タッピングセンタを「マシニングセンタの廉価版」と思っているなら、それが原因で年間数百万円の生産損失を招いているかもしれません。
タッピングセンタとは、下穴にめねじを形成するおねじ形の切削工具(タップ)を回転させながら、リードに相当する送りを軸方向に与えてねじ山を削り出す工作機械です。 工具の自動交換機能(ATC:オートツールチェンジャー)を備えており、ドリルによる下穴加工からタップによるねじ立てまで、工具を交換しながら連続して行えます。
つまり、一台の機械が段取りなしで複数工程を完結させるということです。
機械の構造は、工具を保持・回転させる主軸、ワーク(被削材)を固定するテーブル、タップを確実に掴むチャックで構成されます。 主軸はタップが破損しないよう正転・逆転の切り替えを高速で行えるよう設計されており、この点が一般的なマシニングセンタと設計思想が異なります。
関連)https://inviting.jp/knowledge/facility/tapping-machine/
本体はコンパクトな機種が多く、設置面積が限られた中小規模の工場でも導入しやすいのが特徴です。
関連)https://machine-freak.com/blog/notes/0019-TappingCenters
マシニングセンタは一般的な切削加工(フライス・ボーリング・穴あけなど)を広く行える汎用性の高い工作機械です。 一方、タッピングセンタは穴あけとタッピング加工に特化しており、ねじ製作を得意とする工作機械です。
関連)https://fa-parts-machining.com/qa/q47/
| 比較項目 | タッピングセンタ | マシニングセンタ |
|---|---|---|
| 主な用途 | 穴あけ・タップ・面取り・軽切削 | フライス・穴あけ・ボーリング・重切削 |
| 加工精度 | 汎用的 | より高精度 |
| 主軸回転数 | 高速(最大20,000RPM以上) | 機種により異なる |
| 本体サイズ | コンパクトが多い | 比較的大型 |
| 得意ワーク | アルミ・非鉄金属の量産品 | 高精度・複雑形状品 |
| 導入コスト | 比較的低め | 高め |
精度面ではマシニングセンタのほうが優れているというのが現場での一般的な評価です。 しかし、タッピングを大量に必要とする量産ラインにおいては、タッピングセンタの高速性とサイクルタイム短縮のメリットが大きく上回ります。
関連)https://fa-parts-machining.com/qa/q47/
これが条件です。用途が合致すれば、タッピングセンタはマシニングセンタよりも合理的な選択になります。
なお、マシニングセンタの中にもタッピング機能を搭載した機種はありますが、タッピング専用設計の機械に比べるとサイクルタイムや主軸の応答速度で差が出ることがあります。
関連)https://www.cutting-navi.com/knowledge-mc/difference-machining-nc.html
タッピングセンタが得意とする主な加工工程は以下のとおりです。
関連)https://jeicreate.net/media/metal-processing/cutting/
意外ですね。タッピングセンタは「穴あけとタップだけ」と思われがちですが、面取りや軽切削まで一台でこなせます。
ただし、深彫りや重切削、高精度な輪郭加工はマシニングセンタの領域です。タッピングセンタでは剛性の限界から無理をすると工具破損やびびり(加工中の振動)が発生するリスクがあります。作業者が覚えておくべき使い分けのポイントです。
アルミや銅などの非鉄金属を多数品番・多穴加工する現場では、タッピングセンタの高い主軸回転数が直接サイクルタイム削減につながります。
関連)https://ja.milling-machinecnc.com/info/what-is-a-tapping-center--95834121.html