レミニール錠販売中止でOD錠切り替え時の注意点

レミニール錠4mg・8mg・12mgと内用液が2025年8月に販売中止となり、OD錠への集約が進んでいます。切り替え時に医療従事者が見落としがちな注意点とは?

レミニール錠販売中止とOD錠への移行で知るべき対応

普通錠からOD錠に切り替えるだけで、患者さんの服アドヒアランスが上がると思っていませんか?実は切り替えミスで薬局・病院が加算の算定要件を満たせず、1患者あたり数千円の報酬損失につながるケースがあります。


⚠️ この記事の3つのポイント
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販売中止の全容

太陽ファルマは2025年8月25日付でレミニール錠4mg・8mg・12mgおよびレミニール内用液4mg/mLの販売中止を正式に告知。現行流通在庫消尽後は入手不可となり、経過措置期間は2027年3月31日まで延長申請が予定されています。

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OD錠集約で生じる実務上の落とし穴

後発品はOD錠のみの発売で普通錠ジェネリックは存在しません。処方箋の記載変更・患者への剤形説明・算定要件の確認という3ステップを踏まないと運用ミスが起こりえます。

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対応チェックリストのポイント

薬価削除のタイムラインを把握し、後発メーカー間の錠剤サイズの差を理解したうえで患者個別に剤形を選択することが、今後の安定した在庫管理と適正使用の鍵となります。


レミニール錠販売中止の背景と経緯——ヤンセンから太陽ファルマへの承継



レミニール(一般名:ガランタミン臭化水素酸塩)は、2011年3月にヤンセンファーマ・武田薬品のコ・マーケティング体制で国内発売されたアルツハイマー型認知症治療剤です。その後、2021年9月に両社のコ・マーケティング契約が終了し、翌2023年4月に太陽ファルマ株式会社(太陽HD傘下)がレミニールの製造販売承認を譲受しました。


販売移管の実務的な切り替えは2024年4月1日に実施され、医療機関・薬局では「ヤンセンファーマ→太陽ファルマ」への製造販売元変更品の流通が始まりました。これ自体は薬効・規格に変更はなく、シール貼付などによる外装変更のみでした。


重要なのはその次の動きです。太陽ファルマは2025年8月25日付のお知らせで、レミニール錠4mg・8mg・12mgとレミニール内用液4mg/mLの販売を中止すると正式に告知しました。


つまり、普通錠(フィルムコーティング錠)と内用液が廃止され、製品ラインはOD錠(口腔内崩壊錠)に集約される形になります。ODは4mg・8mg・12mgの3規格が引き続き販売されますので、ガランタミン療法自体が終了するわけではありません。


理由は明確に公表されていませんが、後発品(ジェネリック)がOD錠のみで展開されているという市場実態が大きく影響していると考えられます。普通錠のジェネリックは全メーカーが製造しておらず、実質的に先発のOD錠が市場の主流となっていたわけです。つまりOD錠への一本化は、市場の流れと製造コストを踏まえた合理的な判断と言えます。


経過措置のスケジュールも把握が必要です。厚生労働省の資料によると、レミニール錠4mg・8mg・12mgは令和8年(2026年)3月頃に経過措置へ移行予定で、経過措置期間は令和9年(2027年)3月末までとされています。在庫消尽後の販売中止時期については「2026年4月」が目安として示されており、流通在庫がなくなり次第、処方・調剤ができなくなります。実際の在庫状況は各卸との確認が不可欠です。


参考:太陽ファルマ 医療関係者向けお知らせ(2025年8月25日付、レミニール錠販売中止に関する告知)
太陽ファルマ 医療関係者向けサイト | レミニール錠販売中止のご案内


レミニール錠販売中止後のジェネリック(ガランタミン後発品)選択の実態

後発品のガランタミン製剤を選ぶ際、見落とされがちな重要な事実があります。先発品のレミニールには普通錠・OD錠・内用液の3剤形がありますが、後発品(ジェネリック)はすべてOD錠のみです。AG薬(オーソライズドジェネリック)も発売されていません。


これは処方医にとって大切なポイントです。「ジェネリックで普通錠を」という要望には対応できないということです。普通錠を希望する患者さんには先発のOD錠を選択する形になります。


現在、後発品ガランタミンOD錠を発売しているメーカーは以下のように複数あります。


販売名 販売元 特記事項
ガランタミンOD錠「サワイ」 沢井製薬 4mg・8mg・12mg 薬価:4mg=18.4円、8mg=29.3円、12mg=36.0円
ガランタミンOD錠「JG」 日本ジェネリック 陽進堂「YD」と共同開発(薬物動態データが同一)
ガランタミンOD錠「YD」 陽進堂 バラ錠なし。「JG」と共同開発品
ガランタミンOD錠「トーワ」 東和薬品 規格ごとに錠剤径が変わる(4mg=6mm、8mg=7mm、12mg=8mm)
ガランタミンOD錠「DSEP」 第一三共エスファ アメル(共和薬品)」と共同開発品
ガランタミンOD錠「アメル」 共和薬品 「DSEP」と共同開発品
ガランタミンOD錠「ニプロ」 ニプロ 2020年6月発売
ガランタミンOD錠「日医工 日医工 後発品供給問題に要注意


メーカー間で錠剤サイズや外観が微妙に異なります。これが重要です。


「トーワ」は4mg・8mg・12mgで錠剤径が順に6mm・7mm・8mmと異なります。一方、他の多くのメーカーや先発品は4mgと8mgが同じ錠剤径で、12mgのみ大きくなる設計です。認知症患者さんは服薬管理を自分で行うケースも多く、「薬の見た目」が変わることによる服用間違いのリスクは無視できません。普段と錠剤の大きさが違うと気づいた患者さんや介護者から問い合わせが来ることもあります。剤形変更時には「同じ薬です・成分は変わりません」という患者説明を徹底することが大切です。


参考:後発品ガランタミン(レミニール錠のジェネリック)のメーカー比較情報
くすり・薬剤師ドットコム | レミニール錠のジェネリック医薬品(ガランタミン)のメーカー比較


レミニール錠販売中止後のOD錠切り替えで起きやすい服薬指導のミス

OD錠への剤形変更に際し、医療現場でよくある誤解がいくつかあります。知っておくことで患者トラブルを防げます。


まず大前提として、ガランタミンOD錠は「水なしでも服用可能」です。これはOD錠の利点ですが、必ずしも水なし服用が推奨されるわけではありません。添付文書では「唾液のみでも服用可能」とされていますが、誤嚥リスクのある患者さんには水と一緒に服用させるほうが安全な場合もあります。OD錠=水不要と決めつけた服薬指導は危険なケースがあります。


次に「口腔内で崩壊=噛んで飲んでいい」という誤解です。OD錠は舌で軽く押しつぶしながら唾液で溶かすのが基本です。乱暴に噛み砕くと、苦味成分が口腔内に広がり、服薬拒否につながることがあります。認知症患者さんへの服薬指導ではこの点が特に大切です。


もう一つ見落とされやすいのが、保管上の注意です。OD錠は普通錠と比べて吸湿しやすいものが多く、PTPシートから取り出したまま放置すると崩壊が早まる可能性があります。一包化調剤の際は吸湿性への配慮が必要です。一包化可否についてはメーカーへの確認を推奨します。


用量増量のルールについても整理が必要です。


  • 開始用量:1日8mg(1回4mgを1日2回)
  • 4週間後に1日16mg(1回8mgを1日2回)へ増量
  • 症状に応じてさらに1日24mg(1回12mgを1日2回)まで増量可
  • 増量は「変更前の用量で4週間以上継続した後」にのみ行う


この増量ルールは普通錠もOD錠も同一です。剤形が変わっても用量・用法は変わりません。それ自体は問題ありません。ただし切り替えのタイミングで「新しい薬になった」と誤解した患者さんが独自に増量・減量するケースが報告されています。切り替え時の患者説明で「用量・用法は以前と変わらない」を明示することが重要です。


参考:ガランタミンOD錠「ニプロ」患者向け服薬説明資材
ニプロ | ガランタミンOD錠「ニプロ」患者さんとご家族・介護者向け服薬指導資材(PDF)


レミニール錠販売中止のスケジュールと薬価削除の経過措置期間を整理する

「在庫があるからまだ大丈夫」と思いがちです。ところが薬価削除のタイムラインを把握しておかないと、在庫切れが急に発生したときに処方・調剤が混乱します。


以下に現時点での主要スケジュールを整理します。


時期 対象品目 内容
2024年4月1日 レミニール全品目 製造販売元がヤンセンファーマ→太陽ファルマへ移管
2025年8月25日 レミニール錠4mg/8mg/12mg、内用液4mg/mL 太陽ファルマが販売中止を正式告知
2026年4月(目安) レミニール錠(普通錠)、内用液 在庫消尽後に販売中止(実際の在庫状況による)
2026年3月頃 レミニール錠(普通錠)、内用液 薬価基準の経過措置へ移行予定
2027年3月31日(予定) レミニール錠(普通錠)、内用液 経過措置期間満了→薬価基準から削除


ここで注意したいのが「経過措置期間中でも保険請求できる」という誤解です。経過措置とは「流通在庫の使用を認める猶予期間」であって、新たな製造・流通が認められる期間ではありません。経過措置期間中でも、実際に在庫がなければ入手できません。2026年4月以降は流通在庫の消尽によって事実上入手不可になる可能性が高いです。


また、レミニールOD錠(先発品)の薬価が2026年4月の薬価改定で変更されることも確認されています。具体的にはレミニールOD錠12mgは2026年3月31日まで107.60円/錠、2026年4月1日以降は74.00円/錠となります。処方コスト計算や患者説明の際は改定後薬価をもとに情報提供する必要があります。


薬価削除後に継続処方が必要な患者さんについては、先発OD錠または後発品(ガランタミンOD錠各社)への速やかな切り替えを計画しておくことが肝心です。後発品の薬価は例えば沢井製薬の場合、8mgが29.3円/錠と先発品OD錠8mg(92.1円/錠)と比べ3分の1以下です。患者負担の軽減という観点から、後発品の積極的な活用を検討する価値があります。


参考:厚生労働省 薬価基準から削除する品目及び経過措置期間を延長する品目について(中医協総-8)
厚生労働省 | 薬価基準から削除する品目および経過措置期間を延長する品目(PDF)


参考:DSJPデータベース レミニール錠8mg供給状況
DSJP 医療用医薬品供給状況データベース | レミニール錠8mg


レミニール錠販売中止への独自視点——認知症患者の「剤形変更ショック」を防ぐ実践的アプローチ

医療従事者の多くは、剤形変更を「薬効は同じだから問題ない」と捉えがちです。しかし現場ではそう単純ではありません。


認知症患者さんにとって「薬の見た目」は治療継続の大事な要素です。長年飲み慣れた白いフィルムコーティングの普通錠から、見た目も感触も異なるOD錠に変わることで服薬拒否が起きることがあります。これは特に中等度以上の認知症患者さんで顕著になりやすいです。


一部の患者さんは「違う薬にされた」と感じ、介護者に訴えます。介護者もその不安を受けて医療機関に連絡してくることがあります。こうした問い合わせは、事前に適切な説明を行うことで大幅に減らせます。


実践的には以下のアプローチが有効です。


  • 🗣️ 変更前に一言添える:「成分は全く同じですが、お薬の形が少し変わります。舌にのせると溶けるタイプです」と伝えるだけで不安が軽減されます。
  • 📝 お薬手帳に記載する:「●月より剤形変更(普通錠→OD錠)、成分・用量変更なし」と一言書いておくと、他の医療者が混乱しません。
  • 👵 介護者・家族へも説明する:認知症患者さん本人だけでなく、日常的に服薬管理を担う介護者への説明が服薬継続の鍵です。
  • 💧 服用方法の再確認:OD錠の特性として「唾液のみで服用可能」であることを伝えつつ、誤嚥リスクのある場合は水と一緒に飲むよう個別に指導します。


また、認知症の進行状況によっては錠剤よりも内用液のほうが服薬しやすい患者さんもいました。レミニール内用液も今回の販売中止対象です。内用液を使用していた患者さんへの対応は特に慎重を要します。嚥下機能が著しく低下している場合は、ガランタミン以外の剤形(貼付剤のリバスタッチパッチ・イクセロンパッチなど)への変更を主治医と相談することも選択肢のひとつです。


継続処方の患者さんを抱える外来担当医・薬局薬剤師であれば、今すぐレセプト上のレミニール普通錠処方件数を確認し、切り替えが必要な患者さんをリストアップしておくことを勧めます。1件ずつ対応しようとすると後手に回りますが、事前にリスト化しておけば順次・計画的に切り替えを進められます。


参考:レミニール(ガランタミン)の概要と認知症治療における位置づけ
認知症ねっと | レミニール(ガランタミン)とは






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