4〜1g・1日3回食後 | 26.2円/g | 顆粒 |
| ケイラーゼSA配合顆粒 | 消化異常症状の改善 | 1回0.4〜1g・1日3回食後 | 9.8円/g | 顆粒 |
| マックターゼ配合錠 | 消化異常症状の改善 | 1回2錠・1日3回食直後 | 約5.7〜5.9円/錠 | 錠剤 |
| リパクレオン顆粒300mg | 膵外分泌機能不全への膵消化酵素補充 | 1回600mg・1日3回食直後 | 56.4円/包 | 顆粒(腸溶性マイクロスフェア) |
| リパクレオンカプセル150mg | 同上 | 1回300mg(2C)・1日3回食直後 | 30.1円/C | カプセル |


消化酵素製剤の同効薬一覧と薬価(KEGG MEDICUS)


リパクレオンとベリチーム代替薬の力価差という意外な落とし穴

医療従事者の間でよく見られる誤解のひとつが、「消化酵素製剤なら何に切り替えても大差ない」という考え方です。これは注意が必要です。


J-Stageに収録された慶應義塾大学・洪繁先生による研究「我が国で処方可能な各種消化酵素製剤の特長とそれに応じた製剤の使い分け(膵臓 32:125-139, 2017)」によれば、パンクレリパーゼを主成分とするリパクレオンの消化酵素力価は、ベリチームを含む従来型消化酵素製剤と比較にならないほど高いことが示されています。


特にリパーゼ活性については、従来型製剤に対してリパクレオンが約8倍の力価を持つと報告されています。重度の膵外分泌機能不全では従来薬の常用量の3〜12倍もの大量投与が必要とされることもあり、こうした症例ではリパクレオンが明らかに優位です。


ただし力価の高さはそのまま費用の高さにもつながります。薬価の比較では、リパクレオン顆粒300mg分包が1包56.4円であるのに対し、マックターゼ配合錠は1錠約5.7円と約10倍の価格差があります。


つまり、患者の病態・膵外分泌機能の程度に応じて薬を選ぶのが原則です。「軽症の消化不良」と「慢性膵炎に伴う高度な膵外分泌機能不全」では、適切な薬剤が根本的に異なります。ベリチームが入手困難だからといって一律にリパクレオンへ切り替えることは、適応外使用や医療費の不合理な増加につながりかねません。


ベリチーム代替薬へ切り替える際の実践的な注意点

代替薬への切り替えを行う場面では、いくつかの実務的な注意点があります。単に「同じような薬に変える」という感覚では不十分です。


まず、剤形の違いによる服用タイミングの変化に気を付けましょう。ベリチームは「食後」服用ですが、マックターゼやリパクレオンは「食直後」が指定されています。一見わずかな違いに見えますが、消化酵素製剤は食物と一緒に腸内で作用することで効果を発揮するため、タイミングのずれは吸収効率や治療効果に影響する可能性があります。患者への服薬指導で必ず確認が必要です。


次に、アレルギーの確認も重要です。ベリチームはウシ・ブタ由来タンパクに過敏症のある患者には禁忌とされています。マックターゼやケイラーゼSAも同様の注意が必要です。一方でリパクレオンはブタ由来成分のみであり、ウシ蛋白アレルギーの患者では選択肢になりえます。切り替え前には必ずアレルギー歴の確認を行うことが原則です。


さらに、PPI・H2RAとの併用関係にも注意が必要です。ベリチームは胃酸によって活性が低下するため、ガスターなどのH2受容体拮抗薬やプロトンポンプ阻害薬(PPI)と併用されるケースが多く見られます。代替薬へ切り替えた際も同じ考え方が適用されるため、既存の併用薬を確認しておく必要があります。


段階的な切り替えを検討することも選択肢に入ります。急激な変更で患者の消化器症状が悪化するリスクがあるため、特に高齢者や重篤な消化機能障害を持つ患者では、経過を観察しながら移行する慎重さが求められます。


主なモニタリング指標としては、消化器症状の変化(便性状・腹部膨満感・脂肪便の有無)、体重変化、血清アルブミン・プレアルブミンなどの栄養指標が挙げられます。変化があれば用量調整や薬剤の再選択を速やかに検討しましょう。


消化酵素製剤の使い分けに関する臨床的解説(ヒラハタクリニック)


消化酵素製剤を選ぶ際に医療従事者が見落としがちな独自視点:セルラーゼ配合の有無と腸内細菌への影響

消化酵素製剤の代替を考える際に、薬価や力価の議論は多く見られますが、あまり注目されない視点があります。それがセルラーゼ配合の有無です。


ベリチームにはセルラーゼ(セルラーゼAP3)が配合されており、食物繊維の一種であるセルロースを分解する酵素活性を持っています。セルラーゼはヒト自身が産生できない酵素であり、腸内細菌が補う部分が大きいのですが、消化酵素製剤からセルラーゼを補充することで、腸内環境の整備に間接的に貢献できる可能性が示唆されています。


腸内細菌はセルロースを分解して有機酸(酪酸など)を産生します。この有機酸は大腸上皮細胞のエネルギー源となり、腸内環境の安定に寄与することが近年の腸内細菌叢研究で明らかになっています。消化酵素製剤のセルラーゼ配合が腸内細菌に与える影響は研究途上ではあるものの、特に高齢者や腸内細菌叢のバランスが崩れやすい患者では、考慮すべき要素になりつつあります。


これは今後注目される視点です。


代替薬を選ぶ際、マックターゼやケイラーゼSAにもセルラーゼ(セルラーゼAP3)が配合されているため、この観点ではベリチームからの切り替えに際して大きな差異はありません。一方、リパクレオンにはセルラーゼが配合されておらず、単純な消化酵素力価以外の側面での違いが存在することを認識しておくとよいでしょう。


患者の食生活・食物繊維摂取量・腸内環境が気になる場合は、代替薬選択の際に成分表を確認し、食事指導も合わせて行うことが実践的な対応となります。消化酵素製剤は薬だけで完結するものではなく、食事との組み合わせによって初めてその効果が最大化されます。食後の服薬指導・食事内容の確認という地道な積み重ねが、患者の治療効果を左右することを改めて意識しておきましょう。


These are enough.






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