ザラカム配合点眼液ジェネリックの種類と薬価差と選び方

ザラカム配合点眼液のジェネリック(ラタチモ配合点眼液)は複数存在し、薬価だけでなくスクイズ力や1滴重量も製品ごとに異なります。医療従事者として知っておくべき切り替え時の注意点とは?

ザラカム配合点眼液ジェネリックの種類・薬価・切り替え時の注意点

ジェネリックに変えると、先発と「同じ」なのに患者の眼圧が変わることがあります。


この記事の3つのポイント
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ジェネリックは複数存在・薬価は先発の約57%オフ

ザラカム配合点眼液の後発品(ラタチモ配合点眼液)は現在5製品が流通しており、2025年12月にはAGも発売。薬価は先発576.2円/mLに対し後発は244.1円/mLと大幅に低い。

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製剤学的性質(スクイズ力・1滴重量)は製品ごとに異なる

同じ有効成分でも、容器の押し出し力(スクイズ力)や1滴重量には先発・後発間で有意差あり。アドヒアランスや液垂れリスクに影響するため、製品選択と服薬指導が重要。

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切り替え時は全身副作用・禁忌・保存条件の再確認が必須

チモロール成分による気管支痙攣・心不全リスクは後発品でも同様。喘息既往、COPDは禁忌。また全製品で2〜8℃冷所保存が必要な点も見落とされやすい注意事項。


ザラカム配合点眼液ジェネリックの一覧と薬価の全体像



ザラカム配合点眼液(一般名:ラタノプロスト・チモロールマレイン酸塩配合点眼液)は、緑内障・高眼圧症治療のために2010年4月に発売された配合点眼薬です。プロスタグランジン関連薬であるラタノプロストとβ遮断薬であるチモロールマレイン酸塩という、作用機序の異なる2成分が1本に配合されており、多剤併用時のアドヒアランス向上を目的として設計されています。


現在(2025年12月時点)、ザラカム配合点眼液のジェネリック(後発医薬品)としては以下の5製品が存在します。


| 販売名 | 製造販売元 | 区分 | 薬価(/mL) |
|---|---|---|---|
| ラタチモ配合点眼液「VTRS」 | ヴィアトリス・ヘルスケア | 後発品(AG) | 244.1円 |
| ラタチモ配合点眼液「センジュ」 | 千寿製薬 | 後発品 | 244.1円 |
| ラタチモ配合点眼液「ニッテン」 | ロートニッテンファーマ | 後発品 | 244.1円 |
| ラタチモ配合点眼液「ニットー」 | 東亜薬品 | 後発品 | 244.1円 |
| ラタチモ配合点眼液「TS」 | テイカ製薬 | 後発品 | 244.1円 |


先発品であるザラカム配合点眼液の薬価は2025年4月以降576.2円/mLです。後発品は244.1円/mLで統一されており、2.5mL1瓶あたりでは先発の約1,440円に対して後発は約610円と、差額はおよそ830円/瓶になります。長期処方を考えると、患者負担の軽減額は年間で数千円規模になり得ます。これは使えそうです。


特に注目したいのが2025年12月5日に発売されたラタチモ配合点眼液「VTRS」です。これはオーソライズドジェネリック(AG)であり、先発品メーカーであるヴィアトリス製薬の関連会社が製造・販売するため、先発品と同一の有効成分・添加剤・製法を使用しています。AGは先発品との処方設計上の同一性が最も高く、切り替えに際して使用感の変化が最小限と考えられる選択肢のひとつです。


参考:ラタチモ配合点眼液「VTRS」(AG)新発売のご案内(ヴィアトリス製薬 公式)
オーソライズドジェネリック ラタチモ配合点眼液「VTRS」新発売のご案内(ヴィアトリス e Channel)


ザラカム配合点眼液ジェネリック切り替えで見落とされる「スクイズ力」と1滴重量の違い

医療従事者の多くは、後発品への切り替え時に「有効成分が同じなら問題ない」と判断しがちです。しかし千葉大学薬学研究院の研究(RSMP 2020年)では、ラタノプロスト・チモロールマレイン酸塩配合点眼液の先発1製剤と後発4製剤を比較した結果、製剤学的性質に明確な差が確認されました。


まず1滴重量について見ると、先発品であるザラカムが最大の27.13mgを記録したのに対し、後発品は22.73mg〜25.26mgとすべてにおいて有意に小さい値(p<0.01)を示しました。差の最大値は約4.4mgで、これは「ほぼ同じ量」ではなく、統計的に明確な差です。つまり先発と後発では1滴の量が違うということですね。


次にスクイズ力(1滴を滴下するために必要な押し出し力)ですが、先発ザラカムの3.05Nに対し、後発品では2.75N〜7.24Nと大きなばらつきがありました。TS(テイカ製薬)は先発の2倍以上の7.24Nを記録しており、「硬くて押しにくい」と感じる患者が出やすいことが想定されます。逆にニットー(東亜薬品)は最小の2.75Nで、力が弱い高齢者には扱いやすい反面、液垂れのリスクが高まります。


スクイズ力が小さい製品ほど点眼しやすいというデータがありますが、液垂れが増える可能性も指摘されています。緑内障点眼薬使用中の208名を対象にした調査では、「ほぼ毎回液垂れを経験する」患者が13%、「3回に1回液垂れを経験する」患者が36%と、合わせて約半数の患者が数回に1回は液垂れを経験していることが分かっています。液垂れは薬液のロスだけでなく、ラタノプロストによる眼周囲皮膚の色素沈着リスクにもつながるため、服薬指導の重要ポイントです。


アドヒアランスへの影響も深刻です。緑内障患者の治療継続率は開始後3カ月で72.2%、開始後12カ月では60.9%まで低下するという報告があります。治療を始めて1年以内に約4割が脱落する疾患において、点眼のしやすさは見過ごせない要素です。先発から後発への切り替え時には、患者ごとに握力・指先の器用さを把握したうえで製品を選ぶ視点が求められます。


参考:先発・後発の製剤学的比較研究(J-STAGE掲載・査読済み論文)


ザラカム配合点眼液ジェネリックの作用機序と効果——2成分配合の意味を再確認する

ザラカム配合点眼液およびその後発品(ラタチモ配合点眼液)の有効成分は、ラタノプロスト50μg/mLとチモロールマレイン酸塩6.83mg/mL(チモロールとして5mg)の2成分です。この2成分は互いに異なる作用機序で眼圧を下げます。


ラタノプロストはプロスタグランジンF2α誘導体であり、ぶどう膜強膜流出路からの房水排出を促進することで眼圧を低下させます。一方、チモロールマレイン酸塩はβ遮断薬として毛様体上皮からの房水産生そのものを抑制します。つまり「排出促進」と「産生抑制」という異なるアプローチが1本の点眼液に組み合わさっており、単剤それぞれを別々に使うよりも少ない点眼回数で同等以上の眼圧降下効果が期待できます。これが配合点眼薬の最大の意義です。


用法・用量は「1回1滴、1日1回点眼」です。重要なのは、頻回投与によって眼圧下降作用が減弱する可能性があるため、1日1回を超えて投与しないよう添付文書に明記されている点です。「もう1回点眼すれば効果が高まるかもしれない」と患者が自己判断で追加投与しないよう、しっかりと指導することが求められます。1日1回が原則です。


点眼時刻については、ラタノプロストの眼圧下降効果が就寝前点眼でより安定するとされる報告もあり、夜間就寝前に統一すると管理しやすいケースもあります。ただし患者の生活リズムに合った時間帯を毎日守ることが最優先であり、時刻そのものよりも継続性が重要です。継続が条件です。


参考:ザラカム配合点眼液の添付文書・用法用量情報(KEGG Medicus)
医療用医薬品:ザラカム配合点眼液(KEGG Medicus)


ザラカム配合点眼液ジェネリックで必ず確認すべき副作用と禁忌事項

後発品への変更後も、副作用プロファイルと禁忌事項は先発品と同一です。これが基本です。しかし、切り替え時のタイミングで副作用の再説明が抜けてしまうケースが臨床現場では実際に起きています。


ラタノプロスト由来の代表的な副作用として最も重要なのが虹彩色素沈着です。ラタノプロスト点眼によりメラニン産生が促進され、虹彩が徐々に茶色に変化することがあります。この変化は不可逆的であり、点眼を中止しても元の色には戻らない場合があります。両眼に使用していても左右差が生じるケースがあるため、患者への事前説明と経過観察が必要です。さらに、睫毛の多毛化・伸長・色素沈着も起きやすく、外見上の変化として患者が気にするポイントです。点眼液が皮膚についたときはすぐに拭き取るよう指導することが推奨されています。


チモロールマレイン酸塩由来の副作用として特に危険なのが全身性β遮断作用です。点眼薬であっても、薬液は鼻涙管を通じて経口吸収されることがあり、気管支痙攣・呼吸困難・徐脈・心不全・心停止に至った症例が報告されています。死亡例も存在するため、禁忌の確認は切り替え時も必須です。


禁忌に該当する患者は以下の通りです。


- 本剤成分への過敏症の既往がある患者
- 気管支喘息またはその既往のある患者
- 気管支痙攣または重篤なCOPD(慢性閉塞性肺疾患)のある患者
- 重篤な心不全・洞不全症候群・重篤な心ブロックのある患者


また、投与に慎重を要する患者として、コントロール不良の心不全・狭心症・糖尿病(低血糖症状のマスク)・甲状腺機能亢進症・筋無力症のある患者なども挙げられます。後発品に切り替えるタイミングは、こうした背景疾患を再確認する機会としても活用してください。


参考:ザラカム配合点眼液 副作用・禁忌情報(ケアネット薬剤情報)
ザラカム配合点眼液の効能・副作用(CareNet薬剤情報ページ)


ザラカム配合点眼液ジェネリック——医療従事者が見落としやすい「保存条件」と「総滴数の差」

ジェネリックに切り替えた後で見落とされやすいポイントが2つあります。保存条件と総滴数です。意外ですね。


まず保存条件について。ザラカム配合点眼液およびすべてのラタチモ配合点眼液は「2〜8℃冷所保存」が必要です。これは成分の安定性を維持するためであり、常温管理では含量低下が起こる可能性があります。患者への指導で「冷蔵庫に入れること」を伝え忘れると、薬効低下と眼圧コントロール不良につながりかねません。開封後の使用期間は4週間が目安です。


次に総滴数(1本あたりの点眼回数)の差も無視できません。前述の研究によれば、先発品ザラカムは2.5mL1本あたり104滴(最少)であったのに対し、後発品4製剤はすべて有意に多く、ニッテンは118滴と最多でした。1滴重量が小さいほど1本から取り出せる滴数が多くなるためです。


この差が医療経済にどう影響するかを見ると、先発品の1滴あたり薬剤費が24.42円であるのに対し、後発品では10.17〜10.71円で推移していました(2019年10月時点の薬価ベース)。先発品と後発品の1本あたりの薬価の比は約2.12倍ですが、総滴数まで考慮した1滴あたりの薬剤費比では最大2.40倍まで広がることが確認されています。後発品のほうが1本に多く入っているとも言えるわけです。


なお、すべての製剤で総滴数が100滴を超えており、開封後4週間の使用期限を過ぎると残液が生じることが想定されています。「まだ残っているから使えるはず」という患者の誤解が生じやすいため、開封日の記載を習慣化させる指導が効果的です。開封日の記録を患者に促すだけで、こうしたトラブルは大幅に減らせます。


参考:第26回ジェネリック医薬品品質情報検討会 資料(国立医薬品食品衛生研究所)
第26回ジェネリック医薬品品質情報検討会 資料26-1-2(NIHS・後発品品質情報)


ザラカム配合点眼液ジェネリック——患者の治療継続率を高めるための服薬指導の実践ポイント

緑内障は自覚症状が乏しいため、治療継続率が低いことで知られる慢性疾患です。日本の大規模医療保険レセプトデータを用いた分析(2025年)では、緑内障点眼薬の継続率が1年後で57.5%、5年後には23.8%まで低下するという結果が報告されています。5人に1人しか5年後も使い続けていない、という現実です。


後発品への切り替えは、コスト面では患者にメリットがありますが、使用感の変化によって「前の薬のほうが良かった」と感じた患者が自己判断で使用を中止するリスクを高める可能性もあります。だからこそ、切り替え時の服薬指導が治療継続率を左右する重要な介入ポイントになります。


以下に、医療従事者として実践したい服薬指導の具体的ポイントをまとめます。


- 🔄 切り替えの理由を丁寧に説明する:「同じ成分ですが、容器の形状や硬さが少し違います。使ってみて押しにくい・液垂れが多いと感じたら遠慮なく教えてください」と伝えることで患者が声を上げやすくなる。


- 📅 点眼時刻の統一を促す:夜の就寝前など、毎日同じ時間に点眼する習慣を確立させることがアドヒアランス向上につながる。


- 🌡️ 保存条件の再徹底:切り替え時に「冷蔵庫保存」「開封後4週間以内に使い切る」を再説明する。紙でのメモ渡しも有効。


- 👁️ 虹彩色素沈着・睫毛変化への事前説明:外見上の変化を事前に知っておかないと患者が不安を感じて受診や服薬を中断するケースがある。


- 🫁 β遮断薬の全身副作用の確認:他科から処方されている薬との相互作用や、喘息・COPDの既往の有無を必ず確認する。


緑内障治療において、薬剤選択よりも「使い続けてもらうこと」のほうが最終的な視野保存に直結します。そのため、後発品への切り替えの際は単に「安くなりました」と伝えるだけでは不十分であり、患者の生活背景や身体機能に応じた個別の指導計画を立てることが求められます。指導の質が治療の成否を決めると言っても過言ではありません。


参考:緑内障点眼薬の治療継続率に関する最新研究(CareNet Academia)
緑内障点眼薬の継続率、製品・処方・患者特性で大きく異なる(CareNet Academia, 2025)






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