月16,000円払っていた患者が、制度活用で自己負担が半額以下になることがあります。

オテズラ錠(一般名:アプレミラスト)は、PDE4(ホスホジエステラーゼ4)阻害薬として2017年に日本で保険収載された経口乾癬治療薬です。現行の薬価(2025年4月1日以降)は、10mg錠が329.9円、20mg錠が659.7円、30mg錠が989.6円となっています。
標準的な維持量である「30mg 1日2回」投与では、1日の薬剤費は次のように計算されます。
| 投与設定 | 薬剤費(全額) | 3割負担 | 1割負担 |
|---|---|---|---|
| 1日(30mg×2錠) | 1,979.2円 | 593円 | 197円 |
| 28日分(4週間) | 55,440円 | 16,632円 | 5,544円 |
| スターターパック(14日) | 22,770円 | 6,831円 | 2,277円 |
上記はあくまで薬剤費のみの目安です。実際には再診料・処方箋料などが加算されます。
3割負担での月額約16,632円という数字は、外来での自己負担限度額(一般所得・外来:月18,000円)に近い水準です。そのため多くの患者では高額療養費制度の「外来限度額」には届かず、制度の恩恵を十分に受けにくいという現実があります。
つまり薬剤費単独では、高額療養費制度の外来上限に引っかかりにくいということです。ただし他の受診や治療と合算することで、同一月の合計自己負担が限度額を超えた場合に申請が可能になります。医療従事者側から患者に「付加給付制度」「医療費控除」も活用できることを積極的に案内することが、治療継続を支える重要な一手となります。
参考:オテズラ薬剤費の目安(アムジェン公式・患者向け)
オテズラ DAYS|お薬代の目安(アムジェン株式会社)
薬価は一度決まったら変わらないと思いがちです。実はちがいます。
令和8年度(2026年度)薬価改定において、オテズラ(アプレミラスト)は市場拡大再算定の対象品目に選定されました。中医協は令和7年11月18日および11月26日の薬価算定組織において、この内容を審議・公表しています。
市場拡大再算定とは、薬価収載後に予想を超えて市場規模が拡大した医薬品の薬価を引き下げる制度です。オテズラの場合、2025年3月に掌蹠膿疱症(PPP)への適応が追加承認されたことが主な要因とされています。従来の尋常性乾癬・乾癬性関節炎・ベーチェット病口腔潰瘍に加え、PPP患者への処方が急拡大し、市場規模が当初予測を大きく上回りました。
令和8年度の最終的な薬価は、①市場拡大再算定による算定額、②市場実勢価格に基づく薬価改定等による算定額、のいずれか低い額が採用されます。2026年4月時点でのオテズラ錠30mgの新薬価については、令和8年度薬価基準改定(2026年3月5日告示)の公式データを必ず確認してください。
この流れは医療従事者にとって重要です。薬価が変われば患者への服薬説明・薬剤費試算を見直す必要があります。「先月と薬代が変わった」と患者から質問を受けたとき、即答できる準備が求められます。
参考:令和8年度 市場拡大再算定品目の一覧(厚生労働省)
市場拡大再算定品目について(中医協 総-4 令和8年1月16日)
オテズラには、投与開始時の副作用を軽減するために「スターターパック」が用意されています。これは投与1日目から6日目まで、10mg・20mg・30mgの各用量を段階的に増量していく仕組みです。
| 服用日 | 朝 | 夕 |
|---|---|---|
| 1日目 | 10mg | — |
| 2日目 | 10mg | 10mg |
| 3日目 | 10mg | 20mg |
| 4日目 | 20mg | 20mg |
| 5日目 | 20mg | 30mg |
| 6日目〜 | 30mg | 30mg |
スターターパック(14日分)の薬価総額は約22,770円であり、3割負担で約6,831円です。一方、3週目以降の維持期(28日分)は約55,440円・3割負担で約16,632円となります。
スターターパック期間は薬剤費が少ない分、患者が費用負担を軽く感じることがあります。「最初の2週間は安く済んだのにその後急に高くなった」と感じる患者からのクレームに対して、事前に維持量での費用を説明しておくことが大切です。これは事前説明で防げるミスです。
また、食事の影響を受けずに服用できる点もオテズラの特徴です。食前・食後を問わず服用できるため、患者のアドヒアランス向上に有利に働きます。
参考:オテズラ錠の添付文書情報(PMDA)
オテズラ錠10mg・20mg・30mg 添付文書(医薬品医療機器総合機構)
ここは見落としやすいポイントです。
添付文書では「重度の腎機能障害患者(Cockcroft-Gault式によるクレアチニンクリアランス値が30mL/min未満)」に対しては、オテズラ錠を30mg 1日1回へ減量することが規定されています。これは通常投与(30mg 1日2回)と比較して投与量が半分になるため、薬剤費も実質的に半額近くになります。
薬価そのものは変わらず989.6円のままです。ただし投与量が半減することで、患者の毎月の自己負担も大きく変わります。
なお、スターターパック使用時も、腎機能障害患者では「朝の用量のみ服用する」対応となります。重度腎機能障害の患者に対して通常どおりスターターパックを使用すると、過剰曝露のリスクがあります。処方前の腎機能確認は必須です。
慢性腎臓病(CKD)を合併している乾癬患者や掌蹠膿疱症患者への処方を検討する際には、直近のeGFRやCcrを事前に確認することが安全な処方の第一歩です。外来で初めてオテズラを処方する場合、腎機能を確認してから処方する、それだけ覚えておけばOKです。
参考:オテズラ腎機能障害への対応(アムジェンFAQ・医療従事者向け)
オテズラのFAQについて(アムジェン株式会社・医療従事者向け)
「オテズラは高い」という印象を持つ患者は少なくありません。しかし比較対象を置けば見え方が変わります。
乾癬・掌蹠膿疱症の治療には、オテズラのほかに生物学的製剤(スキリージ、トレムフィア、ルミセフなど)という選択肢があります。生物学的製剤は月額薬剤費が数十万円台に達することも多く、オテズラの月額薬剤費(約55,440円)と比べると大きな差があります。
| 治療カテゴリ | 月額薬剤費(目安・全額) | 定期血液検査 | 投与方法 |
|---|---|---|---|
| オテズラ錠30mg | 約55,440円 | 原則不要 | 経口(内服) |
| 生物学的製剤(例:スキリージ) | 数十万〜100万円超/月 | 必要 | 注射(皮下注) |
費用面でオテズラが優位であることは明らかですが、高額療養費制度との関係では逆転する場面もあります。生物学的製剤の場合、月額薬剤費が高いため高額療養費制度の自己負担限度額(住民税非課税世帯で外来約8,000円)に到達しやすくなります。これは使えそうです。
一方、オテズラは月額3割負担で約16,632円となり、多くの患者で高額療養費制度の外来限度額には届きません。ただし、入院を含む合算や「世帯合算」「多数回該当」を活用することで負担軽減の余地はあります。
患者に処方選択の背景を説明するとき、「薬の値段だけでなく、受けられる制度の違いも踏まえて選択している」という点を伝えることが、患者の納得感と治療継続につながります。特に、掌蹠膿疱症(PPP)への適応が追加された2025年3月以降は、オテズラを初めて処方されるPPP患者が増えており、費用に関する丁寧な説明の重要性が一段と高まっています。
参考:乾癬治療薬・オテズラ錠(アプレミラスト)の解説(巣鴨千石皮ふ科)
乾癬治療薬「オテズラ錠(アプレミラスト)」PDE4阻害薬|巣鴨千石皮ふ科

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