食後に飲ませると、ブロナンセリンの血中濃度が空腹時の約2倍になります。

ブロナンセリン(販売名:ロナセン散2%・散4%)は、大日本住友製薬(現・住友ファーマ)が開発した非定型抗精神病薬です。統合失調症の治療薬として2008年に日本で承認され、錠剤と散剤の2剤形が存在します。
添付文書上の効能・効果は「統合失調症」のみとなっており、適応外使用には十分な注意が必要です。これが原則です。
用法・用量については、通常成人に対して1日8mgを開始用量とし、食後に2回に分けて経口投与します。その後、患者の状態に応じて徐々に増量し、維持用量は1日8〜16mg、最大用量は添付文書上1日24mgと定められています。散剤の場合、ロナセン散2%であれば1日8mgは4g相当、ロナセン散4%であれば2g相当となります。計算ミスが事故につながります。
散剤という剤形上、調剤時の秤量精度が非常に重要です。特に小児や低体重患者に対して増減量を細かく行う場合には、秤量誤差が治療効果や有害事象に直接影響します。電子天秤の定期的なキャリブレーションと、調剤後の鑑査を二重に行う体制が推奨されます。
また、散剤は錠剤と比べて湿気や光による品質劣化を受けやすい側面があります。添付文書の「貯法」の項には「気密容器・室温保存」と記載されており、分包後の保管環境にも注意が必要です。
PMDA(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構):ロナセン散2% 添付文書(最新版)
添付文書の禁忌の項は、処方前に必ず確認すべき最重要項目です。ブロナンセリン散の禁忌として明記されているのは、主に以下のとおりです。
アドレナリンとの併用禁忌は見落とされやすいポイントです。救急時にアドレナリンを使用する場面では、患者がブロナンセリンを服用中かどうかを必ず持参薬確認で把握しておく必要があります。これは命に関わります。
慎重投与については、肝機能障害患者・高齢者・心疾患患者・てんかん既往のある患者などが列挙されています。肝機能障害患者では、ブロナンセリンはCYP3A4で主に代謝されるため、肝機能が著しく低下した患者では血中濃度が上昇するリスクがあります。定期的な肝機能検査と血中濃度モニタリングを考慮することが賢明です。
高齢者への投与については、添付文書の「高齢者への投与」の項に「患者の状態を観察しながら慎重に投与すること」と明記されています。高齢者では一般に生理機能が低下しているため、低用量から開始し、転倒・骨折リスクや過鎮静の出現に注意しながら増量するアプローチが基本です。
重大な副作用は、添付文書の中でも特に医療従事者が熟知しておくべき項目です。ブロナンセリン散において添付文書上「重大な副作用」として記載されているものを整理します。
悪性症候群(Neuroleptic Malignant Syndrome)は最も警戒すべき副作用のひとつです。発症頻度は低いものの、高熱(38℃以上)・筋強剛・意識障害・自律神経症状(発汗・頻脈・血圧変動)が揃った場合には即座に投与を中止し、全身管理が必要です。CK(クレアチンキナーゼ)の著明な上昇が診断の助けになります。見逃すと死亡に至ります。
遅発性ジスキネジアは、長期投与後に口周囲や四肢に不随意運動が生じる副作用で、発症後は回復が困難なケースもあります。定期的な神経学的評価(AIMS:Abnormal Involuntary Movement Scaleの活用など)が推奨されます。
QT延長については、ブロナンセリンでの報告はハロペリドールなどに比べて少ないとされますが、添付文書上は「心電図異常が現れることがある」と記載されており、他のQT延長リスク薬との併用時や電解質異常(低K血症、低Mg血症)が存在する患者には特に注意が必要です。
高血糖・糖尿病性ケトアシドーシスについても記載があります。非定型抗精神病薬全般に共通するリスクであり、投与開始後は定期的な血糖値のモニタリングが推奨されます。
PMDA 医薬品医療機器情報提供ホームページ:ロナセン散4% 添付文書(インタビューフォーム含む)
ブロナンセリンの薬物動態における最大の特徴は、主にCYP3A4によって代謝されるという点です。これが条件です。
この代謝経路の特性から、CYP3A4を強力に阻害する薬剤との併用では、ブロナンセリンの血中濃度が著明に上昇し、副作用リスクが高まります。添付文書上「併用禁忌」または「併用注意」として列挙されている主な薬剤は以下のとおりです。
一方、CYP3A4を誘導する薬剤との併用では逆にブロナンセリンの血中濃度が低下し、治療効果が不十分になるリスクがあります。リファンピシンや一部の抗てんかん薬(カルバマゼピン、フェニトイン)はその代表例です。この場合は用量調整が必要となるケースがあります。
実臨床では、精神科以外の診療科から処方変更があった際に相互作用のチェックが抜け落ちやすいことが指摘されています。薬剤師によるポリファーマシー点検の場面でも、ブロナンセリンが処方されている患者では必ずCYP3A4関連薬の確認を行うことが重要です。これは使えるポイントです。
散剤として処方されるブロナンセリンには、錠剤にはない固有の利点と注意点があります。意外ですね。
まず利点として、嚥下困難な患者(高齢者や神経疾患を合併する患者)でも服用しやすい点が挙げられます。また、錠剤では難しい微細な用量調整が可能であり、忍容性を確認しながら増量する際の柔軟性が高まります。これは大きなメリットです。
一方、調剤上の注意として最も重要なのは「苦味・においの問題」です。ブロナンセリン原薬自体には若干の苦味があり、服薬アドヒアランスに影響することがあります。調剤薬局では、賦形剤との混合比率を工夫したり、服薬補助ゼリーとの同時使用を提案したりすることで対応するケースがあります。ただし、服薬補助ゼリーの種類によっては吸収に影響する可能性もあるため、一般論でなく個別に判断することが求められます。
分包紙への充填後の安定性についても確認が必要です。ブロナンセリン散の添付文書では「遮光・気密容器保存」が求められており、分包後は高温多湿を避けた場所で保管するよう患者・介護者に説明することが重要です。夏場の車内放置は厳禁です。
患者指導において特に強調すべきは「食後服用の厳守」です。添付文書でも「食後」と明記されており、空腹時に服用すると血中濃度が食後投与時の約半分程度にとどまる可能性があることが薬物動態試験から示されています。これは服薬指導の核心です。「飲み忘れたからといって空腹時に慌てて飲まず、次の食事のタイミングまで待つ」という指導が、安定した血中濃度の維持につながります。
また、自動車の運転や高所作業については、添付文書上「眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること」と記載されています。患者の職業や日常生活を確認した上で、個別に丁寧な説明を行うことが重要です。
住友ファーマ(旧・大日本住友製薬)公式サイト:ロナセン製品情報ページ(医療関係者向け)
妊婦・授乳婦への投与については、添付文書の「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項に明確な記載があります。
妊婦への投与は「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」とされており、原則として積極的には推奨されていません。動物実験(ラット)において出生仔の体重低下や発育への影響が報告されており、ヒトへの影響が完全には否定できない状況です。臨床判断が問われます。
また、新生児に抗精神病薬の離脱症状(哺乳不良、泣き声の異常、ミオクローヌス、傾眠、呼吸障害など)が現れたとの報告があることから、妊娠後期まで服用を継続した場合は出生後の新生児管理を念頭に置く必要があります。産科チームへの情報共有が不可欠です。
授乳についても「治療上の有益性および母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続または中止を検討すること」とされています。乳汁中への移行については十分なデータがないため、リスクとベネフィットを個別に評価し、母親と十分に話し合った上で判断することが求められます。
小児への投与については、現時点でブロナンセリンは「小児に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)」とされており、原則として慎重な対応が求められます。ただし、実臨床では成人承認薬の適応外使用として処方されることがあるため、そのような場面では副作用モニタリングをより厳格に行う体制が必要です。
Minds(医療情報サービス):統合失調症薬物治療ガイドライン(非定型抗精神病薬の使用に関する記載を含む)

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