先発品のクレナフィンに切り替えてもすぐ治るとは限らない。ジェネリックでも完全治癒率は先発品と同等です。
クレナフィン爪外用液10%は、科研製薬が創製した新規トリアゾール系化合物エフィナコナゾールを有効成分とする、日本初の外用爪白癬治療薬です。 2014年9月から販売が開始され、真菌の細胞膜を構成するエルゴステロールの生合成を阻害することで抗真菌作用を発揮します。 薬価は1gあたり1,396.80円と設定されています。kegg+2
経口抗真菌薬と比較して、肝障害などの全身性副作用リスクが低いことが大きな利点です。 外用薬であるため、肝機能に問題のある患者や多剤併用中の高齢者にも比較的使いやすい選択肢として注目されてきました。これは使えそうです。
参考)爪外用薬 |クレナフィン|塗り薬 - 池袋駅前のだ皮膚科ーク…
爪の構成成分であるケラチンとの親和性が低いという特性も重要です。 爪表面に塗布するだけで爪内部まで薬剤が浸透しやすい設計になっており、外用薬でありながら爪白癬への高い治療効果を実現しています。
2025年6月13日に、クレナフィン爪外用液に初めて後発品が薬価収載されました。 収載されたのは科研ファルマのAG(オーソライズド・ジェネリック)のみで、薬価は1gあたり676.30円です。 先発品の1,396.80円と比較すると、約半額となります。med.sawai+2
| 製品名 | 製造販売元 | 区分 | 薬価(1gあたり) |
|---|---|---|---|
| クレナフィン爪外用液10% | 科研製薬 | 先発品 | 1,396.80円 |
| エフィナコナゾール爪外用液10%「科研」 | 科研ファルマ | 後発品(AG) | 676.30円 |
| エフィナコナゾール爪外用液10%「サワイ」 | 沢井製薬 | 後発品 | 676.30円 |
クレナフィンの2024年度売上高は169億円、25年度は21.7%減の132億円と予測されており、後発品参入による影響が顕著に現れています。 患者への費用負担軽減の観点から、後発品への切り替えを積極的に提案できる状況になったと言えます。つまり処方選択の幅が広がったということです。
参考)「エクメット」「クレナフィン」に初の後発品、13日薬価収載
患者が3割負担の場合、1gあたりの自己負担差額は約216円になります。爪白癬の治療では1回の処方で複数グラムを使用することが多く、長期にわたる使用を考えると累計の差額は患者にとって無視できない金額になり得ます。
48週間(約1年)の塗布で得られる完全治癒率(感染面積0%かつ真菌陰性)は、国内試験で約15〜18%程度です。 「1年塗れば治る」と思っている患者も多いですが、完全治癒は5〜6人に1人程度の割合であることを、医療従事者は事前に丁寧に説明する必要があります。これは厳しいところですね。sugamo-sengoku-hifu+1
ただし完全治癒率だけで評価するのは正確ではありません。 52週目に真菌が検出されなかった割合は55.2%、感染面積が10%未満に改善した割合は35.7%と、部分的な改善を含めると多くの患者で効果が確認されています。
参考)爪白癬治療薬「クレナフィン(エフィナコナゾール)」 - 巣鴨…
添付文書では48週を超えた漫然投与は推奨されていません。 改善が認められない場合は使用中止を検討することが明記されており、効果判定のタイミングを定期的に設けることが処方管理上も重要です。48週が基本です。
参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00071715.pdf
先発品と後発品では有効成分は同一ですが、添加剤の構成が異なるケースがあります。 科研ファルマのAG「エフィナコナゾール爪外用液10%「科研」」は先発品と全く同一の添加剤・製造方法・容器で製造されています。 一方、東和薬品の「トーワ」や沢井製薬の「サワイ」は異なる添加剤が使用されています。kegg+1
| 製品 | 添加剤の特徴 |
|---|---|
| クレナフィン(先発)・科研AG | デカメチルシクロペンタシロキサン、アジピン酸ジイソプロピル、乳酸アルキル等 |
| トーワ | 2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、ラウロマクロゴール等(先発と異なる) |
| サワイ | イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、l-メントール等(先発と異なる) |
添加剤の違いは、爪や皮膚への刺激感・使用感に影響する可能性があります。 副作用として皮膚炎や水疱が報告されており(発現頻度約2〜7.5%)、特にアトピー素因を持つ患者では注意が必要です。 先発品でトラブルがなかった患者が後発品に切り替えた際に皮膚症状が出た場合は、添加剤差異を疑う視点を持っておくと良いでしょう。
参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00071767.pdf
皮膚症状への対応が求められる場面では、添加剤構成を確認してから製品を選ぶことが適切です。先発品と同一添加剤を希望する場合はAGを、薬価を最優先にする場合は他社後発品をという選択軸が参考になります。添加剤が条件です。
参考:添加剤・薬価の詳細比較はKEGG MEDICUSで確認できます。
KEGG MEDICUS:エフィナコナゾール製品一覧(薬価・添加物比較)
爪白癬治療における最大の課題は、薬の効果よりも患者のアドヒアランス(治療継続率)です。治療期間が最長48週に及ぶため、途中で塗布をやめてしまう患者が少なくありません。実際、1年近くにわたって毎日欠かさず塗布し続けることは、高齢患者や関節に問題を抱えた患者にとって身体的にも負担です。
エフィナコナゾール外用液は「罹患爪全体に1日1回塗布」という用法です。 爪が複数本感染している場合、毎日すべての爪に正確に塗布する手間は想像以上に大きく、足への可動域に問題がある高齢者では介護者の協力が不可欠になることもあります。アドヒアランスが治療の鍵です。
参考)エフィナコナゾール爪外用液10%「科研」の効能・副作用|ケア…
処方時に合わせて確認したい実践的なポイントは以下の通りです。
患者が途中で自己判断で中止するケースも多く報告されています。特に「爪がきれいに見えてきたから治った」と思い込んで中止するパターンは再発リスクが高く注意が必要です。 爪の外観改善と真菌の根治は別であることを、処方時と受診のたびに繰り返し伝えることが求められます。
参考)https://www.feldsenfpharma.co.jp/dcms_media/other/EFI-10.pdf
処方箋に薬局指導内容を記載する、または薬剤師との情報共有シートを活用するといった取り組みも、アドヒアランス向上に有効です。外観改善だけで中止しないよう、チームで患者をフォローする体制が理想的です。
参考:クレナフィンの添付文書・使用上の注意の詳細はPMDAで確認できます。
PMDA:クレナフィン爪外用液10%添付文書(使用上の注意・副作用情報)