配当性向126%のファイザーを「安全な高配当株」と信じて持ち続けると、手取りが3割近く消える。

ファイザー(NYSE:PFE)は世界最大級の製薬会社として、四半期ごと・年4回の配当を継続しています。2011年以降15年連続増配を達成しており、医療従事者や製薬業界に関心のある投資家にとって馴染み深い銘柄です。
まず確認しておきたいのが「権利落ち日」と「支払日」の区別です。この2つを混同すると、配当を受け取れなかったり、入金タイミングを誤ったりするリスクがあります。
| 期 | 権利落ち日(基準日) | 支払日(現地) | 1株配当 |
|---|---|---|---|
| 2026年 第1四半期 | 2026年1月23日 | 2026年3月6日 | $0.43 |
| 2026年 第2四半期(予定) | 2026年5月11日 | 2026年6月12日 | $0.43(予定) |
| 2025年 第4四半期 | 2025年11月7日 | 2025年12月6日 | $0.43 |
| 2025年 第3四半期 | 2025年8月 | 2025年9月 | $0.43 |
権利落ち日(=権利確定日)の前営業日が「権利付最終日」です。この権利付最終日までに株式を購入しないと、その回の配当は受け取れません。権利落ち日当日に買っても間に合わない点が重要です。
2026年第2四半期を例にすると、配当を受け取るには5月8日(金・権利付最終日)までに購入を完了させる必要があります。
「権利落ち日に買えばOK」は間違いです。
参考:ファイザー公式プレスリリース(2025年12月12日発表)では「第1四半期2026年配当は349回連続の四半期配当」と明記されています。
ファイザー公式 第1四半期2026年配当発表プレスリリース(英語)
現地支払日に即座に口座へ入金されるわけではありません。これは意外と知らない人が多い落とし穴です。
米国株の配当金が日本の証券口座に入金される流れは次のとおりです。
権利落ち日から日本の口座に入金されるまでは、おおよそ1ヶ月程度が目安となります。日本株では権利落ち日から2〜3ヶ月かかるので、米国株のほうが入金は早いといえます。
証券会社によって入金タイミングに数日の差が出ることもあります。
たとえば2026年第1四半期の配当(支払日2026年3月6日)の場合、日本の証券口座への入金は2026年3月中旬ごろになる場合が多いです。Yahoo!ファイナンスの掲示板でも「3/6より順次入金が開始され、前回は12/1が入金日だった」といったユーザー報告が見られます。
現地支払日=口座入金日ではないことが原則です。
参考:マネックス証券による米国株配当金入金タイミングの解説(権利落ち日の約1ヶ月後が目安であることが詳しく説明されています)
マネックス証券|米国株の配当金はいつ受け取れる?入金タイミングをシミュレーション
2026年3月時点のファイザー(PFE)の年間配当は1株あたり$1.72(四半期$0.43×4回)です。配当利回りは株価水準によって変動しますが、2025〜2026年にかけておおよそ6〜6.6%の高水準を維持しています。
これは通常の米国大型株(S&P500平均利回り約1.3〜1.5%)の4〜5倍にあたります。東京ドーム1個分の球場に1.3%の観客が入るとすれば、6.6%は4〜5個分に相当するほどの差です。
高い配当利回りには理由があります。
ファイザーは2021〜2022年にかけてCOVID-19ワクチン・治療薬(コミナティ、パキロビッド)で売上が急拡大しましたが、2023年以降は需要が縮小。株価が大きく下落した結果、配当利回りが高く見える状態が続いています。
ここで注意が必要なのが「配当性向126%」という数字です。これは利益よりも多い配当を支払っている状態を意味します。一般的な目安(30〜50%程度)を大幅に超えており、一見すると危険シグナルに見えます。
ただし、2025年のGAAP EPSには約44億ドルの非現金・無形資産減損が含まれており、調整後EPSは$3.22と配当$1.72を大きく上回っています。営業キャッシュフローベースでの配当カバー比率は1.34倍(2025年概算)で、現金の裏付けは確保されています。
つまり「GAAP数字だけ見ると126%で危険」ですが、実態は異なります。
参考:ファイザー配当推移の詳細分析(配当性向・キャッシュフローカバー比率・連続増配の推移が年次テーブルで確認できます)
johoseiri.net|PFE:ファイザーの配当推移(2026年2月更新)
医療従事者の方が見落としがちなのが「二重課税」の問題です。これを知らないままでいると、毎年数万円単位の損失につながる可能性があります。
ファイザー(米国株)の配当金は、受け取り時に2段階で課税されます。
この二重課税を放置した場合、配当100万円に対して実質的な税負担は約28,000円〜30,000円程度(計算条件により変動)になります。
しかし、確定申告で「外国税額控除」を申請すれば、米国源泉税10%分を日本の所得税・住民税から差し引くことができます。年間配当が10万円なら約1万円、50万円なら約5万円が還付の目安です。
外国税額控除を活用するための手順は以下のとおりです。
NISAは外国税額控除が使えない点は、盲点です。
忙しい医療従事者の方は「どうせ少額だから」と確定申告を後回しにしがちです。しかし、たとえば年間配当が$500(約7万〜8万円)であっても、外国税額控除を使わないと7,000〜8,000円を年間で損することになります。10年保有すると単純計算で7〜8万円の差になります。
確定申告のサポートには、税理士への相談や国税庁の「確定申告書等作成コーナー」の活用が便利です。医療従事者向けのFPや税理士に相談することも一つの選択肢です。
参考:外国税額控除の仕組みと具体的な申告手順(米国株の配当二重課税を取り戻す方法が税理士監修で解説されています)
m-assets.com|米国株確定申告と外国税額控除の手順|税理士が解説
医師・薬剤師・看護師などの医療従事者は、ファイザーの製品や開発パイプラインを「使う側」「処方する側」として日々接しています。この業務知識は、投資判断において一般投資家にはない大きなアドバンテージになり得ます。
たとえば、ファイザーが開発中の肥満症治療薬(GLP-1受容体作動薬)について、医療現場ではすでにセマグルチド(オゼンピック/ウゴービ)の処方実績や副作用プロファイルを肌で知っています。ファイザーの同領域への参入(2025年、Metsera社を約70億ドルで買収)は単なるニュースではなく、「競合製品と比較してどのくらいの優位性があるか」を自分の知識で評価できます。
これは使えそうです。
一方で、注意すべき点もあります。業務上の知識が「内部情報」に触れる可能性がある場合は、インサイダー取引規制の対象になり得ます。具体的には、未公表の臨床試験データや薬事申請の内容を業務で知り、それを基に売買することは法的リスクを伴います。
法的リスクには慎重が原則です。
ファイザーの今後の成長ドライバーとして注目されているのが、以下のパイプラインです。
特にVyndaqel(タファミジス)は希少疾患領域であり、医療現場での認知度向上が処方数増加、ひいては売上成長に直結するという構造が見えやすい製品です。
医療従事者がファイザー株を「知って買う」メリットは、こうした業務実感の活用にあります。製品の現場での反応や、疾患領域の将来性を自分で評価できる点は、数字だけで判断する一般投資家よりも優位な分析視点です。
ただし、投資はあくまで自己判断・自己責任が条件です。
参考:ファイザーの肥満症治療薬開発と2026年ガイダンス詳細(2026年2月発表の最新決算・パイプライン情報が確認できます)
ロイター|ファイザー、26年1株利益見通し予想に届かず「今後数年は厳しい」