狭心症に使っているアテノロールを患者が自己判断で急にやめると、心筋梗塞を起こすことがあります。

アテノロール錠25mg「サワイ」は、沢井製薬が製造販売する心臓選択性β遮断剤です。先発品であるテノーミン錠25(太陽ファルマ株式会社)のジェネリック医薬品(後発医薬品)にあたり、一般名はアテノロール(Atenolol)、ATCコードはC07AB03です。
薬価の面では、先発品テノーミン錠25が1錠あたり8.80円であるのに対し、アテノロール錠25mg「サワイ」は1錠あたり6.10円となっています。通常成人の標準用量は1日1回50mg(25mg錠を2錠)ですので、1日あたりの薬剤費だけで比較しても先発品より約5.4円安く、長期処方では患者・医療機関双方にとって無視できないコスト差が生じます。これは使えそうです。
生物学的同等性については、健康成人男子を対象としたクロスオーバー試験で先発品との同等性が確認されています。アテノロール錠25mg「サワイ」を1錠(アテノロール25mg)空腹時単回経口投与したときの薬物動態パラメータは以下のとおりです。
| パラメータ | アテノロール錠25mg「サワイ」 | テノーミン錠25 |
|---|---|---|
| Cmax (ng/mL) | 182±27 | 191±48 |
| Tmax (hr) | 3.2±1.3 | 2.8±1.0 |
| T₁/₂ (hr) | 5.5±0.5 | 5.4±0.5 |
| AUC₀-₂₄hr (ng・hr/mL) | 1762±279 | 1713±406 |
統計解析の結果、両製剤の生物学的同等性が確認された実績があります。先発品と同一の効能・効果・用法・用量で使用できる、というのが原則です。
識別コードはSW-521(錠剤本体およびPTPシート上に印字)で、錠剤の外観は白色フィルムコーティング錠、直径6.6mm、重量約108mgです。規制区分は処方箋医薬品(要指示)。添付文書の最新改訂版(2025年11月改訂第2版)を確認のうえ、適正使用に役立ててください。
参考情報:沢井製薬 公式医療関係者向けサイト(製品詳細・電子添文・安定性試験データを掲載)
アテノロール錠25mg「サワイ」 - 沢井製薬 医療関係者向けサイト
効能・効果は以下の3つです。
- 本態性高血圧症(軽症~中等症)
- 狭心症
- 頻脈性不整脈(洞性頻脈、期外収縮)
用法・用量は、通常成人に対して1日1回2錠(アテノロールとして50mg)を経口投与します。年齢・症状に応じて適宜増減が可能で、最高量は1日1回4錠(100mg)までです。1日1回投与で済む理由は、消化管からの吸収後に肝臓での初回通過効果をほとんど受けずに体循環へ入り、半減期(T₁/₂)が約5.5時間(25mg単回投与時)~8時間程度と比較的長く、24時間にわたって安定した降圧作用を示すためです。
つまり1日1回投与が原則です。
📋 用量設定の実際のポイント
| 状況 | 目安 |
|---|---|
| 通常開始量 | 25mg×2錠(50mg)を1日1回 |
| 高齢者・腎機能低下 | 少量(25mg×1錠)から開始、慎重に増量 |
| 最高量 | 25mg×4錠(100mg)を1日1回 |
| CCr35mL/分以下 | 投与間隔を延長して慎重投与 |
開始時は少量からが基本です。
高齢者では心機能・腎機能・肝機能が低下していることが多く、過度の降圧や徐脈が起こりやすいため、通常25mg(1錠)から開始し、状態を十分に観察しながら慎重に投与量を決定します。脳梗塞リスクを高める可能性もあるため、「過度の降圧は高齢者では好ましくない」という点は常に念頭に置く必要があります。
また、長期投与時は脈拍・血圧・心電図・X線などの心機能検査を定期的に実施し、徐脈(目安:脈拍50回/分未満)や低血圧が認められた場合は減量または中止を検討します。必要に応じてアトロピンを使用する準備も重要です。
参考情報:KEGG Medicus(JAPIC添付文書情報に基づく詳細な薬物情報・相互作用リストを掲載)
医療用医薬品:アテノロール(アテノロール錠25mg「サワイ」 他)- KEGG Medicus
アテノロール錠25mg「サワイ」には9項目の禁忌があります。代表的なものを整理すると以下のとおりです。
| 禁忌 | 理由 |
|---|---|
| 糖尿病性ケトアシドーシス・代謝性アシドーシス | アシドーシスによる心筋収縮力抑制を増強するおそれ |
| 高度または症状を呈する徐脈、房室ブロック(II・III度)、洞房ブロック、洞不全症候群 | 症状が悪化するおそれ |
| 心原性ショック | 心機能を抑制し悪化するおそれ |
| 肺高血圧による右心不全 | 心機能抑制により悪化するおそれ |
| うっ血性心不全 | 同上 |
| 低血圧症 | 同上 |
| 重度の末梢循環障害(壊疽等) | 症状悪化のおそれ |
| 未治療の褐色細胞腫またはパラガングリオーマ | 単独投与により急激な血圧上昇のおそれ |
慎重投与が必要な患者群も多岐にわたります。とくに医療現場で見落とされやすいのが、「異型狭心症(冠攣縮性狭心症)」への投与です。冠攣縮性狭心症の患者にアテノロールを投与すると症状が悪化するおそれがあります。狭心症だからといって安易にβ遮断薬を投与してよいわけではなく、まず狭心症のタイプ(労作性か冠攣縮性か)を確認することが重要です。これは意外な落とし穴です。
また、気管支喘息・気管支痙攣のおそれのある患者への投与は十分な観察のうえ慎重に行います。アテノロールは心臓選択性(β₁選択性)を有しているため、非選択性β遮断薬(プロプラノロールなど)よりは気道収縮を起こしにくいですが、完全に気道への影響がないわけではないという点は正確に理解しておく必要があります。慎重投与が条件です。
さらに、甲状腺中毒症の患者に対して休薬が必要な場合も注意が必要で、急に投与を中止すると症状が悪化するだけでなく、アテノロールが甲状腺中毒症状をマスクするおそれがあります。甲状腺機能検査値の解釈に注意が必要な場面です。
参考情報:PMDAによる最新の医療用医薬品添付文書(禁忌・使用上の注意の一次情報を確認できる)
PMDA 医療関係者向け:アテノロール錠25mg「サワイ」添付文書
重大な副作用(頻度不明を含む)は以下のとおりです。
- 🔴 徐脈、心不全、心胸比増大、房室ブロック、洞房ブロック、失神を伴う起立性低血圧(いずれも頻度不明)
- 🔴 呼吸困難、喘鳴(0.1~5%未満)、気管支痙攣(0.1%未満)
- 🔴 血小板減少症、紫斑病(いずれも頻度不明)
特に徐脈・心不全は、投与開始後および増量時に注意が必要な副作用です。脈拍数が50回/分を下回るような場合は減量・中止を検討します。それが条件です。
精神神経系の副作用として頭痛・めまいが0.1~5%未満の頻度で報告されており、うつ状態(神経病性うつ病)も0.1%未満ながら報告されています。アテノロールは水溶性β遮断薬に分類されるため、脂溶性薬剤(プロプラノロール等)に比べ血液脳関門の透過性が低く、中枢性の副作用(悪夢・不眠・抑うつ等)は「一般に脂溶性薬剤より症状は軽度」とされています。ただし頻度不明の項目として「悪夢、不眠、錯乱、抑うつ状態」が記載されており、投与中に精神神経症状を訴える患者には薬剤の関与を念頭に置いた対応が求められます。
主な相互作用(併用注意)は下表のとおりです。
| 併用薬 | 注意内容 |
|---|---|
| 他のβ遮断薬(チモロール点眼薬を含む) | 交感神経系の過剰抑制(徐脈・心不全等) |
| 血糖降下剤・インスリン | 低血糖作用増強・低血糖症状(頻脈等)マスク |
| ベラパミル・ジルチアゼム | 心停止/洞停止のリスク、48時間以上間隔が必要な場合あり |
| クロニジン | 中止時のリバウンド現象増強 |
| クラスI/III抗不整脈薬(ジソピラミド・アミオダロン等) | 心停止/洞停止のリスク |
| NSAIDs(インドメタシン等) | 本剤の降圧作用が減弱するおそれ |
| ジギタリス製剤 | 房室伝導時間延長、徐脈・房室ブロック |
| フィンゴリモド | 重度の徐脈・心ブロックのリスク |
| 麻酔剤(セボフルラン等) | 低血圧リスク増強・過度の心機能抑制 |
NSAIDsとの相互作用は特に見落とされやすい点です。高血圧患者が整形外科や内科でロキソプロフェンやインドメタシンを処方された場合に、アテノロールの降圧効果が減弱するリスクがあります。処方確認時に「どこか他で鎮痛薬をもらっていないか」を患者に確認する習慣が重要です。
また、手術前48時間はアテノロールの投与を中止することが望ましいとされています(添付文書8.3項)。術前に服薬中断を指示する際は、患者への事前説明と段階的な減量の指示が必要です。
参考情報:ケアネット(アテノロール錠25mg「サワイ」の効能・副作用・相互作用の詳細)
アテノロール錠25mg「サワイ」の効能・副作用 - ケアネット
①突然中止によるリバウンド現象
アテノロールを含むβ遮断薬を服用中の狭心症患者が急に服用を中止した場合、狭心症発作の悪化・心筋梗塞が起こる可能性があることが添付文書8.2項に明記されています。これはβ受容体のアップレギュレーション(受容体数の増加)によりカテコールアミン感受性が亢進し、投薬中止後に交感神経系が過剰に反応するためです。
現場で問題になりやすいのは、患者が「症状が落ち着いたから」「副作用が気になるから」という理由で自己判断により服用を中止するケースです。急にやめると心筋梗塞のリスクがあります。患者指導の場面では「必ず医師・薬剤師に相談なしに自己判断でやめないよう」に繰り返し説明することが不可欠です。特に狭心症以外(不整脈など)の適用であっても、高齢者では同様の注意が必要です。
中止が必要な場合は、段階的に1~2週間かけて減量し、その間は心血管系症状の出現に十分注意します。
②腎機能低下患者への投与間隔調整
アテノロールは肝臓でほとんど代謝を受けず、投与量の約90%が未変化体のまま腎から排泄されます。つまり典型的な腎排泄型薬剤です。腎機能低下患者では体内から薬剤が排除されにくくなり、過剰な薬理効果(過度の徐脈・血圧低下)が生じるリスクが高まります。
添付文書9.2.1項によると、クレアチニンクリアランス(CCr)が35mL/分以下の患者では投与間隔を延長するなど慎重に投与することが規定されています。日本腎臓学会「腎機能低下時に最も注意の必要な薬剤投与量一覧」でも、CCr15~35mL/分では1日1回100mgを2日に1回、CCr15mL/分未満では3日に1回とする目安が示されています。
CCrの目安を改めておさらいすると、「健康成人(男性)でおよそ100mL/分」です。血清クレアチニン値が1.5mg/dL程度の高齢者でも、CCrはCockcroft-Gaultの式で計算すると50mL/分を下回ることが多く、意外と腎機能が低い患者が対象になるケースがあります。
投与前に腎機能確認が必須です。
また、透析患者ではアテノロールが血液透析で除去されるため、透析後に用量調整が必要になる場合があります。腎臓専門医や透析担当医との連携が重要です。
参考情報:日本腎臓学会「腎機能低下時に最も注意の必要な薬剤投与量一覧」(アテノロールの投与間隔調整の根拠データを掲載)
腎機能低下時に最も注意の必要な薬剤投与量一覧(日本腎臓学会・薬剤師学会)
糖尿病患者・インスリン使用患者への注意
アテノロールは、低血糖症・コントロール不十分な糖尿病・長期絶食状態の患者に対して慎重投与が求められています。理由は、低血糖時の前駆症状である頻脈などの交感神経系反応をマスクしやすいためです。
通常、低血糖が起きるとカテコールアミンが副腎から分泌され、心拍数増加(頻脈)・発汗・ふるえなどの警告症状が現れます。しかし心臓のβ₁受容体がアテノロールによって遮断されていると、心拍数の増加が抑制されてしまい、患者自身が低血糖に気づかないまま状態が悪化するリスクがあります。発汗は交感神経のアルファ作動でおこるため完全にはマスクされませんが、頻脈という最も気づきやすいサインが消えてしまう点が問題です。これは危険ですね。
糖尿病患者にアテノロールを処方している場合、または血糖降下薬との併用がある場合は、定期的な血糖モニタリングと患者への十分な説明が必要です。発汗などの症状に気づいたら速やかに血糖測定を行うよう指導することが推奨されます。
妊産婦・授乳婦への対応
アテノロールは胎盤を通過することが確認されており、出産前に経口投与した場合、臍帯血にも検出されます。高血圧症の妊婦への投与で胎児の発育遅延が報告されており、妊婦または妊娠の可能性のある女性への投与は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみに限定されます。
授乳婦については、アテノロールが母乳中に高濃度で移行することが確認されています。授乳中の新生児に低血糖・徐脈が現れる可能性があるため、投与する場合は授乳を中止することが原則です。この点は産後の患者さんの服薬管理において特に注意が必要で、授乳継続を希望する患者に対しては薬剤の変更を担当医に提案することも選択肢の一つです。
小児等については、有効性および安全性を指標とした臨床試験が実施されていないため、安全性は確立されていません。使用は極めて慎重に行う必要があります。
参考情報:くすりのしおり(患者向け服薬情報として生活上の注意・副作用・妊婦への注意を記載)
アテノロール錠25mg「サワイ」 くすりのしおり(一般患者向け情報)
Excellent.

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