肝臓の薬として安全なイメージのウルソ錠でも、長期投与で「胆石をつくる」ことがある。
ウルソ錠(一般名:ウルソデオキシコール酸)は1957年に承認された、肝・胆・消化機能改善剤の代表格です。田辺三菱製薬が製造・販売する先発品として、慢性肝疾患、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、C型慢性肝疾患、コレステロール系胆石の溶解など、幅広い適応で処方されています。発売から60年以上が経過した息の長い薬剤で、現在も年間約280万人の患者が使用しています。
副作用全体のプロフィールを整理することが基本です。以下の表に、頻度別の副作用を示します。
| 頻度 | 分類 | 主な副作用 |
|---|---|---|
| 重大(頻度不明) | 呼吸器 | 間質性肺炎(発熱・咳嗽・呼吸困難・胸部X線異常) |
| 1〜5%未満 | 消化器 | 下痢(最頻出) |
| 0.1〜1%未満 | 消化器 | 悪心、食欲不振、便秘、胸やけ、胃不快感、腹痛、腹部膨満 |
| 0.1〜1%未満 | 過敏症 | そう痒、発疹 |
| 0.1〜1%未満 | 肝臓 | AST上昇、ALT上昇、ALP上昇 |
| 0.1%未満 | 消化器 | 嘔吐 |
| 0.1%未満 | その他 | 全身倦怠感、めまい |
| 頻度不明 | 過敏症 | 蕁麻疹、紅斑(多形滲出性紅斑等) |
| 頻度不明 | 肝臓 | ビリルビン上昇、γ-GTP上昇 |
| 頻度不明 | 血液 | 白血球数減少 |
製造販売後調査では、主な副作用の発現率として下痢1.91%、悪心0.28%、掻痒0.17%、AST(GOT)上昇0.14%、ALT(GPT)上昇0.14%が報告されています。つまり、「副作用がほとんどない」というイメージが独り歩きしていますが、頻度不明とされる重大副作用の存在も忘れてはなりません。
下痢は用量依存性の傾向があります。C型慢性肝炎の臨床試験では、150mg/日・600mg/日・900mg/日の3群比較において、副作用全体の発現頻度は各群間で有意差がなかった一方、「下痢については高用量で発現頻度が高い傾向」が報告されています。用量を増やす際には、消化器症状に対する患者モニタリングが重要です。
参考:田辺三菱製薬ウルソ錠の公式添付文書(ウルソ錠50mg・100mg)
JAPIC 公式添付文書 ウルソデオキシコール酸錠(田辺三菱製薬)PDF
「肝臓の薬なのに肺に副作用が出る」という事実は、見落としリスクが特に高い盲点です。ウルソ錠の唯一の重大副作用は、間質性肺炎(頻度不明)です。
厚生労働省(当時:厚生省)は平成12年(2000年)9月の医薬品・医療用具等安全性情報No.162において、ウルソデオキシコール酸との因果関係を否定できない間質性肺炎が3例報告されたとして、「重大な副作用」の項に追記し注意喚起しました。当時のユーザー数は年間約280万人であり、3例という報告数でも重大な副作用として扱われた点に注目する必要があります。
報告された3例の間質性肺炎の発現時期は、それぞれ投与開始後90日・150日・310日後でした。つまり、投与開始から3か月以降でも発症する可能性があります。症状が出るタイミングは予測しにくく、短期処方だから安全とは言い切れません。
実際の症例では、発熱・呼吸困難・咳嗽・胸部X線異常が確認されており、投与中止またはステロイドパルス療法により軽快したとされています。では、間質性肺炎を疑う具体的な症状は何でしょうか?
- 🌡️ 発熱(微熱〜高熱)
- 💨 咳嗽・乾性咳嗽の出現または増悪
- 🫁 労作時呼吸困難・安静時呼吸困難
- 📋 胸部X線・CTでのすりガラス陰影・網状影
添付文書の指示は明確です。「このような症状があらわれた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと」と規定されています。中止と専門科への早期連携が原則です。
これは使えそうです。特に「肝臓の薬だから呼吸器に副作用は出ない」と思いがちな現場では、間質性肺炎を積極的に鑑別に挙げる習慣が患者の転帰を左右します。ウルソ錠を長期投与中の患者が呼吸器症状を訴えた際は、原因薬剤としての評価を怠らないことが重要です。
参考:厚生省 医薬品・医療用具等安全性情報 No.162(間質性肺炎の詳細な症例記録)
PMDA 医薬品・医療用具等安全性情報 No.162 ウルソデスオキシコール酸と間質性肺炎
副作用のリスクは全員に均等ではありません。特定の背景をもつ患者では、症状が劇的に悪化するケースがあります。まず、完全胆道閉塞と劇症肝炎の患者には絶対に投与してはいけません。これらは禁忌に指定されており、投与した場合は症状を著しく増悪させる危険があります。
次に、慎重投与が必要な患者群を以下に整理します。
| 患者背景 | リスク内容 |
|---|---|
| 重篤な膵疾患 | 原疾患の悪化 |
| 消化性潰瘍 | 粘膜刺激作用による増悪 |
| 胆管に胆石がある | 利胆作用による胆汁うっ滞の惹起 |
| PBC硬変期で高度黄疸 | 血清ビリルビン値の上昇・症状悪化 |
| C型慢性肝疾患で高度黄疸 | 血清ビリルビン値の上昇・症状悪化 |
| 高齢者 | 一般的な生理機能低下 |
| 妊婦・妊娠可能女性 | 胎児毒性(動物実験での報告あり) |
中でも注意が必要なのが、PBC(原発性胆汁性肝硬変)硬変期の高度黄疸患者です。ウルソ錠はPBCの標準治療薬であるため、「PBCには安全に使える」と思い込みがちです。しかし硬変期で高度黄疸がある段階では、投与によって血清ビリルビン値がさらに上昇し、症状が悪化するおそれがあります。この場合、「ビリルビン値の上昇等がみられた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと」と規定されています。
黄疸が深ければ深いほど注意が必要です。PBC患者を管理する際は、病期ステージと黄疸の程度をこまめに評価することが不可欠です。また、授乳婦に対してはヒトの母乳への移行が確認されているため、授乳継続か中止かを慎重に判断する必要があります。
参考:日経メディカル ウルソ錠100mg 基本情報・注意事項
日経メディカル ウルソ錠100mg 基本情報・副作用・注意事項
ウルソ錠は相互作用の少ない薬剤として知られています。しかし知らずに見落とすと、治療効果が著しく落ちたり、他の薬の副作用が強まったりするリスクがあります。
ウルソ錠の作用を弱める薬(吸収阻害)
最も重要なのが、コレスチラミン(クエストラン)・コレスチミドとの相互作用です。これらの陰イオン交換樹脂は、ウルソと直接結合し、腸管での吸収を遅滞・減少させます。アルミニウムを含有する制酸剤(水酸化アルミニウムゲル、合成ケイ酸アルミニウムなど)も同様のメカニズムでウルソを吸着し、吸収を阻害します。
つまり、胃炎や高コレステロール血症の合併症で制酸剤やコレスチラミンが一緒に処方されている場合、ウルソの治療効果が大幅に低下している可能性があります。田辺ファーマのQ&Aでは「アルミニウムを含有する制酸剤はin vitroにおいて胆汁酸を吸着することが知られており、ウルソも同様に吸着され吸収が阻害されると考えられる」と説明されています。対策として「可能な限り間隔をあけて投与する」ことが添付文書に明記されています。
ウルソ錠が他の薬に影響を与えるケース
コレステロール胆石溶解を目的としてウルソ錠を使用する際には、フィブラート系脂質低下剤(クロフィブラート・ベザフィブラート・フェノフィブラート)との併用注意があります。これらの薬剤は胆汁中へのコレステロール分泌を促進するため、ウルソによる胆石溶解効果が妨げられるおそれがあります。
また、経口糖尿病用薬との相互作用も見逃せません。ウルソは糖尿病治療薬の作用を増強するおそれがあるとされており、血糖管理に影響が及ぶ可能性があります。糖尿病を合併している慢性肝疾患患者への投与は特に注意が必要です。
参考:田辺ファーマ医療従事者向けQ&A(ウルソと制酸剤との相互作用)
田辺ファーマ Medical View Point Q&A|ウルソと制酸剤との相互作用
これが最も見落とされやすい落とし穴です。本来「胆石を溶かす薬」であるウルソ錠が、長期使用によって逆に「胆石を新たに形成する」事例が報告されており、2025年12月の添付文書改訂でその旨が新たに追記されました。
具体的には、過去に胆石治療のための十二指腸乳頭部の処置(内視鏡的乳頭切開術や胆道と十二指腸との吻合術など)を受けた患者において、本剤を長期使用した際に、ウルソデオキシコール酸を主成分とする胆石の形成が報告されているとされています。これは「その他の注意」として新設された項目です。
「胆石を溶かす薬が、胆石を作ることもある」という逆説は、直感に反します。意外ですね。ただし重要な点は、通常のコレステロール系胆石とは異なる、ウルソデオキシコール酸自体が成分となる胆石が形成されるという点です。特に腸肝循環が変化した術後患者では、薬剤成分の動態が変わりやすく、このような石形成が起きやすいと考えられています。
この点を踏まえると、乳頭切開術や胆道-十二指腸吻合術後の患者にウルソ錠を長期投与する際は、定期的な画像評価(腹部超音波検査など)が推奨されます。年1回程度の腹部エコーによる胆嚢・胆管の確認を診察計画に組み込むことで、新たな胆石形成を早期に発見できます。
参考:ジェネリックメーカー各社の「使用上の注意改訂のお知らせ」(2025年12月改訂)
日本ジェネリック株式会社 ウルソデオキシコール酸錠「使用上の注意改訂のお知らせ」(2025年12月)
添付文書の副作用情報は必要条件ですが、それだけでは臨床現場でのモニタリングとしては不十分です。ここでは、検索上位の記事にはない、実践的な観察視点を紹介します。
「肝庇護薬なのにAST・ALTが上がる」という矛盾を解釈する
ウルソ錠の副作用としてAST・ALT・ALP上昇が0.1〜1%未満の頻度で報告されています。「肝機能を改善する薬なのに、肝機能が上がるのはおかしい」と感じる方も多いでしょう。これは、ウルソの利胆作用が強く出た場合や、元の肝疾患が進行している場合に、原疾患の悪化分が数値に反映されるケースが含まれると考えられます。ウルソを投与しているにもかかわらずAST・ALTが上昇傾向にある場合は、薬の副作用と原疾患の増悪を丁寧に鑑別する必要があります。肝機能が悪化していく場合の確認は基本です。
高用量投与(600〜900mg/日)時の特別なモニタリング
PBCやC型慢性肝疾患における標準用量は1日600mg(分3)で、最大900mgまで増量可能です。通常の胆道系疾患での用量(1日150mg程度)と比べ、4〜6倍の投与量になります。高用量での使用では、下痢などの消化器系副作用の頻度が増す傾向がデータで示されており、投与量を増やす判断をした際には患者への事前説明と定期確認が欠かせません。
白血球数減少という見逃されやすい指標
頻度不明の副作用として「白血球数減少」が添付文書に記載されています。これは他の薬剤の副作用や基礎疾患による変動と区別がつきにくいため、ルーティン採血でのモニタリング時に意識的に確認することが重要です。特に免疫抑制を受けている患者や、他の骨髄抑制薬を併用している患者では、複合的な影響として白血球減少が起こる可能性があります。白血球数の推移は継続モニタリングが条件です。
患者への服薬指導で伝えるべき「受診を急ぐ症状」
医療従事者として、患者に以下の症状が現れた場合は「次の定期受診を待たずにすぐ連絡するよう」指導することが肝心です。症状が出てからの初動が患者アウトカムを大きく変えます。
- 💨 咳が止まらない、息苦しさがある(間質性肺炎の可能性)
- 🌡️ 発熱が続く
- 🟡 皮膚や白目が黄色くなる(黄疸の悪化)
- 🔴 皮膚に赤い発疹・じんましんが出た
- 😮💨 ひどい倦怠感や体が重い
参考:くすりの適正使用協議会 ウルソ錠100mg くすりのしおり(患者向け情報)
くすりの適正使用協議会 ウルソ錠100mg くすりのしおり
![]()
【第3類医薬品】【送料無料】 レバウルソ錠 180錠 肝臓 疲れ サポート 肝機能 改善 漢方 二日酔い 肝臓 薬 飲みすぎ 肝臓ケア 肝臓 解毒 サプリ ウルソデオキシコール酸 肝臓 疲れ 男性 健康維持 中高年 お酒 よく飲む 人