先発品を処方しても、患者の自己負担が「変わらない」とは限らなくなりました。

ブロマゼパム(Bromazepam)の先発品は「レキソタン錠」です。製造販売はサンドファーマ株式会社が行っており、販売はサンド株式会社が担っています。2020年9月にエーザイからアスペンジャパン(現サンドファーマ)へ製造販売承認が承継された経緯があります。これは意外と見落とされがちな背景情報です。
現行の先発品ラインナップと薬価(2025年度改定時点)は以下のとおりです。
| 販売名 | 規格 | 薬価 | 区分 |
|---|---|---|---|
| レキソタン錠1 | 1mg1錠 | 5.7円 | 先発品 |
| レキソタン錠2 | 2mg1錠 | 5.9円 | 先発品 |
| レキソタン錠5 | 5mg1錠 | 7.8円 | 先発品 |
| レキソタン細粒1% | 1g | 14.9円 | 先発品 |
後発品(ジェネリック)はサンド株式会社から「ブロマゼパム錠〇mg「サンド」」として、1mg・2mg・3mg・5mgの4規格が販売されています。薬価は各規格で先発品と近接しており、場合によっては先発品と後発品の薬価が逆転しているケースもあります。つまり後発品が常に安いとは限りません。
なお、ブロマゼパム坐剤3mg「サンド」は68.1円/個で「先発品」扱いです。坐剤は錠剤と異なる扱いになっている点に注意が必要です。
参考:KEGG MEDICUSによるブロマゼパム商品一覧(薬価・規制区分を確認できます)
https://www.kegg.jp/medicus-bin/similar_product?kegg_drug=D01245
レキソタン錠はすべての規格が「第三種向精神薬」かつ「処方箋医薬品」に指定されています。これが基本です。
向精神薬には第一種から第三種までの分類があり、乱用リスクと治療上の有用性のバランスで区分が決まります。ブロマゼパムが属する第三種向精神薬には、他にトリアゾラム(ハルシオン)やブロチゾラム(レンドルミン)なども含まれています。第三種は最も規制が緩い区分ですが、それでも薬局・病院は帳簿記録の義務を負います。
処方日数の制限は1回30日分が上限です。厚生労働省告示第107号(平成18年3月6日付)に根拠があります。処方医が「神経症における不安・緊張・抑うつ」または「うつ病における不安・緊張」で処方する場合は1日6〜15mgを2〜3回に分けて投与します。心身症(高血圧症・消化器疾患・自律神経失調症)には1日3〜6mgと、適応ごとに用量が異なる点も把握しておく必要があります。
向精神薬の在庫管理や処方記録は、薬局・病院ともに厚生労働省のガイドライン「向精神薬取扱いの手引」に沿って行うことが求められます。
参考:厚生労働省「薬局における向精神薬取扱いの手引」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/yakubuturanyou/dl/kouseishinyaku_02.pdf
また、向精神薬の多剤投与にも注意が必要です。抗不安薬を3種類以上、または抗不安薬と睡眠薬を合わせて4種類以上処方した場合は「向精神薬多剤投与」として地方厚生局への報告義務が生じます。ブロマゼパムを含む処方では、他の抗不安薬・睡眠薬との組み合わせを常に確認する必要があります。報告義務は見落とせません。
2024年10月1日より、後発品が存在する先発医薬品(長期収載品)を患者が希望して処方・調剤した場合、長期収載品と後発品の最高薬価との差額の4分の1を「選定療養費」として患者が追加負担する制度が導入されました。
レキソタン錠2はこの選定療養の対象品目に含まれています。たとえば、レキソタン錠2(5.9円)と後発品の最高薬価(5.7円)の差額は0.2円。その4分の1は0.05円となり、保険外の自己負担として加算されます。1錠あたりの金額は小さく見えますが、30日分・1日3錠で試算すると約4〜5円の追加負担になります。
これは何を意味するか、というと——患者への説明義務が実質的に生じているということです。「先発品を選ぶと少し負担が増えますが、よろしいですか?」という確認を怠ると、患者側から「聞いていない」というクレームにつながりかねません。
さらに2025年4月の薬価改定では、薬価の逆転(後発品の薬価が先発品より高くなるケース)が発生した一部品目が選定療養の対象外になりました。最新の対象品目リストは定期的に更新されるため、調剤現場での最新情報チェックが欠かせません。
参考:厚生労働省「後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39830.html
2024年10月、ブロマゼパム錠2mg「サンド」の製造工程で添加剤に起因する品質問題が発生しました。製造を一時中止したことで在庫が枯渇し、2mg規格だけでなく1mg・3mg・5mg「サンド」も需給バランスが崩れて出荷調整が拡大しました。
先発品のレキソタン錠についても同様に限定出荷が続き、2025年9月時点でも在庫の積み増しには至っていない状況です。製造再開後も安定供給には時間がかかる——これが現実です。
現場での対応として最も重要なのは「代替薬の選定」です。日経メディカルの事例では、処方医がブロマゼパムからアルプラゾラムへの変更を選択した例が報告されています。抗不安薬・睡眠薬等価換算表によると、ブロマゼパム2.5mgはアルプラゾラム0.8mg相当に換算されます。ただし半減期・力価・適応の違いがあるため、単純な1対1の変更は行えません。
代替薬を検討する際の主な選択肢を整理すると、ロラゼパム(ワイパックス)はグルクロン酸抱合代謝のため肝機能低下患者に有利で、ブロマゼパムとほぼ同等の力価・作用時間を持ちます。アルプラゾラム(ソラナックス・コンスタン)はパニック障害への特化した実績があり、短〜中時間型です。クロチアゼパム(リーゼ)は力価が弱めで、症状が軽度なケースでの代替候補になります。
供給不安時に在庫確認を怠ると、患者が突然服薬を中断するリスクが生じます。ベンゾジアゼピン系は急な中止により離脱症状(痙攣・せん妄・強い不安)が出現する可能性があるため、代替薬への段階的な移行を計画することが必要です。
参考:日経メディカル「供給不安により変更されたブロマゼパム」(2025年8月)
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/column/diquiz/202508/589770_2.html
実臨床では意外と見落とされている点がいくつかあります。ここでは「知っていると差がつく」情報を3点整理します。
① フルボキサミンとの相互作用は見逃しやすい
SSRIの中でも特にフルボキサミンマレイン酸塩(デプロメール・ルボックス)は、CYP1A2・CYP3A4を強く阻害するため、ブロマゼパムの肝臓での酸化的代謝を阻害します。結果としてブロマゼパムのAUCが増加し、血中半減期が延長します。うつ病の治療でSSRIとブロマゼパムを併用する場面は珍しくありません。併用時は通常用量でも過鎮静が生じる可能性があり、投与量の減量と経過観察が必要です。
② 眠気の頻度は20%超——ドライバー患者への指導が必須
添付文書によると、眠気の副作用は発現率20.6%と1%以上の副作用の中で最も頻度が高く、ふらつきも7.2%に見られます。これは決して低い数字ではありません。自動車の運転等危険を伴う機械の操作については「従事させないよう注意すること」と明記されており、医師・薬剤師双方による服薬指導が求められます。特に中時間型(半減期約20時間)のため、翌朝の運転にも影響が残る点を患者に具体的に伝える必要があります。
③ 高齢者・肝腎機能低下患者には少量から開始が原則
添付文書の「特定の背景を有する患者に関する注意」では、高齢者は「運動失調等の副作用が発現しやすい」として少量から開始するよう明記されています。また、肝機能障害・腎機能障害患者でも同様に少量から開始することが求められます。高齢者への処方では特に転倒・骨折リスクが懸念されます。ベンゾジアゼピン系薬による転倒は骨折、さらには長期入院につながるリスクがあり、「高齢者の薬物療法ガイドライン」でも使用を可能な限り避けるよう勧告されています。
以上3点が基本です。処方や調剤の際、日々の業務の中でルーチン化して確認することで、患者への安全なケアに直結します。
参考:添付文書情報(KEGG MEDICUS レキソタン錠)
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00053019

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