市販薬のロラタジンを1錠だけ薬局で買うと、処方薬の約10倍の値段になります。
クラリチンEXは大正製薬が販売するスイッチOTC医薬品で、有効成分ロラタジン10mgを配合した第2類医薬品です。2017年の発売当初は要指導医薬品(第1類)でしたが、2021年に第2類医薬品へ移行し、薬剤師が不在の時間帯でも購入できるようになりました。
現在、大正製薬が公表している希望小売価格(税込)は以下のとおりです。
| 内容量 | 希望小売価格(税込) | 1錠あたりの単価 | 日数換算 |
|---|---|---|---|
| 7錠 | 1,518円 | 約217円 | 約7日分 |
| 14錠 | 2,178円 | 約156円 | 約14日分 |
| 28錠 | 3,938円 | 約141円 | 約28日分 |
| 56錠 | 7,458円 | 約133円 | 約56日分 |
1錠あたりの単価を比較すると、7錠パックと56錠パックでは約84円もの差があります。これは約40%のコスト差に相当し、花粉症シーズンを通じて飲み続けるのであれば、大容量を選ぶ方が明らかに経済的です。
つまり、まとめ買いが基本です。
ただし、実際の販売価格は希望小売価格よりも低いケースが多く、ネット通販やドラッグストアのポイント還元を活用すると、さらに実質的なコストを下げることができます。カカクコムなどの価格比較サイトでは、14錠が希望小売価格2,178円に対して最安690円台で販売されていることも確認されています(2026年3月時点)。
大正製薬 製品カタログ|クラリチンEX 公式希望小売価格一覧
医療従事者として患者に薬のコストを説明する際、市販薬と処方薬の実際の価格差を正確に把握しておくことは非常に重要です。意外と知られていない部分でもあります。
医療用クラリチン(先発品)の薬価は1錠31.7円です。ジェネリック医薬品(ロラタジン錠10mg各社)の薬価は1錠14.8円に設定されています。これに健康保険の自己負担割合を掛けると、患者の実負担額は次のようになります。
| 薬の種類 | 薬価・単価 | 3割負担時の実負担 | 1ヶ月(30日)の合計 |
|---|---|---|---|
| 処方薬(先発:クラリチン錠10mg) | 31.7円/錠 | 約9.5円/錠 | 約285円 |
| 処方薬(ジェネリック:ロラタジン錠) | 14.8円/錠 | 約4.4円/錠 | 約133円 |
| 市販薬(クラリチンEX 28錠パック) | — | 約141円/錠(全額自己負担) | 約3,938円 |
この数字を見ると、薬剤費だけの比較では1ヶ月あたり処方薬ジェネリック133円に対して市販薬3,938円と、約30倍の差があることがわかります。衝撃的な差ですね。
もちろん、実際には処方薬を受け取るには受診料や調剤基本料などが別途かかります。健康保険組合連合会の調査(2019年)でも「花粉症では市販薬と医療機関処方薬の患者負担に大きな差がなかった」とされており、受診の手間・コストを含めた総合判断が求められます。短期間(1〜2週間程度)の使用なら市販薬の方が手軽で、長期間(1ヶ月以上)継続する場合は保険適用の処方薬がコスト面で優位になる傾向があります。
これが原則です。
KEGG MEDICUS|ロラタジン薬価一覧(先発・ジェネリック比較)
クラリチンEXはセルフメディケーション税制の対象医薬品です。この制度を正しく理解しておくことは、患者への服薬指導でも役立ちます。
セルフメディケーション税制とは、2017年1月に開始(2022年以降5年延長)した医療費控除の特例制度で、対象OTC医薬品の年間購入合計が12,000円を超えた場合、超えた金額(上限88,000円)を所得控除できる仕組みです。
具体的な節税効果を計算してみましょう。たとえば課税所得が300万円の方が年間でクラリチンEXを28錠パック(3,938円)×6箱=23,628円購入した場合を考えます。
控除額は 23,628円 − 12,000円 = 11,628円。所得税率20%と住民税10%を合計した税率30%で計算すると、約3,488円の税額が軽減される計算になります。
これは使えそうです。
クラリチンEXのパッケージには「セルフメディケーション税制対象」と明記されているため、購入時のレシートを捨てずにフォルダやスマートフォンのカメラで保管しておくよう、患者に伝えることが一つの実践的な服薬指導になります。
国税庁|No.1129 特定一般用医薬品等購入費を支払ったとき(セルフメディケーション税制)
患者から「クラリチンEXとアレグラFX、どっちがいいですか?」という質問は現場でも多く聞かれます。そこで値段と特徴を整理しておきましょう。
| 製品名 | 有効成分 | 服用回数 | 28日分の目安価格 | 1日あたりのコスト |
|---|---|---|---|---|
| クラリチンEX | ロラタジン10mg | 1日1回 | 約3,938円(希望小売価格) | 約141円 |
| アレグラFX | フェキソフェナジン60mg | 1日2回 | 約3,500円前後(56錠) | 約125円 |
| アレジオン20 | エピナスチン20mg | 1日1回 | 約2,000円前後(14錠) | 約143円 |
1日あたりのコストだけ見ると、3製品の間で大きな差はありません。選択の分岐点は、むしろ服用回数・眠気の出やすさ・症状のタイプによって変わります。
クラリチンEX(ロラタジン)は1日1回で済むため飲み忘れが少ない点が強みです。また、脂溶性が低く血液脳関門を通過しにくいため、眠気が出にくいというエビデンスが豊富にあります。自動車運転に関する添付文書上の制限もありません。
眠気が少ない点はトップクラスです。
アレグラFX(フェキソフェナジン)はロラタジンと同様に眠気が出にくい非鎮静性の薬ですが、1日2回服用が必要なため、飲み忘れリスクがやや高まります。アレジオン20(エピナスチン)は効き目が比較的強いとされる一方で、ロラタジンに比べると軽度の眠気が生じる可能性もあります。
患者の生活スタイル(運転の有無・服用回数を守れるか・症状の強さ)に合わせて、適切な製品を提案できるのが医療従事者の強みです。これだけ覚えておけばOKです。
くすりの窓口|クラリチンとアレグラの効果・飲み方・値段の違いを薬剤師が解説
クラリチンEXには通常の錠剤のほかに「OD錠(口腔内崩壊錠)」があります。水なしで飲めるタイプで、外出先や水を準備しにくい職場環境での服用に便利です。
価格は通常錠より若干高めに設定されていることが多いものの、利便性を考えるとコストパフォーマンスは十分と言えます。
一方で、クラリチンEXと同成分であるロラタジン10mgを配合した「ジェネリック系市販薬」が複数メーカーから販売されており、こちらは著しく安い傾向があります。
有効成分のロラタジン10mgは同一です。これが条件です。
ただし、添加物や錠剤の形状・大きさが異なるため、嚥下障害のある患者や小児(15歳未満は原則禁忌)、妊婦・授乳婦への推薦には注意が必要です。医療従事者として患者に紹介する際は、こうした細部の違いまで含めて情報提供することが適切な対応となります。
処方薬のジェネリック(ロラタジン錠10mg各社、薬価14.8円)を保険適用で受け取る方法と比較した場合、市販ジェネリックでも依然として数倍のコスト差があることも、患者への説明材料として有用です。
ファーマシスタ|医療用医薬品と適応や用法の異なるスイッチOTCの解説(薬剤師向け)
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【第2類医薬品】クラリチンEX(14錠(セルフメディケーション税制対象))[眠くなりにくい 1日1回 花粉症 ロラタジン]