シムビコートタービュヘイラー使い方を動画で学ぶ正しい手順

シムビコートタービュヘイラーの使い方を動画で確認したい医療従事者向けに、「クルッ・カチッ・スーッ」の3ステップや患者指導のコツを詳しく解説。あなたの指導で患者の手技ミスを防げていますか?

シムビコートタービュヘイラーの使い方を動画で正しく理解する指導の要点

患者の3人に2人が、あなたの説明後も吸入手技にミスを抱えたまま帰宅しています。


🎯 この記事の3つのポイント
📹
動画で使い方を理解する

アストラゼネカ公式など権威ある動画でシムビコートタービュヘイラーの「クルッ・カチッ・スーッ」3ステップを視覚的に確認。患者指導でそのまま活用できます。

⚠️
66.7%の患者に手技の問題あり

京都大学医学部附属病院の研究では、処方患者27名中18名(66.7%)で吸入手技に問題が確認。特に「息を吐かない」「角度が不適切」が多い。

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SMART療法と指導加算の活用

シムビコートにはSMART療法という独自の使い方があります。吸入薬指導加算(30点)を算定しながら継続的にフォローする体制づくりも重要です。


シムビコートタービュヘイラーの基本構造と動画で確認すべきポイント



シムビコートタービュヘイラーは、吸入ステロイド「ブデソニド」と長時間作用型β2刺激薬「ホルモテロールフマル酸塩水和物」を配合したドライパウダー式吸入薬(DPI)です。喘息とCOPDの両方に適応があり、吸入回数を用量として調節できる点が他の吸入薬にはない大きな特徴です。


タービュヘイラーというデバイス名は、「乱流(タービュランス)」に由来します。内部構造に設けられた5組の分量ユニットが回転することで薬剤が充填されるしくみになっており、使用前の操作が正確でないと薬剤が肺まで届きません。これが正しい。


動画で確認すべき最も重要な点は、「デバイスを垂直(吸入口を上)に立てた状態で薬剤充填操作を行うこと」です。これを見た目だけで伝えようとすると、口頭説明では伝わりにくい部分があります。動画の活用が有効なのはまさにこの点で、デバイスを傾けた場合に何が起きるかを視覚的に示せるからです。


👇 アストラゼネカが医療関係者向けに公開している公式吸入方法VTR(Chapter1〜7まで分かれており、仕組みや残量確認まで網羅)


アストラゼネカMediChannelによる医療関係者向け吸入方法VTR(仕組み・手順・残量確認・よくある質問まで7チャプター構成)
シムビコートタービュヘイラー 吸入方法VTR|アストラゼネカMediChannel


環境再生保全機構による患者向け吸入動画(手順編と解説編の2本立て。医療従事者が患者に見せる際にも活用できます)
タービュヘイラーの正しい吸入方法|環境再生保全機構(ERCA)


シムビコートタービュヘイラーの使い方「クルッ・カチッ・スーッ」3ステップ手順

タービュヘイラーの吸入手技は、「クルッ・カチッ・スーッ」という3つの動作で覚えるのが基本です。ここが原則です。この語呂合わせ自体はアストラゼネカの患者指導用資料でも使われており、実際の患者指導でそのまま使える表現です。


手技の全体の流れは以下の通りです。


ステップ 操作 注意点
①準備 キャップをひねって外す 初回のみ:グリップを左右に3回「カチッ」と空打ちする(4回目から薬剤が出る)
②クルッ 赤いグリップを右に回す デバイスを垂直に立てた状態で行う。傾けると充填量が減る
③カチッ グリップを左に戻す 「カチッ」という音で薬剤1回分がセットされたことを確認する
④息を吐く 吸入口から口を離した状態で息を吐く 吸入口に息を吹きかけない。吸気流速が低い状態で吸入すると肺内到達量が減る
⑤スーッ マウスピースをくわえ、深く速く吸い込む 最低30L/min以上の吸気流速が必要。「ゆっくり」はNG
⑥息止め 口を閉じ5秒程度息を止める 5秒の息止めで肺内薬物送達率が約3%向上(0秒→5秒)
⑦吐き出し マウスピースを外してゆっくり吐く 吸入口に息を吹き返さない
⑧うがい 水でうがいをする 口腔カンジダ・嗄声の予防に必須


DPIは速く深く吸い込むことが必要です。これはpMDI(加圧式定量噴霧型)とは真逆の操作感であり、他の吸入薬を使用している患者が切り替えた際にミスが起きやすいポイントです。


吸った感じがしないことも患者がよく訴える点です。タービュヘイラーの薬剤粒子は非常に細かく、刺激がほとんどないため「本当に吸えているか」不安になる患者が多くいます。意外ですね。この不安から何度もグリップを回してしまうケースがありますが、何度回してもセットされる薬剤は1回分だけです。ただし、カウンターは操作した回数だけ進むので残量が正確に見えなくなる点に注意が必要です。


シムビコートタービュヘイラー使い方の誤操作率と動画指導が必要な理由

「一度説明したから大丈夫」は通用しません。厳しいところですね。


京都大学医学部附属病院の薬剤部が行った研究(Suenaga K et al, Biol Pharm Bull, 2021)では、シムビコートタービュヘイラーを処方された患者27名のうち18名、すなわち実に66.7%において吸入手技の問題が確認されました。誤操作の内訳は以下の通りです。


  • 🔴 吸入前に息を吐いていない:33.3%(9名)
  • 🔴 吸入後に5秒程度の息止めができていない:33.3%(9名)
  • 🟠 デバイスをまっすぐ立てて持っていない:29.6%(8名)
  • 🟡 回転グリップの操作方法に問題:7.41%(2名)
  • 🟡 深く速く吸い込めていない:3.70%(1名)


特に注目すべきは「デバイスの保持角度」です。同研究の実験データでは、90度以上の角度でデバイスを傾けた状態で薬剤充填操作を繰り返すと、肺内薬物送達率が有意に低下することが示されています(p<0.05、Dunnettの多重比較検定)。角度が原則です。


さらに、180度(逆さま)で充填を続けると、回数を重ねるごとに段階的に吸入特性が低下することも確認されています。ただし、推奨角度(垂直)に戻すことで改善するため、患者へ早めに気づかせることが重要です。


動画は、このような「角度」「息の吐き方」「吸気の速さ」といった「言葉で伝えにくいポイント」を視覚的に示すのに最も効果的なツールです。これは使えそうです。口頭説明のみで指導を終えている場合、患者の3人に2人は正確な手技を習得できていない可能性があります。


吸入指導のポイントを整理した公式チェックリスト(浜松医療センター呼吸器内科監修、薬局との連携用フォーマット)
シムビコートタービュヘイラー 吸入指導チェックリスト|浜松医療センター


シムビコートタービュヘイラーのSMART療法と使い方の動画での伝え方

シムビコートには他のICS/LABAにはない独自の使い方があります。それがSMART療法(Symbicort Maintenance And Reliever Therapy)です。定期吸入と頓用吸入を同一デバイスで行うことができる、シムビコートならではの療法です。


通常の固定用量投与では、成人の喘息に対して1回1〜4吸入×1日2回(維持療法)です。SMART療法では、これに加えて発作時に頓用として追加吸入が可能です。発作時の頓用は1回1〜2吸入で、数分後にも改善しない場合は追加できますが、1回の発作あたり最大6吸入までです。維持療法と頓用を合計した1日の最高量は通常8吸入(一時的に12吸入まで可)となっています。


使用区分 1回量 頻度 上限
維持療法(喘息) 1〜4吸入 1日2回 1日8吸入
SMART療法(頓用追加) 1〜2吸入 発作時に随時 1発作6吸入・1日8吸入(一時的12吸入)
COPD維持療法 2吸入 1日2回 1日4吸入


SMART療法を患者に指導する際に注意が必要なのは、「発作が出たら何吸入してもいい」という誤解です。1日の最大吸入回数を必ず伝えることが必須です。また、SMART療法が適用されるのは喘息のみで、COPDには頓用追加は行いません。


動画指導の観点では、維持療法の操作手順と頓用時の操作手順は同じですが、使用タイミングと上限が異なることを動画を活用しながら繰り返し確認させることが重要です。特に高齢患者や視力・聴力が低下している患者では、文字情報だけでなく動画映像を複数回見せることで理解度が大きく変わります。


SMART療法の間隔や追加タイミングについて実臨床の視点で解説した記事
これでわかるシムビコート SMART療法の間隔について|やまぐち呼吸器内科クリニック


シムビコートタービュヘイラーの動画指導を活かした患者フォローと吸入薬指導加算の活用

吸入薬の指導は1回で終わりにしてはいけません。結論はここです。


外来通院の喘息患者を対象とした複数の研究(Ovchinikova et al. J Asthma 2011 ほか)でも、「定期的な吸入指導の再実施によって吸入手技は有意に改善し、ピークフロー値も向上する」ことが示されています。一度習得した手技も時間の経過とともに崩れるため、継続的なフォローが必要です。


この継続指導の実施を支える制度として「吸入薬指導加算」があります。2020年度の診療報酬改定で新設されたこの加算は、3か月に1回・30点(薬剤服用歴管理指導料に加算)として算定できます。対象は喘息またはCOPD患者で、吸入薬が投薬されている患者に対し文書および練習用吸入器を用いて指導を行い、医療機関に文書で情報提供を行うことが要件です。


指導の際に動画を活用する具体的な方法として、以下が有効です。


  • 📱 アストラゼネカMediChannelの公式動画をタブレット等で患者に見せる(Chapter3が「クルッ・カチッ・スーッ」の手順、Chapter7がよくある質問)
  • 📋 環境再生保全機構(ERCA)の「手順編」と「解説編」の2本立て動画を連続で見せ、手順の確認と注意点の確認をセットで行う
  • ✅ 浜松医療センターのチェックリストを活用し、薬局と情報連携する(同文書をFAXで医療連携室へ送付する形式)


特に薬局薬剤師との連携は重要です。医師が外来で十分な指導時間を確保しにくい場面でも、保険薬局側で吸入薬指導加算を算定しながら継続的な手技確認を行うことができます。この院外との役割分担が患者アウトカムの改善に直結します。いいことですね。


また、患者属性に応じた配慮も必要です。聴力が低下している高齢患者では「カチッ」という確認音が聞こえず、薬剤がセットされていないのに吸入してしまうケースがあります。視力が低下している患者ではカウンターの残量確認ができず、空になったデバイスで操作を続けるリスクがあります。こうした個別の状況は、動画だけでは対応しきれないため、直接対面での確認を動画指導に組み合わせることが求められます。


吸入薬指導加算の算定要件・レセプト記載事項・改定内容をまとめた解説ページ(2024年度改定対応)
吸入薬指導加算の算定要件と2024年度改定内容|m3.com薬剤師向け解説


吸入手技の誤操作が肺内薬物送達率に与える影響を具体的なデータとともに解説した京都大学病院薬剤部の講義資料
吸入療法の基礎知識(京都大学医学部附属病院薬剤部・平大樹)









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