保湿剤よりも先にベピオゲルを塗ると、健康な肌にまで副作用が広がるリスクが上がります。
ベピオゲルの使い方の基本は、1日1回・夜の洗顔後の塗布です。これは製造元のマルホが公式に推奨している方法であり、日本皮膚科学会の「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」でも高い推奨度で位置づけられています。
夜に塗布する理由には科学的な根拠があります。ベピオゲルの有効成分である過酸化ベンゾイル(BPO)は紫外線に当たると刺激感や乾燥が増強しやすくなります。そのため、塗布直後に日光に曝される可能性が低い夜間の使用が合理的です。ただし、夜に塗布した場合でも、翌日の日中は帽子や日焼け止めによる紫外線対策を患者に指導することが必要です。
使用量の目安は顔全体で約0.5g(1FTU)です。1FTUとは「人差し指の先端から第一関節まで絞り出した量」であり、大人の手のひら2枚分の面積に相当する量です。これが顔全体に薄く広げられる標準量となります。過剰に塗っても効果は増しません。むしろ副作用のリスクが上がるため、「薄く・均一に」が鉄則です。
塗布の手順は①前髪をピンで留める ②チューブから薬を指に取る ③おでこ・両頬・鼻・あごの5点に少量ずつ置く ④こすらずやさしく顔全体に広げる ⑤塗布後は必ず石鹸で手を洗う——の流れで行います。塗り方の手順は固定です。
手洗いを忘れると、過酸化ベンゾイルが手を介して眼や粘膜、衣類に付着するリスクがあります。眼に入った場合はただちに水で洗い流すよう、事前に患者へ伝えておきましょう。
参考:マルホ公式ページ(ベピオゲル・ベピオローションの塗り方と注意点)
https://www.maruho.co.jp/kanja/nikibi/bepio/howto.html
多くの患者が「薬は一番最初に塗るもの」と思い込んでいます。しかしベピオゲルの正しい順番は、スキンケアの最後です。
なぜ最後なのかというと、先にベピオゲルを塗ってから化粧水や乳液を顔全体に広げると、有効成分が一緒に動いてしまい、本来塗る予定のなかった健康な肌の部分にも薬が届いてしまうためです。これにより、副作用である乾燥・赤み・刺激感が不必要な範囲にまで生じるリスクが上がります。先にベピオゲルを塗ってから化粧水を塗り広げるのはNGです。
正しいスキンケアの順番は、①洗顔→②化粧水→③美容液(使用している場合)→④乳液またはクリームで保湿→⑤ベピオゲル(最後)となります。ベピオゲルを塗る前に保湿を終わらせることで、バリア機能が維持され、副作用の乾燥感・ヒリヒリ感が軽減されます。つまり「保湿先行・薬は最後」が原則です。
なお、保湿剤の選定も重要です。コメドを形成しやすい成分を含む保湿剤は、ベピオゲルの効果を妨げることがあります。患者には「ノンコメドジェニックテスト済み」の表示がある低刺激のものを選ぶよう案内しましょう。AHA(グリコール酸・乳酸)、BHA(サリチル酸)、高濃度のレチノールなどが含まれる製品との併用は、刺激の相乗効果が生じやすいため注意が必要です。
なお一部クリニックでは、敏感肌の患者に対して「化粧水→保湿ローション→(乾かす)→ベピオゲル→保湿クリーム」という順番を指導するケースもあります。これは保湿成分をベピオゲルの前後でサンドイッチする形式で、刺激感の軽減に有効とされています。患者の肌質に応じた個別指導が求められる部分です。
ベピオゲルとディフェリンゲル(アダパレン)を同時に処方するケースは実臨床で多く見られます。患者から「どちらを先に塗ればいいですか?」と質問されたとき、正確に答えられているでしょうか。
結論から言えば、ベピオゲルとディフェリンゲルの併用において、塗る順番はどちらが先でも問題ありません。皮膚科専門医の西川嘉一氏(アクネスタジオ院長)もこの点を明確に解説しており、順番による効果の差は認められていません。どちらを先でも問題ありません。
一方で、抗菌薬外用剤(ダラシンTゲル・アクアチムクリーム・ゼビアックスローションなど)をベピオゲルと同時に処方する場合は、塗る順番に注意が必要です。この場合は、まずベピオゲルを全体に広く塗り、その後に炎症性ニキビのある部分だけに抗菌薬をピンポイントで重ねる順番が推奨されています。これは抗菌薬の耐性菌出現リスクをベピオゲルが抑制するという組み合わせの意図によるものです。これが基本の組み合わせ指導です。
また、ディフェリンゲルは催奇形性の報告があるため妊婦には禁忌ですが、ベピオゲルは妊娠中でも使用可能という点も、処方選択の際に重要な情報です。患者の状況(妊娠中・授乳中など)を確認した上で、適切な説明を行いましょう。
参考:ニキビ治療薬ベピオゲルとディフェリンゲルの違いと使い方(皮膚科専門医解説)
https://nikibi-zero.jp/archives/931
国内の臨床試験において、ベピオゲル使用者の約40%に何らかの副作用が確認されています。主な副作用は皮膚剥脱・落屑(約18.6%)、刺激感・ヒリヒリ感(約14.0%)、皮膚の赤み(約13.8%)、乾燥(約7.4%)です。使用者の約4割が何らかの反応を経験するというのは、患者への事前説明として非常に重要な数字です。
副作用の多くは使用開始1ヶ月以内に集中して現れ、継続することで軽減していきます。臨床試験では、刺激感の発現頻度は1ヶ月目が約30%であるのに対し、2ヶ月目以降は約10%まで低下します。この推移を患者に事前に伝えることが、治療継続率を高めるうえで大切です。「使い始めが一番つらい時期」と明確に伝えましょう。
刺激症状が強い患者には、ショートコンタクトセラピーという方法が有効です。洗顔後にベピオゲルを顔全体に塗布し、5〜15分後に洗い流す方法で、皮膚への刺激を抑えながら効果を維持できます。この短時間でも成分は十分に皮膚に作用することが証明されており、欧米では以前から用いられてきた手法です。衣類の脱色も防げるため、一石二鳥のアプローチです。
ただし、約3%(100人中3人程度)の頻度でアレルギー性接触皮膚炎が生じることがあります。接触皮膚炎の症状は通常の刺激症状と異なり、使用中止なしでは改善しません。顔全体が赤く腫れる・目の周囲が腫れる・水疱やびらんが生じる・広範囲に強いかゆみが広がるといった症状が見られた場合は、直ちに使用を中止させて医療機関への受診を促してください。厳しいところですが、見極めが大切です。
参考:日本初承認・過酸化ベンゾイル製剤に関する添付文書情報(JAPIC)
https://pins.japic.or.jp/pdf/medical_interview/IF00006884.pdf
医療従事者が患者指導の際に見落とされがちな注意点が、ベピオゲルの漂白作用です。過酸化ベンゾイルには強い酸化力があり、髪・眉毛・衣類・タオル・寝具に付着すると脱色します。処方説明が不十分だと、患者が大切な衣類や寝具を知らないうちに脱色させてしまい、治療への不満・不信感につながります。これは患者満足度の問題です。
患者への具体的な説明ポイントとしては、「寝具・タオル・枕カバーは白またはオフホワイトにする」「塗布後は薬が完全に乾いてから衣類を着る(目安:5〜10分)」「ポリエステル素材の衣類は色落ちが起きにくい」の3点が実践的です。この情報は処方時に口頭または書面で必ず伝えましょう。
また、段階的な塗り広げ方(ステップアップ法)も、脱落防止のために重要な指導内容です。いきなり1FTUを顔全体に塗ることは避け、以下の4段階を目安に進めるよう説明します。
| 期間 | 塗る範囲 | 塗る量の目安 |
|---|---|---|
| 使用開始〜4〜5日 | 1ヵ所(おでこor頬など) | ごく少量(米粒大) |
| 〜2週間(STEP1) | 顔全体(薄く) | 約1/4FTU(あずき大) |
| 〜4週間(STEP2) | 顔全体 | 約1/2FTU |
| 4週間以降(STEP3) | 顔全体 | 1FTU(約0.5g) |
3ヶ月間継続した臨床データでは、ニキビの数が約50〜70%減少することが確認されています。「1ヶ月ではっきりした効果が出なくても、3ヶ月は続けること」を治療開始時から伝えておくことが、途中での自己中断を防ぐ鍵です。ニキビが落ち着いた後も、医師の指示があるまでは維持使用を継続させることが再発予防の観点からも重要です。なお、25℃以下での保管(凍結を避ける)も患者に伝えましょう。保管方法も基本の一つです。
参考:ベピオゲルの正しい使い方・スキンケアとの順番(iCクリニック新宿)
https://ic-clinic-shinjuku.com/column-bepio-gel-usage/

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