痛風発作中にウリアデック錠を開始すると、発作がさらに悪化することが添付文書に明記されています。

ウリアデック錠20mg(一般名:トピロキソスタット)は、三和化学研究所が製造販売する非プリン型選択的キサンチンオキシダーゼ(XO)阻害剤です。2013年9月に販売が開始され、薬効分類番号は3949、YJコードは3949004F1028です。同一成分を持つ先発品として富士薬品の「トピロリック」も市場に存在しており、両社が併売する形をとっています。
添付文書の最新版は2022年5月改訂(第2版)であり、医療機関での処方に際しては必ず最新の添付文書を参照することが求められます。錠剤の大きさは直径約6mm、厚さ約2.4mmと小型で、色は白色~淡黄白色の素錠です。識別コードは「Sc341」となっており、40mg錠・60mg錠と混同しないよう注意が必要です。
規制区分は処方箋医薬品であり、薬価は20mg錠が15.4円/錠です。貯法は室温保存で、有効期間は4年間と定められています。添付文書上の効能または効果は「痛風、高尿酸血症」のみであり、本剤の適用にあたっては最新の治療指針等を参考に、薬物治療が必要とされる患者を対象とすることが明記されています。
PMDA 医療用医薬品情報(ウリアデック錠):添付文書PDF・患者向医薬品ガイド・インタビューフォームが一括で確認できる公式ページ
添付文書に記載された用法・用量の原則は、「通常、成人にはトピロキソスタットとして1回20mgより開始し、1日2回朝夕に経口投与する」というものです。段階的増量が原則です。
具体的なスケジュールは以下のとおりです。
- 投与開始時:1回20mg、1日2回
- 投与開始から2週間以降:1回40mg、1日2回へ増量可
- 投与開始から6週間以降:1回60mg、1日2回(維持量)へ増量可
- 最大投与量:1回80mg、1日2回
この段階的な増量が重要なのは、血中尿酸値の急激な低下が痛風関節炎(痛風発作)を誘発することがあるためです。臨床試験のデータでは、増量を2段階で行った群(発現率10.4%、241例中25例)は、1段階のみの群(発現率16.1%、87例中14例)と比較して痛風関節炎の発現率が低い傾向が示されています。これは増量ステップを丁寧に踏むことの意義を裏付けるデータです。
食事の影響について、添付文書の薬物動態の項には重要な情報があります。摂食下での投与は絶食下と比較してCmax(最高血中濃度)が約30%低下しますが、AUC(血中濃度-時間曲線下面積)は食事の影響を受けません。つまり、トータルの吸収量は変わらないということです。メーカーのFAQにも「食前・食直前・食後いずれの服薬でも結構です」と明記されており、コンプライアンスを優先した服薬タイミングの指導が可能です。
他の尿酸降下薬からの切り替え時も、初期用量は必ず1回20mg、1日2回から開始します。前の薬で尿酸値がコントロールされていたとしても、この原則は変わりません。
三和化学研究所 ウリアデック FAQ:用法・用量に関する具体的な質問と公式回答が掲載されている参考ページ
添付文書の禁忌(第2項)には2つの条件が明示されています。1つ目は「本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者」、2つ目は「メルカプトプリン水和物またはアザチオプリンを投与中の患者」です。
メルカプトプリン(商品名:ロイケリン)やアザチオプリン(商品名:イムラン、アザニン)は、白血病や関節リウマチ、炎症性腸疾患などの治療に使われる薬剤です。これらの薬物の代謝酵素がキサンチンオキシダーゼであるため、本剤との併用によって骨髄抑制などの重篤な副作用が増強される可能性があります。アロプリノール(類薬)で同様の作用が確認されており、ウリアデックも同等の危険性があるとみなされています。
この点は実際の臨床でしばしば見落とされるリスクがあります。たとえば、高尿酸血症と関節リウマチを合併する患者にアザチオプリンが処方されている場合、ウリアデックとの併用は絶対禁忌です。処方前の服薬歴の確認が必須です。
併用注意薬としては以下の4剤が挙げられています。
- ワルファリン:本剤の肝代謝酵素阻害作用によりワルファリンの血中濃度が上昇し、抗凝固作用が増強する可能性。PT-INRのモニタリングが推奨されます。
- テオフィリン等のキサンチン系薬剤:XO阻害によりテオフィリンの血中濃度が上昇するリスク。気管支喘息の患者に処方されているケースで注意が必要です。
- ビダラビン:幻覚・振戦・神経障害等の副作用が増強する可能性。
- ジダノシン:HIV治療薬。CmaxおよびAUCが上昇するリスクが知られています。
これは使えそうな情報です。特にワルファリンとテオフィリンは日常臨床でよく処方される薬剤であるため、ウリアデックとの組み合わせには細心の注意が求められます。
KEGG MEDICUSデータベース ウリアデック添付文書全文:禁忌・相互作用の詳細が参照できる医薬品情報ページ
添付文書の副作用の項では、重大な副作用として2つが挙げられています。
肝機能障害(頻度:2.9%)が筆頭です。AST・ALT等の上昇を伴う肝機能障害が2.9%に発現し、そのうち重篤なものは0.2%です。1000人に投与すれば約2人に重篤な肝機能障害が現れうる計算です。これは決して無視できない頻度です。
添付文書の重要な基本的注意(第8.2項)には「肝機能障害があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的に検査を行うなど患者の状態を十分に観察すること」と記載されています。具体的な検査間隔は明記されていませんが、投与初期は特に注意が必要です。ALT・ASTに加え、γ-GTPは1〜5%未満、LDH・血中ビリルビン・Al-Pは1%未満で上昇する可能性があります。定期検査が基本です。
多形紅斑(頻度:0.5%未満)も重大な副作用として挙げられています。発熱・関節痛・皮膚の円形またはだ円形の赤い発疹が現れた場合は速やかに投与を中止し、適切な処置を行うことが求められます。
その他の副作用として、5%以上の頻度で発現するものに「痛風関節炎(発作)」「ALT増加」「AST増加」「β-NアセチルDグルコサミニダーゼ増加」「α1ミクログロブリン増加」があります。腎尿細管の指標となるβ-NアセチルDグルコサミニダーゼやα1ミクログロブリンが高頻度で上昇することは、腎機能への影響を示唆する指標として注目すべき情報です。
また、投与初期の痛風発作(痛風関節炎)の発現は5%以上と高頻度であることを、患者にあらかじめ十分に説明しておくことが、治療の継続に直結します。
添付文書の「その他の注意」の項(15.1.1)には、見落とされがちな重要な一文があります。「女性患者に対する使用経験は少ない」という記載です。これは添付文書の目立ちにくい箇所に書かれているため、見過ごされることがあります。
高尿酸血症は男性に圧倒的に多い疾患ですが、女性患者が存在しないわけではありません。閉経後の女性や腎機能低下を合併する女性への処方時は、臨床データが乏しいことを念頭に置いた慎重な観察が不可欠です。
腎機能障害患者への対応は以下のとおりです。
| 腎機能 | 対応 |
|---|---|
| eGFR 60以上(正常〜軽度低下) | 通常用量で投与可能 |
| eGFR 30〜60未満(中等度低下) | 通常用量で投与可能(薬物動態パラメータに大差なし) |
| eGFR 30未満(重度低下) | 有効性・安全性を指標とした臨床試験未実施。副作用に注意しながら慎重に投与 |
フェブキソスタット(フェブリク)との比較で、トピロキソスタットは「腎機能低下時でも用量調整不要」という点が特徴的です。アロプリノールは重度腎機能障害時には必ず減量が必要ですが、トピロキソスタットは肝代謝型であるため腎機能の影響を受けにくいという利点があります。
高齢者については「経過を十分に観察しながら、慎重に投与すること。一般に高齢者では生理機能が低下している」と記載されています。厳しいところですね。高齢者女性を対象とした薬物動態試験では、非高齢者男性と比較してAUCが1523.5 ng·h/mL(非高齢者男性は1264.0 ng·h/mL)と高値を示しており、血中濃度が高くなりやすい傾向があります。高齢者や女性への処方では、副作用の早期発見のための検査頻度を高めることを検討する価値があります。
また、妊婦・授乳婦については、ラットを用いた動物実験で胎児への移行と乳汁中への移行が報告されています。妊婦への投与は「治療上の有益性が危険性を上回る場合のみ」、授乳婦については「授乳の継続または中止を検討」することが求められます。
小児等を対象とした臨床試験は実施されておらず、安全性データがまったく存在しません。小児への投与は現時点では推奨できないということです。
Pharmacista:トピロキソスタットの作用機序・フェブキソスタット・アロプリノールとの比較が詳しく解説された薬剤師向け専門ページ
添付文書の「その他の注意」(15.1.2)には、フェブキソスタット(フェブリク)のデータが参考情報として掲載されています。海外で実施された大規模試験(CARES試験)のデータで、心血管疾患を有する痛風患者を対象にフェブキソスタットとアロプリノールを比較したものです。主要複合エンドポイントでは非劣性が示されましたが、心血管死の発現割合はフェブキソスタット群4.3%(134/3098例)、アロプリノール群3.2%(100/3092例)と差がありました。
この記載がウリアデックの添付文書に掲載されている理由は、同じXO阻害薬クラスとして類似のリスクプロファイルが存在する可能性を示唆するためです。つまり心血管リスクが高い患者への処方時は、より慎重な判断が求められるということです。
3剤の特性を比較すると以下のようになります。
| 薬剤 | 用法 | 腎機能低下時 | 尿酸値低下強度(参考) |
|---|---|---|---|
| アロプリノール | 1日2〜3回 | 減量必要 | 血清尿酸値変化率 −34.26% |
| トピロキソスタット(ウリアデック) | 1日2回 | 軽〜中等度は不要 | 血清尿酸値変化率 −36.28%(120mg/日) |
| フェブキソスタット(フェブリク) | 1日1回 | 軽〜中等度は不要 | 血清尿酸値変化率 −43.0%(40mg/日) |
服薬回数の面では、フェブキソスタット(1日1回)のほうがアドヒアランスで優れますが、トピロキソスタットは1日2回の分割投与であることで血中濃度の変動が抑えられる側面もあります。尿酸値を下げる強さはフェブキソスタットがもっとも強力です。
一方でトピロキソスタットの重要な利点は、非プリン型選択的阻害薬であることから、アロプリノールで問題となるスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)や中毒性表皮壊死症(TEN)などの重篤な皮膚副作用が報告されていない点です。これは、アロプリノールが他の核酸代謝酵素にも作用するのに対し、トピロキソスタットは選択的にXOのみを阻害するためです。
高尿酸血症・痛風の治療ガイドラインでは、薬物治療目標として血清尿酸値6.0mg/dL以下を維持することが推奨されています。目標値が基本です。ウリアデックの臨床試験では120mg/日(維持量)投与時に6.0mg/dL以下達成率72.4%が示されており、最大用量の80mg×1日2回(160mg/日)への増量が選択肢となるケースもあります。
上尾中央総合病院 尿酸生成抑制薬フォーミュラリー:アロプリノール・フェブキソスタット・トピロキソスタットの病院薬剤委員会による比較検討資料