アラミストを「そのままプラごみ」に捨てても患者クレームは来ません。

アラミスト点鼻液(フルチカゾンフランカルボン酸エステル)は、グラクソ・スミスクライン(GSK)が製造販売するアレルギー性鼻炎治療薬です。成人は1日1回・各鼻腔2噴霧、小児は各鼻腔1噴霧で使用する、現場でも処方頻度の高いステロイド点鼻薬です。
この薬の容器が「捨て方が難しい」と言われる最大の理由は、外側がプラスチック製、内部がガラス瓶という複合素材構造にあります。大きさとしては全体がおよそ手のひらにすっぽり収まるコンパクトサイズながら、中のガラス瓶は高さ約5cm(文庫本の短辺の半分ほど)の小瓶です。素材が混在しているため、「プラごみ」で出すべきか「ガラス・瓶ごみ」で出すべきか、そのまま出してよいのか、判断に迷うケースが続出しています。
つまり、素材が混在している点が問題です。
薬剤師がメーカーの添付文書やインタビューフォームを確認しても、廃棄方法に関する記述は一切ありません。あるのはGSKの患者向けサイト「くすりの使い方」Q&Aのみで、そこに書かれているのは「各自治体の分別ルールに従って廃棄してください」というひと言だけです。これは実際に薬局薬剤師の間でも「廃棄について公式情報が少なすぎる」と指摘されており、現場での指導を難しくしている一因となっています。
参考リンク:アラミストのQ&A(廃棄方法の公式見解を確認できます)
アラミストのQ&A|くすりの使い方(GSK)
さらに事情を複雑にしているのが、自治体ごとに分別ルールが異なるという点です。たとえば静岡市では「点鼻薬のびん=不燃・粗大ごみ」と明記されており、山口市では「プラスチック+ガラスの複合容器は燃やせないごみ」とされています。一方で「燃えるごみ」として扱う自治体も存在します。
「プラスチックだからプラごみ」という判断だけでは誤りになる自治体もあることを、指導する側は覚えておく必要があります。
メーカー公式では「分解できません」とアナウンスされています。これが原則です。したがって、分解を推奨するわけではありませんが、ガラスとプラスチックを確実に分別したい場合の参考情報として、実際に複数の使用者が試みている方法をまとめます。必ず怪我に注意し、自己責任で行ってください。
| 手順 | 作業内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| ① | 容器両側面のラベルシールを剥がす | ツメの位置が確認しやすくなる |
| ② | 容器中央部にある2カ所のツメをマイナスドライバーで押し込む | 強い力は不要。ドライバーが滑ると手を傷つけるため保護手袋推奨 |
| ③ | ツメが外れたらパーツをゆっくり引き離す | プラスチックカバーとガラス瓶ユニットに分かれる |
| ④ | ガラス瓶口部分に残るプラスチックパーツの処理 | ガラスが割れるリスクがあるため、無理に外さない |
手順②のツメ外しは、数ミリのドライバー操作で外れるため、力ずくでこじ開ける必要はありません。怪我のリスクがあるので注意が必要です。
ガラス瓶口(ノズル取付部)のプラスチックパーツは瓶に強固に固定されており、無理に外そうとするとガラスが割れる可能性があります。割れたガラスは鋭利であり、ゴミ収集作業員の怪我につながるリスクもあることから、このパーツはガラス瓶ごと「ガラス・瓶ごみ」として廃棄するのが現実的な落とし所です。
参考リンク:薬剤師が実際に分解した手順と感想が詳細に書かれています
アラミスト点鼻の破棄でイライラした件|やくざいしのたわごと
容器の分別と同じくらい重要なのが、薬液(残薬)そのものの廃棄方法です。残っている場合も、使い切った後に微量が残っている場合も、適切な処理が求められます。
まず絶対に避けるべきことを明確にします。
下水や排水口に薬液を流してはいけません。アラミストの有効成分であるフルチカゾンフランカルボン酸エステルのようなステロイド系成分は、下水処理で完全には分解されない可能性があり、河川や海洋の生態系に微小な悪影響を与えるリスクが指摘されています。液体を下水に流すことは、環境省が推奨する廃棄方法に明確に反します。
これは大切な原則です。
残薬液の正しい処理手順は以下の通りです。
調剤薬局でも残薬の回収に対応しているケースがあります。これは使えそうです。医療従事者として患者への服薬指導の際に、「使い切れなかった場合は薬局にお持ちください」と案内できると、患者の廃棄ミスを事前に防ぐことができます。
参考リンク:液体薬を下水に流してはいけない理由と正しい廃棄法を解説しています
医療従事者として患者に廃棄方法を伝える際、「自治体によって違います」と一言添えることが欠かせません。実際にどう違うのか、具体例を見てみましょう。
| 自治体 | アラミスト容器(プラ+ガラス複合)の分別区分 |
|---|---|
| 静岡市(葵区・駿河区・清水区) | 不燃・粗大ごみ |
| 山口市 | 燃やせないごみ(プラ+ガラス複合のまま) |
| 分解してガラス瓶を取り出した場合の多くの自治体 | ガラス瓶→「瓶・ガラスごみ」、プラスチック→「プラごみ」または「燃やせないごみ」 |
| 地域によっては | 燃えるごみとして可燃処理(ガラスが小さい場合) |
自治体によってこれほど扱いが異なります。そのまま「プラごみ」に出すだけでは、ガラス瓶が混在しているため収集作業員の怪我につながる危険性があります。
「各自治体に確認する」ことが最低限必要な対応であり、医療従事者・薬剤師が患者に対して「お住まいの自治体のルールを確認してください」と案内できることが理想的な対応です。
分からなくて困った場合の対処法としては、次の3つが現実的な選択肢です。
「処方された薬局に聞く」が一番確実です。特に薬局では専門的な立場からアドバイスできるうえ、容器そのものを受け取って適切に処理できる場合もあります。
2023年6月より、アラミストのジェネリック医薬品(後発品)としてフルチカゾンフランカルボン酸エステル点鼻液が5社から薬価収載されています。薬価は先発品(56噴霧用:1,555円)に対して後発品は約572〜628円と、半額以下になります。
後発品は大きく2タイプの噴霧デバイスに分かれます。
縦押し型デバイスに切り替わった場合、ガラスとプラスチックの接合方法が異なります。したがって、アラミストと同じ手順で分解しようとしても、うまくいかないことがあります。ジェネリックへの変更案内をする際には、捨て方についても「デバイスが変わった場合は自治体ルールを再確認するように」と患者に一言添えることが丁寧な対応です。
参考リンク:アラミストのジェネリック医薬品の種類・薬価・デバイスの違いを解説
アラミストのジェネリック医薬品「フルチカゾンフランカルボン酸エステル点鼻液」について|薬剤師求人ラボ
医療従事者として患者へのスムーズな指導のために、処方時に一言「空になったら自治体のルールで捨ててください、分からなければ薬局にお持ちください」と伝えておくだけで、患者の廃棄トラブルを大きく減らせます。これだけ覚えておけばOKです。