転造後の外観が問題ないのに、最終検査でロット全数NGになるケースが現場で起きています。
関連)https://mono.ipros.com/product/detail/2000655621/

転造加工でヒゲやバリが出るのは「ダイスを押しすぎているだけ」と思われがちですが、実際はそれだけではありません。
平ダイス転造では、食い付き部テーパーで徐々にねじ山を成形していく仕組みです。 ダイスが適切な位置を超えてトップロールが完成した瞬間から、余肉が逃げ場を失います。その結果として発生するのが、細い糸状の「ヒゲ」、薄片状の「バリ」、そして鉄粉と呼ばれる粉末です。
関連)https://special-fastening-parts.com/column/2733/
つまり、押し量の管理が基本です。
バリが出るもう一つの原因として、ねじ先端部のC面(面取り寸法)がねじ山高さよりも小さいケースがあります。 この場合、ねじを加工する前工程でC面・ピッチ・規格を図面に明示することで回避できます。 面取り寸法の見直しという、シンプルな対策が見落とされていることは意外に多いです。
転造タップ加工でバリが発生する場合は、①下穴の状態、②切削油の潤滑性、③タップ加工条件の3点を順番に確認することが重要です。 一つずつ切り分けないと、原因が複合していた場合に対策が無効になります。これは厳しいところですね。
参考:転造タップでのバリ対策について詳しく解説しています。
有効径の不良は、外観では気づきにくい分だけ、最終検査で大量不良につながりやすいです。
関連)https://mono.ipros.com/product/detail/2000655621/
代表的なパターンは3種類あります。
関連)https://mishimacorp.com/faq
>有効径が小さく外径は正常→ダイスの押し込み量不足
>有効径・外径がともに小さい→素材径そのものが細い
>真円にならず楕円気味になる→硬質素材での圧力不均一
結論は「素材径とダイス押し量の両方を同時に見る」です。
転造ねじの下径設定は、製品の強度・耐久性・機能性を直接左右します。 下径が適正範囲から外れると、有効径不良だけでなく転造後のねじ全体の品質に連鎖的に影響します。 「とりあえず転造できた」状態では不十分なんです。
関連)https://www.nikkoss.jp/columns/rolled_screw_lower_diameter_setting
工程内での対策として、転造めねじ用省力検査ゲージが有効です。 有効径と内径を1本のゲージで工程内チェックできるため、最終検査でロット全数NGになる前に問題を検出できます。 確認するタイミングを「最終」ではなく「工程内」に前倒しするだけで、廃棄ロットのリスクを大きく下げられます。
関連)https://mono.ipros.com/product/detail/2000655621/
参考:転造めねじの工程内検査ゲージの活用事例
イプロス|転造めねじの品質を製造現場で保ちたい(解決事例)
転造ねじのクラックは「転造中の熱が原因」と思われがちですが、実は冷間成形中に発生するしわや重なりが主因とされています。
関連)http://www.nejijapan.com/njc/old_qa/thread/detail_view/00000000a63a
転造盤でおねじを加工した際、ねじ斜面にクラックが発生するケースがあります。 この現象は山頂のシーム(合わせ目)とは別の問題で、素材の延性・材料ロット・加工速度などが複合的に絡むため、単純に「条件を緩める」だけでは解決しません。
関連)https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12296757672
これは意外ですね。
ISO規格の外観検査資料には「ねじ部のしわおよび重なりは、転造による冷間成形中に発生する」と明記されています。 したがって、完全ゼロを目指すより「許容範囲内に収める管理」の考え方が現実的です。 どこまでが合否かを事前に取引先と合意しておくことが、後々のクレームリスク回避につながります。
関連)http://www.nejijapan.com/njc/old_qa/thread/detail_view/00000000a63a
転造タップのめねじにおけるシーム部分の脱落・ヒゲ・バリを防ぐ手段として、内径仕上げ刃付き転造タップ(シームレスタイプ)があります。 シーム部分を切除する構造で、バリ発生を根本から抑制できます。 すでにバリ対策で困っている場合は、工具の種類から見直すという選択肢が使えそうです。
関連)https://www.fuchimoto.co.jp/recommend/detail?id=107
参考:転造ねじのウェルド(割れ・しわ)に関するQ&A
ねじJAPAN|転造ネジのウェルド(割れ?)について
下穴径のズレは0.1mm未満でも、転造タップ後のねじ山形状に大きな影響を与えます。
転造タップは切削タップと違い、塑性変形でねじ山を成形します。 そのため下穴径が大きすぎると盛り上がり不足になり山頂形状が不良になります。逆に小さすぎると過転造になり、ねじ山が押しつぶされる状態になります。 「少しくらいズレていても大丈夫」という感覚が、ロット不良を招きます。
関連)https://faq.osg.co.jp/faq/show/9044?category_id=229&site_domain=default
下穴径管理が条件です。
M6×1.0の場合、推奨下穴径は5.48〜5.57mmで、許容範囲はわずか0.09mmしかありません。 はがきの厚みが約0.2mmなので、その半分以下の誤差で合否が変わります。これほど精密な管理が必要だということですね。
関連)https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/machine_processing/mp04/b0022.html
安定した下穴精度を確保するには、通常のハイスドリルではなく超硬ドリル(バニシング刃付き)の使用が推奨されています。 さらに精度が必要な場合は、ドリル後にエンドミルによるコンタリング加工やボーリング加工を追加することで、下穴真円度が大幅に向上します。 工具の選定を一度見直すだけで、下穴起因の不具合を大きく減らせます。
関連)https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/machine_processing/mp04/b0022.html
参考:ロールタップの下穴管理の方法(推奨穴径一覧表あり)
MISUMI技術情報|ロールタップの下穴管理の方法
「転造ねじは切削ねじより必ず強い」という現場の常識は、実は条件次第で変わります。
引張試験の結果では、転造ねじが171.85kN、切削ねじが177.40kNと、切削ねじのほうがわずかに高い数値を示したケースがあります。 ファイバーフロー(金属繊維)が連続している転造ねじが有利とされる場面は確かにありますが、単純な引張強さでは必ずしも転造が上回るわけではありません。 これは使えそうな情報です。
関連)https://www.hanshin-neji.com/content/5591/machining-and-rolling-thread-comparison
強度差が出やすいのは破断モードの違いです。 切削ねじは伸びずに急激に破断する傾向があり、転造ねじは塑性変形を経て破断します。 どちらが有利かは、使用環境や荷重特性によって変わります。
関連)https://www.hanshin-neji.com/content/5591/machining-and-rolling-thread-comparison
ねじ締結体の設計で重要なのは、トルク管理だけに依存しないことです。 摩擦条件のバラつきによりトルクから軸力への変換精度が下がるため、重要な締結部では回転角法の併用が推奨されています。 転造か切削かという選択の前に、締結管理の方法を見直すことが先決です。
関連)https://www.ikekin.co.jp/column/17380/
転造ねじの不具合は、ダイスの問題・素材の問題・下穴の問題・潤滑の問題と、原因が複数の工程にまたがります。 ローラーのアライメント(中心線の一致)がわずかにズレているだけで、スライバー・フレーク・ねじ山形状不良が頻発します。 不具合が再現するなら、まずアライメントの確認から始めることが鉄則です。
参考:ねじ転造ダイスの不具合原因と対策の詳細解説
CnWanying|ねじ転造ダイスの限界とパフォーマンス向上のための解決策