スキリージ皮下注の添付文書を読む医療従事者向け解説

スキリージ皮下注の添付文書を正しく理解していますか?効能・用法・禁忌・副作用まで、医療従事者が押さえるべき重要ポイントを徹底解説。見落としがちな注意事項とは?

スキリージ皮下注の添付文書を医療従事者向けに徹底解説

乾癬に使用している他の生物製剤から切り替えたその日から、スキリージを投与してはいけません。


📋 スキリージ皮下注 添付文書 3ポイント要約
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効能・用法のポイント

尋常性乾癬・乾癬性関節炎・膿疱性乾癬・乾癬性紅皮症・掌蹠膿疱症に対しては1回150mg(初回・4週後・以降12週間隔)、クローン病や潰瘍性大腸炎の維持療法では別用量の皮下注製剤を使用する。

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禁忌・警告のポイント

重篤な感染症・活動性結核・本剤成分に対する過敏症の既往歴がある患者には投与禁忌。投与前に必ずIGRAまたはツベルクリン反応検査を実施すること。

⚠️
他剤との関係のポイント

他の生物製剤・JAK阻害剤との併用は安全性が確立していないため避けること。生ワクチン(BCG・麻疹・水痘など)の接種も投与中は禁止。


スキリージ皮下注の添付文書が示す効能・効果と対象疾患の全体像



スキリージ皮下注(一般名:リサンキズマブ〔遺伝子組換え〕、製造販売元:アッヴィ合同会社)は、インターロイキン-23(IL-23)のp19サブユニットを選択的に阻害するヒト化モノクローナル抗体製剤です。添付文書上、皮下注製剤として承認されている効能・効果は「既存治療で効果不十分な」以下の疾患となっています。


尋常性乾癬・乾癬性関節炎・膿疱性乾癬・乾癬性紅皮症・掌蹠膿疱症(PPP)が該当します。


これが基本適応です。さらに、皮下注360mgオートドーザー・180mgオートドーザーは、点滴静注製剤による導入療法後の維持療法として、クローン病および潰瘍性大腸炎にも使用されます。医療従事者が注意すべきは、皮下注製剤と点滴静注製剤とでは適応の役割が厳密に異なる点です。クローン病・潰瘍性大腸炎の「寛解導入療法」は点滴静注600mgまたは1200mgで行い、「維持療法」に皮下注製剤へ移行するという流れになっています。


🗓️ 適応拡大の歴史まとめ


| 承認年月 | 追加された効能・効果 |
|---|---|
| 2019年3月 | 尋常性乾癬・関節症性乾癬・膿疱性乾癬・乾癬性紅皮症 |
| 2022年9月 | クローン病(維持療法) |
| 2023年5月 | 掌蹠膿疱症 |
| 2024年6月 | 潰瘍性大腸炎(維持療法) |


掌蹠膿疱症は2023年5月25日に6番目の適応として承認されましたが、現場での認知度はまだ高くない傾向があります。これが大事なポイントです。治療選択肢が広がっているにもかかわらず、既存適応のみで思考が止まってしまうと、患者が受けられる治療の幅を狭めてしまうリスクがあります。


なお、効能・効果に関連する注意として、乾癬系疾患では「光線療法を含む既存の全身療法(生物製剤を除く)で十分な効果が得られず、皮疹が体表面積の10%以上に及ぶ患者」または「難治性の皮疹・関節症状・膿疱を有する患者」のいずれかを満たすことが投与要件として定められています。安易に投与を開始できるではありません。掌蹠膿疱症では「中等症から重症の膿疱・小水疱病変を有する患者」が条件です。


参考:PMDA 医療用医薬品情報(スキリージ皮下注150mgシリンジ他)
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdSearch/02/3999450G2024?user=1


スキリージ皮下注の添付文書が定める用法・用量の詳細と製剤ごとの違い

添付文書が定める用法・用量は、適応疾患と製剤によって細かく異なります。正確に把握しておかないと、投与量や間隔の誤りにつながるリスクがあります。これは必須の知識です。


🔷 疾患別・用量一覧


| 疾患 | 製剤 | 用量・投与間隔 |
|---|---|---|
| 尋常性乾癬・関節症性乾癬・膿疱性乾癬・乾癬性紅皮症 | 75mg または 150mgシリンジ/ペン | 1回150mg(初回・4週後・以降12週間隔)、状態に応じ75mgも可 |
| 掌蹠膿疱症 | 150mgシリンジ/ペン | 1回150mg(初回・4週後・以降12週間隔) |
| クローン病(維持療法) | 360mgオートドーザー | 1回360mg・8週間隔 |
| 潰瘍性大腸炎(維持療法) | 180mgまたは360mgオートドーザー | 1回180mg・8週間隔(状態に応じ360mgも可) |


乾癬系疾患における「12週間隔」という投与スパンは、生物製剤の中でも特に長い部類に入ります。最長クラスの投与間隔ということですね。たとえばトレムフィア(グセルクマブ)が8週間隔であるのと比べると、診療上の患者負担が少ない点が臨床的なメリットとして挙げられます。


一方、75mgと150mgの選択については、「患者の状態に応じて1回75mgを投与することができる」とされており、標準用量は150mgです。75mgへのダウンサイジングはあくまで例外的扱いと理解しておく必要があります。


掌蹠膿疱症に対する治療反応が得られるまでの期間にも注目が必要です。添付文書の7.3では「本剤による治療反応は、通常投与開始から28週以内に得られる」とされており、乾癬系(16週以内)よりも長い期間の評価が必要です。28週間経過観察が条件です。乾癬の感覚で16週で「効果なし」と判断してしまうと、本来有効だった可能性がある患者への治療を早期に断念することになります。


また、用法・用量に関連する注意として、クローン病の皮下注維持療法中に効果が減弱した場合は、点滴静注製剤(リサンキズマブ600mg)を単回投与し、8週後から皮下投与を再開する「レスキュー治療」が規定されています。これが添付文書上で明示された正規の対応フローです。


参考:スキリージ皮下注360mgオートドーザー 電子添文(qlifepro)
https://meds.qlifepro.com/detail/3999450G4027/


スキリージ皮下注の添付文書が定める禁忌・警告と投与前チェックの重要項目

添付文書の「2. 禁忌」には3項目が明記されています。これを見落とすと重篤な感染症を引き起こすリスクがあり、医療安全上の問題につながります。


🚫 禁忌の3項目


- 2.1 重篤な感染症の患者(症状を悪化させるおそれがある)
- 2.2 活動性結核の患者(症状を悪化させるおそれがある)
- 2.3 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者


「重篤な感染症」と「活動性結核」の2つが別々に禁忌として挙げられている点は重要です。結核は特別扱いです。これは、結核が単なる感染症リスクにとどまらず、生物製剤投与による再活性化(潜在性結核の活性化)という固有のリスクを持つからです。


投与前に実施すべき結核スクリーニングとして、添付文書8.2では以下を求めています。


✅ 結核スクリーニングの手順


1. 十分な問診(結核既往歴・治療歴・濃厚接触歴の確認)
2. 胸部X線検査
3. インターフェロンγ遊離試験(IGRA:T-SPOTまたはQFT)またはツベルクリン反応検査
4. 必要に応じて胸部CT検査


さらに、以下のいずれかに該当する患者には「原則として抗結核薬を投与した上で本剤を投与すること」と明記されています。


- 胸部画像検査で陳旧性結核に合致する陰影を有する患者
- 結核の治療歴(肺外結核を含む)を有する患者
- IGRAやツベルクリン反応検査等で既感染が強く疑われる患者
- 結核患者との濃厚接触歴を有する患者


これは非常に厳格な規定です。「陳旧性なら投与していい」ではなく、「抗結核薬を先行させてから投与する」というのが原則であり、ここを誤解している医療従事者が一定数いると考えられます。


また、警告(1.1)には「本剤は結核等の感染症を含む緊急時に十分に対応できる医療施設において、本剤についての十分な知識と適応疾患の治療に十分な知識・経験をもつ医師のもとで使用すること」と規定されており、処方できる施設・医師にも要件があります。認定施設外では処方できません。


参考:JAPIC 皮下注射用リサンキズマブ(遺伝子組換え)製剤 添付文書(PDF)
https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00070095.pdf


スキリージ皮下注の添付文書に記載された副作用プロファイルと安全性データの読み方

添付文書の11項(副作用)に記載された重大な副作用は2項目です。シンプルですが軽視できません。


⚠️ 重大な副作用


- 重篤な感染症(0.4%):敗血症・骨髄炎・腎盂腎炎・細菌性髄膜炎など。発症した場合は感染症が消失するまで投与を中止する。


- 重篤な過敏症(0.1%):アナフィラキシー等。頻度不明扱いだが油断は禁物。


頻度の数字について補足すると、「0.4%」とは乾癬系疾患の国内外臨床試験データに基づいたものです。クローン病・潰瘍性大腸炎については、それぞれ異なる臨床試験データが添付文書に記載されており、重篤感染症は0.7%という数字も示されています。疾患ごとに数字が異なることを念頭に置く必要があります。


その他の副作用(11.2)は以下の通りです。


| 頻度 | 症状 |
|---|---|
| 1〜5%未満 | 上気道感染、注射部位反応(紅斑・腫脹・そう痒感・疼痛・出血・硬結等) |
| 1%未満 | 白癬感染、毛包炎、頭痛、疲労 |


注射部位反応が1〜5%未満という点は見過ごせません。投与を開始した後に患者から「注射したところが赤い」「腫れている」という訴えがあった場合、まず添付文書に記載された副作用反応として想定内であることを確認した上で、過敏症反応との鑑別を行うことが重要です。


また、15項(その他の注意)には抗リサンキズマブ抗体(ADA)の発現率が記載されています。日本人尋常性乾癬患者への150mg皮下投与では、31.0%(31/100例)に抗リサンキズマブ抗体が認められ、12.0%(12/100例)に中和抗体が認められたと報告されています。3割超の患者にADAが発現するというデータです。ただし、ADAが臨床的有効性に大きく影響しているかについては、現状の添付文書では「有効性及び安全性への影響は不明」との立場です。


悪性腫瘍についても注意書きがあります。臨床試験において悪性腫瘍の発現が報告されており、乾癬患者での発現率は0.6/100人年(非黒色腫皮膚癌を除く)とされています。一般乾癬患者での報告発現率(1.42/100人年)と同程度であり、スキリージ固有のリスク増加は現時点では示されていません。この数字は患者への説明に使えます。


参考:スキリージ適正使用ガイド(アッヴィ合同会社)
https://a-connect.abbvie.co.jp/-/media/assets/pdf/products/skyrizi/SKYRIZI_useguide.pdf


スキリージ皮下注の添付文書に記載されていない盲点:他剤切り替え時の実臨床上の注意点

これは添付文書に補足的に記載された注意事項であり、現場で特に混乱を生じやすいポイントです。意外なポイントですね。


添付文書の7.1(用法・用量に関連する注意)に「本剤と他の生物製剤の併用について安全性及び有効性は確立していないので併用を避けること」と明記されています。これは「スキリージに切り替える前に他の生物製剤を十分に休薬してから投与する」ことを意味します。


🔄 他剤からの切り替え時に注意すべき点


他の生物製剤(例:TNFα阻害薬、IL-17阻害薬など)からスキリージへ変更する際には、添付文書8.4の記述も重要です。「他の生物製剤から変更する場合は感染症の徴候について患者の状態を十分に観察すること」と規定されています。単純に「前の薬をやめてすぐスキリージを開始する」では不十分です。


さらに生ワクチンについても、添付文書8.3で「投与中は生ワクチン接種による感染症発現のリスクを否定できないため、生ワクチン接種は行わないこと」と明記されています。BCG・麻疹・風疹・水痘・おたふくかぜなどが該当します。これも禁止です。


JAK阻害剤との併用も避ける必要があります。クローン病・潰瘍性大腸炎の適応を持つ皮下注360mg・180mgオートドーザーの添付文書では「本剤と他の生物製剤又はヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤との併用について安全性及び有効性は確立していないので併用を避けること」と明記されています。


実臨床では、患者が以前に使用していたUC・CD治療薬(例:バリシチニブ、フィルゴチニブなどのJAK阻害剤)から切り替えてくるケースがあります。JAK阻害剤は半減期が比較的短い薬剤が多いですが、だからといって即日切り替えてよいわけではありません。患者の感染症リスクと炎症状態の評価を先に行うことが原則です。


自己注射についても確認が必要です。スキリージ皮下注は、現時点では「医療機関内で医療従事者が投与するお薬」であり、患者の自己注射は承認されていません。これは添付文書上に明示的な記載があるわけではありませんが、アッヴィが公式に「自己注射は認められていない」と案内しており、処方箋医薬品として管理されています。


👀 独自視点:「28週評価」が掌蹠膿疱症治療を変える可能性


掌蹠膿疱症(PPP)は治療期間が平均3〜7年と言われる慢性疾患です。スキリージの添付文書では、PPPに対する治療反応を「28週以内」で評価することが規定されています。これは乾癬の「16週以内」という評価期間とは大きく異なります。


PPPの診療に携わる皮膚科医・アレルギー科医にとって、この「28週という評価期間」の知識は非常に実践的です。もし16週時点での効果を根拠に投与を中止してしまえば、本来有効であったはずの患者への治療機会を失うことになります。特に難治例・既存治療不応例での長期的な評価姿勢が、患者アウトカムに直接影響します。


参考:スキリージ 掌蹠膿疱症適応追加承認(アッヴィプレスリリース)
https://www.abbvie.co.jp/content/dam/abbvie-com2/japan/documents/press-release/2023_0525.pdf






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