「ジェネリックに変えたのに、患者さんが翌朝ぐったりしていたケースが実は食後服用が原因でした。」

ドラール錠の有効成分はクアゼパムです。先発品を製造する久光製薬が「ドラール」の商品名で販売しており、後発品(ジェネリック)はすべて「クアゼパム錠」という一般名で統一されています。
クアゼパムはベンゾジアゼピン系薬物に分類され、脳内のGABAA受容体(特にω1サブタイプ)に選択的に作用することで催眠・鎮静効果を発揮します。ω1選択性が高いため、催眠作用に特化した薬剤として設計されていますが、体内で代謝されると抗不安作用の強いデスアルキルフルラゼパムに変換されます。これはメイラックス(ロフラゼプ酸エチル)と類似した代謝産物であり、単なる「催眠薬」という枠に収まらないのが特徴です。
有効成分としての規格は15mgと20mgの2種類で、先発品・後発品ともにこの2規格のみが流通しています。生物学的同等性試験(BE試験)において、各後発品メーカーはドラール錠との同等性を確認していることが各インタビューフォームで示されており、有効成分・吸収挙動ともに先発品と同等と判断されています。
つまり有効成分は同じです。
ただし添加物(賦形剤)はメーカーにより異なる場合があります。アレルギー歴や添加物への過敏症がある患者では、切り替え時に各製品のインタビューフォームを確認する習慣をもっておくことが重要です。
クアゼパム錠「MNP」添付文書(JAPIC)|向精神薬区分・用法・禁忌など基本情報の確認に有用
現時点で流通しているクアゼパム錠(15mg)のジェネリックは以下のとおりです。
| 販売名 | メーカー | 薬価(15mg1錠) |
|---|---|---|
| ドラール錠15(先発品) | 久光製薬 | 43.5円 |
| クアゼパム錠15mg「MNP」 | 日新製薬/MeijiSeikaファルマ | 28.0円 |
| クアゼパム錠15mg「トーワ」 | 東和薬品 | 28.0円 |
| クアゼパム錠15mg「日医工」 | 日医工 | 28.0円 |
| クアゼパム錠15mg「YD」 | 陽進堂 | 21.7円 |
| クアゼパム錠15mg「アメル」 | 共和薬品 | 21.7円 |
| クアゼパム錠15mg「サワイ」 | 沢井製薬 | 21.7円 |
20mg規格でも同様の後発品が発売されています。先発品のドラール錠20(53.6円)に対し、ジェネリックは27.8〜32.9円程度です。
薬価差は小さく見えますが、例えば1日20mgを30日処方した場合、先発品では薬剤費が1,608円(30錠分)かかるところ、最安のジェネリックなら834円程度(27.8円×30錠)となり、自己負担3割換算で約230円の差が生じます。1年継続するとその差は約2,700円になります。
これは使えそうです。
医療機関側の観点からは、診療報酬上の後発品使用促進加算(後発医薬品体制加算)との兼ね合いもあるため、処方の際はジェネリックを積極的に検討することが求められています。患者への経済的メリットを説明しつつ、切り替えの意思確認を丁寧に行うことが基本です。
薬局においても、処方箋に「変更不可」の記載がなければ患者の同意のもとジェネリックへの変更調剤が可能です。クアゼパム錠は向精神薬であることから手順書の整備と患者説明の記録を残しておくことが望ましい運用です。
KEGG MEDICUS クアゼパム商品一覧|薬価・先発後発の比較確認に活用できます
クアゼパム(ドラール錠ジェネリック共通)の最大の注意点は、食後服用による急激な吸収増大です。
クアゼパムは難溶性・脂溶性の高い薬物であるため、通常の空腹時服用では消化管での吸収率は決して高くありません。しかし食後に服用すると、胃内容物(特に脂肪)に溶け込みながら吸収が促進され、血漿中濃度が空腹時の2〜3倍に達することが複数の試験で報告されています(各メーカーのインタビューフォームに明記)。
たとえば20mgを就寝前に服用した場合、空腹時なら緩やかに効いてくるところが、食後であれば就寝直後に急激な血中濃度の上昇が起き、過鎮静・健忘・呼吸抑制リスクが高まります。これはドラール錠先発品であっても、ジェネリックであっても変わりません。
過鎮静には注意が必要です。
ジェネリックへの切り替えを機に服薬指導を見直すことが有益です。患者に伝えるべき注意事項は以下の3点に絞ると伝わりやすくなります。
- 就寝直前の空腹時に服用する
- 服用後に夜食・間食を摂らない(牛乳でも吸収が増大するため注意)
- 食後3時間以内の服用は避ける
これが原則です。
先発品からジェネリックへ切り替えた後に「翌朝の眠気が強くなった」という訴えが出た場合、薬そのものの問題ではなく、服薬タイミングが変わった(夕食後すぐの服用になった)ケースが実際に存在します。切り替え後1〜2週間は服薬状況の確認を患者に促すか、次回来院時に問診することが賢明です。
ドラール錠(クアゼパム錠)は向精神薬・第三種に指定されています。ジェネリックである「クアゼパム錠」各製品もすべて同様に第三種向精神薬として規制を受けます。
第三種向精神薬の主な規制内容は以下のとおりです。
- 処方日数制限:1回の処方は30日分を限度とする(厚生労働省告示第97号・平成20年3月)
- 帳簿記録義務:第三種については記録義務はないが、在庫確認を定期的に行うことが推奨される
- 処方箋の保存:調剤済み処方箋は2年間の保存義務あり
30日が上限です。
第一種・第二種と比較すると管理上の義務は軽減されていますが、習慣性医薬品・処方箋医薬品でもあるため、院内・薬局内での在庫管理と処方記録の整理は丁寧に行うべきです。特に病院・診療所では日中に医療従事者が管理している時間帯以外は施錠保管が求められています。
なお、向精神薬多剤投与のルールとして、睡眠薬を一度の処方で3種類以上投与した場合は厚生局への報告義務が生じます。クアゼパム錠が処方される患者は他の睡眠薬・抗不安薬を並行して服用しているケースも多いため、処方内容の確認は怠れません。
厳しいところですね。
ジェネリックへの切り替えが進む中、処方医・薬剤師ともに向精神薬としての法的管理意識を維持しつつ、患者一人ひとりの処方内容全体を俯瞰する視点が求められます。
厚生労働省「薬局における向精神薬取扱いの手引」|第三種向精神薬の管理義務・記録に関する詳細
ジェネリックへの切り替えは薬価の削減に有効ですが、副作用プロファイルと禁忌については先発品・後発品で違いがないことを改めて確認しておく必要があります。
主な副作用(製造販売後調査・安全性評価対象症例3,925例より)
| 副作用 | 発現頻度 |
|---|---|
| 傾眠(眠気の持ち越し) | 1.3% |
| 不動性めまい | 1.2% |
| 悪心 | 0.2% |
| 倦怠感 | 0.2% |
頻度は低めに見えますが、翌朝への眠気持ち越しとふらつきは高齢者では転倒・骨折につながる深刻なリスクです。特に骨粗鬆症を合併している高齢入院患者での使用には慎重な判断が必要です。
絶対禁忌
- 睡眠時無呼吸症候群の患者(呼吸障害を悪化させるおそれあり)
- 重症筋無力症の患者
- 急性閉塞隅角緑内障の患者
- 本剤成分に過敏症の既往歴がある患者
睡眠時無呼吸は禁忌です。
先発品から後発品に切り替えた際、「薬が変わった」という感覚から患者が添付文書や薬情を読み直すことがあります。そのタイミングで禁忌や注意事項に関する質問が薬局に集中することがあるため、あらかじめ患者向けの服薬指導トークを整備しておくとスムーズです。
また、ドラール(クアゼパム)は日本では最大30mgまで使用できますが、アメリカでは最高用量が15mgに制限されています。これは日本で頑固な不眠症入院患者を対象に治験が行われたため国内承認用量が高く設定された経緯によるものです。ジェネリックにおいてもこの用量上限は同様に適用されます。
用量には十分注意が必要です。
なお、アルコールとの併用は禁忌ではないものの「併用注意」に分類されており、中枢神経抑制作用が相互に増強されます。クアゼパムとアルコールはどちらも肝臓で代謝されるため、飲酒習慣のある患者では血中濃度が不安定になりやすく、依存形成のリスクも高まります。服薬指導の際は必ずアルコール習慣を確認してください。
田町三田こころみクリニック|クアゼパム(ドラール)の効果・副作用・用法を精神科医が詳説

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